塩屋天体観測所プラネタリウム・天文台訪問記
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ソニーサイエンスエクスプローラーを見てきました
(東京都港区台場)

ソニーサイエンスエクスプローラーエントランス

 ソニーエクスプローラーサイエンスは、名前の通り、ソニーの提供する科学館です。東京・港区はお台場にあります。この科学館の目玉の一つが、プラネタリウム「スタープロジェクター」。約170万個の星を投影できるもので、投影星数のスペックは大平技研の初代メガスターに匹敵します。

ソニースタープロジェクター

 実はスタープロジェクター、大平貴之さんがソニーに在籍していた当時、彼の持つメガスターの技術をライセンスして、ソニーが制作したものなのです。

 こういう実験的な製品を作ろうとするあたり、往年のソニーらしさを彷彿とさせます。スタープロジェクターは製品化が行わず、大平さんもソニーを退社してしまいました。展示室の方に聞いたところでは、全部で6台のスタープロジェクタがあるのだそうです。

中央奥の白い半球がプラネドーム

館外のポスター「星空の贈りもの」

 ソニーエクスプローラーサイエンス、実は館内は撮影禁止です。なので写真はエントランスのロビーだけ。公営の科学館は、写真撮影は自由になっているところが多いのですが(もちろん投影中のプラネタリウムドーム内は除く)、このあたりでも、民間企業が経営しているのだなという感じがします。

 私が訊ねたとき(2006年1月2日)に上映していたのは、「星空の贈りもの」。以前、日本科学未来館のメガスターIIで上映されていた番組のリニューアル版です。一回の上映は25分ほどで、30分間隔で投影を行っています。オート投影ならではのハイペース。

 ドーム直径は8.3m。一回の定員が30名しかないので、いきなり1時間待ちの行列に並ぶことになりました。混雑時には整理券を配布することもあるそうですが、この程度は混雑のうちには入らないようです。並んでいる間は他の展示を見ることもできないので、ちょっと時間がもったいない気もします。

 スタープロジェクターの星像は、初代メガスターに似ています。

 ドーム全面にびっしりと映し出される細かい星々。輝星投影機はないので、全ての星が同じ電球色です。ただ色温度が高い光源を使っているようで、星の色は白く、意外に自然な雰囲気の星空です。

特別展「大平貴之とプラネタリウム展」

特別展入口

 ソニーエクスプローラーサイエンスでは、2005年12月17日〜2006年1月29日まで、特別展「大平貴之とプラネタリウム展」を開催していました。

 大平さんのつくったプラネタリウムの歴史を丸ごと再現し、現在のメガスターに至る歩みを紹介する意欲的な展示です。

 最初のコーナーは、暗室の壁に蛍光塗料を塗った星をちりばめた小部屋。大平さんが小学生の時につくった「プラネタリウム」の再現です。

 その次には大平さんが高校1年生の時に制作した1号機。これはピンホール式で、恒星投影球のだけが現存しています。6,000個の星を手作業でプロット、穴あけしたもの。

 そして高校3年生の時の2号機。リスフィルムに約15,000個の星をプリントした恒星原盤を用いたもので、当時の天文雑誌「SKY WATCHER」にも4ページほどだったか、記事が掲載されていたのを覚えています。

 次に登場するのが3号機「アストロライナー」。アマチュアがレンズ式投影機に挑戦した画期的なもので、約45,000個の星を投影します。大平さんが大学生だった1991年に完成させたもので、当時としてもこの投影星数は群を抜いたものでした。これは現物ではなく、複製品の展示。2005年夏にフジテレビ系列で放映されたドラマ「星に願いを」で使われたものです。模型とはいいながら、細かい配線まで再現されていて、通電すれば星が映るのではないかという出来映えでした。

 次のコーナーにはスタープロジェクターが展示してあります。リモコンまで装備していて、プラネタリウムというよりも大型家電機器のような雰囲気です。「買ったらいくらくらいですか」と展示室の方に聞いたのですが、どうもよく分からないみたいでした。市販されてないのだから、仕方ないですね。

 その反対側のスクリーンでは、メガスターの投影の様子が上映されていました。

 最後のコーナーでは、家庭用の「ホームスター」と、大人の科学マガジン9号の付録の「マイスター」の展示がありました。さすがに本物のプラネタリウムを見たあとでは迫力不足の感もありますが、これは比べるのがかわいそうというものです(苦笑)。

(2006.1.2訪問/2006.4.2記 福田和昭)

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