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星見用メガネ


■購入のきっかけ

 どんな望遠鏡も、どんな双眼鏡も、肉眼で見る星空の美しさにはかないません。
 ところが私はちょっと度の強い近視。しかも右目は乱視入り。ふだん使っているメガネは、日常生活に支障はないものの、星がちょっとにじんで見えてしまいます。
 2002年12月4日のオーストラリア皆既日食と、その前後の南天の星空を見るために、ちょっと奮発してしまいました。目指せ満天の星、目指せダイヤモンドリング!!
 奮発といっても製作したのは「5,000円〜」の格安店だったのですが。

■スペック(?)

メガネ:口径 長径 55mm 短径 39mm 実視界 未測定 矯正視力 左1.2 右1.0 (両目1.2)

■お店にて

 「メガネ作ってもらえませんか?」と、三宮地下街の某眼鏡店を訪問。
 「今の視力に合わせるのでしたら、このくらいでしょうねぇ」という店員の薦めを振り切って、もっと強力矯正をかけたものをリクエスト。「たぶん頭が痛くなってくるので、お勧めできませんよ」と言われながら、星見用ということで、作ってもらいました。
 右目がちょっと乱視(しかも強力らしい)混じりなので、量販店で手配できるレンズでは1.0以上の矯正は無理。本来ならば左右の視力を合わせるところですが、左は限界の1.2まで上げてもらいました(もともと左は強力な近視)。2.0でも良かったのですが、もとの肉眼の性能上、そこまではかないませんでした。
 実は日食観測一週間前にオーダーしたので、「これだけ度が強いと在庫があるかどうか……」とおどされたのですが、なんとか間に合いました。ちなみにお値段は、高屈折率のガラスに+2,000円のフレームにしたので、13,000円かかりました。それでも普通にメガネを作るよりはずっと安いですけどね。

■最初の印象

 「よく見えるけど、こんなもんかな」
 と思っていたのが甘かったのです。実は限界近くの矯正をかけたので、5m未満の距離はピントを合わせにくい状態になっていました。試しに作ったばかりの眼鏡をかけたまま家に帰りましたが、とにかく遠くはピントが合っているのですが、近くを見るときはかえって目が疲れる感じ。近視の人間にとっては普段と逆の感覚で、かけているうちに慣れては来ますが、これは確かに遠距離用です。
 地下から地上に出たとき、遠くの夜景までクッキリ見えるのに驚きました。

■操作性

 ていうか、普通のメガネと一緒です。

■光学系

 マルチコートはしてあるようですが、しょせん単レンズ。視野の周辺部に水銀灯などを入れると、けっこう鮮やかな色収差を感じます。でも恒星程度の光源では気になりません。
 そういやアクロマートやアポクロマートのメガネって、聞いたことないですね。フローライトのメガネなんてあったらよく見えそうですが、2枚玉だと重そうだし、高そうだし、フローライト面に傷が付きやすそうだし、使い物にならないでしょうねぇ。

■これまでの感想と今後の展開

 というわけで、オーストラリアの日食・星見で期待通りに大活躍しました(日食観測に参加するために、唯一新調した機材(?)でした)。見える星の数が1.5倍は違う感じです。星が点に見えるので、気持ちがいいです。今後も星見のお供として活躍してくれるでしょう。
 眼鏡をかけているかたは、下手な望遠鏡や双眼鏡を買うより、強力メガネを作った方が、星見の幅が広がりますよ。
 …もっとも、眼鏡屋さんのいうとおり、ふだんは使う気になれません。直接からだに装備するものですし、あくまでも自己責任で、星見用と割り切れる人にだけ、お勧めします。はい。

(2002.12.20記)


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