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ニコン 7×50SP


■購入のきっかけ

 高校生の頃から使っていたビクセンのアスコット7×50双眼鏡(旧タイプ)にいよいよガタが来てしまい、代わりの星見用双眼鏡として購入。

■スペック

双眼鏡:ニコン 7×50 SP 防水型双眼鏡
 (倍率7倍 口径50mm 実視界7.3° 見かけ視界 51.1° ひとみ径7.1mm アイレリーフ16.2mm 明るさ50.4 最短合焦点距離12.4m 高さ×幅 217×210mm 質量1485g(1.49kg))

■最初の印象

 実は7×40クラスか7×50にするか、さんざん悩みました。街中の星見には、ひとみ径が7mmになる双眼鏡だと、バックの空が明るくなり、かえってコントラストが低くなるということが、最近言われているからです。
 大阪の協栄産業の店舗でいろんな機種を覗き比べてみて、結局、使い慣れたスペックで、見え味が良かったこの機種にしてしまいました。実は自分、けっこう度の進んだ近視で、メガネ利用時のアイレリーフと、裸眼時の合焦が両立できる機種が他にほとんどなかったということもあるのですが、ずいぶん高い買い物でした。

■機動性

 手持ちで使えるギリギリの重さといえ、やはり重いです。大きいので普段持ち運びをしようとは思いません。昔からあるスペックとはいえ、これを昼間使うとなると、それなりの根性が必要なのではないでしょうか。夜でも性能を活かすなら、三脚が欲しいところです。

■操作性

 比較的バランスがよいので、重さから想像するよりは持ちやすいです。ピント合わせがIF式ですが、頻繁にピント合わせをし直すような使い方をするならともかく、個人で星見専用に使う分には特に不便は感じません。

■光学系

 視野に街灯や月など、わざと明るい対象を入れても、ゴーストなど出ないのはさすがです。見かけ視界が50度ほどしかなく、広角アイピースに慣れた目からすると、少し狭く感じてしまうのが難点。もう少しワイドなら、気分がよいと思うのですが。
 星像は針でつついたみたいで、申し分ないです。でも市街地の空では、性能を生かし切れないのがもったいないところ。家の前から明石海峡が見えるのですが、たまに夜間行き交う船を眺めると、とてもよく見えてビックリします。航海用なら、ちょうどいいんでしょうねぇ。

■これまでの感想と今後の展開

 天文用として長く勧められてきた7×50双眼鏡ですが、その性能を突き詰めたのが、このニコンの7×50SPといえます。ただし、それまで使っていた同スペックのビクセンのアスコット7×50と比べると重さが倍近く、手持ちで使うのはほぼ限界(女性では無理でしょう)。三脚を使えば注文通りの性能を発揮できるのですが、それだと手持ちで使える気軽さがなくなってしまい、最初から三脚利用を前提とした、より大きな口径の双眼鏡を用意した方がよいということになってしまいます。実際、似たような値段で7cmクラスの双眼鏡が手に入るわけですし。
 というわけで、このクラスの双眼鏡、けっこう中途半端な存在になってしまったような気がします。気楽に使うのなら4cmクラスの方が取り回しが楽ですし、市街地で使う分にはひとみ径の点からも、コントラストの面で有利でしょう。

 なんだか厳しいことばかり書いているような気がしますが、製品的には良いものですし、長く使えるものだと思っています。天文以外の用途で使うか否か、三脚固定を前提とするか否か、市街地の空と遠征時の空とどちらを優先するか、などなど、いろんな要素があるのですが、自分の場合、結局使い慣れたスペックを選んだ訳です。
 ちなみにSPを買った後に出たフジノンの7×50FMTR-SXを覗いたことがあります。重量はあまり差がないのですが(FMTR-SXの方が70gほど軽い)、バランスのせいかゴムラバーのせいか、ずいぶん持ちやすく、軽く感じました。見え味も昼間の景色ではほとんど差がないようなので、今ならこちらを買っていたかなぁ、と感じました。SPもだいぶクラシックな雰囲気なので、もうちょっとがんばってもいいかなと思います。

(2002.7.22記)


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