塩屋天体観測所プラネタリウム・天文台訪問記
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国立天文台訪問 2003年8月
〜第一赤道儀室〜

[天文台まで 第一赤道儀室 アインシュタイン塔 展示室 大赤道儀室 そのほか]

第一赤道儀室全景

 第一赤道儀室は、この三鷹キャンパスで一番古い建物です。

 建造が1921(大正10)年ですから、関東大震災前が起こる以前の建物ということになります。当時の東京天文台の主な施設は港区の麻布にあり、都心から郊外の三鷹への移転が進められている最中でした。

 なんとなく、木曽観測所の105cmシュミットカメラのドームに似ている気がします。

ドームスリット下部 ドーム天頂部

 ドームは木造です。白く塗られた内壁を見ていると、天文台というより、古びた船の胴体を見ているようです。

ドーム頂上部 赤道儀本体

 中に置かれている望遠鏡は、カールツアイス社製の20cm屈折望遠鏡。焦点距離が359cmですから、口径比は17.95にもなります。現在のようにEDやフローライトを用いたアポクロマートではありませんが、これだけの口径比があれば、アクロマートでも十分以上の性能が発揮できたはずです。

 主に太陽観測に活躍し、1999年3月まで現役でした。主鏡筒で太陽黒点のスケッチ観測、同架されている10cm屈折望遠鏡で写真観測が行われていたそうです。

 赤道儀は「速度調整機構付重錘式時計駆動」で動くのだとか。これだけだとさっぱり分かりませんが、要は重りを利用して天体追尾を行う機械で、速度調整というのは恒星・太陽・月・惑星とそれぞれ微妙に運動の違う天体に合わせて追尾速度を変化させられるということです。現在なら電気仕掛けが当たり前ですが、当時はまだまだそういうわけにいかなかったのでしょう。

太陽投影版 ドーム内の解説

 左の写真は20cm屈折望遠鏡につけられている太陽投影版です。投影された像の直径は24cm。かなりの大きさになります。望遠鏡の基部はアクリルの覆いで囲われていて、直接触ることは出来ませんが、観測が行われていた当時の息づかいがそのまま伝わってくるようです。

 三鷹キャンパスでの太陽観測は、現在、専用の新しい望遠鏡が設置され、CCDカメラを用いた自動観測を行っているそうです。

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