塩屋天体観測所|プラネタリウム・天文台訪問記|明石星の友の会活動紹介・海賊版
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やってきました、真夏のイベント、野外天体観測会です。今年は兵庫県を飛び出して、鳥取はさじアストロパーク(佐治天文台)まで遠征しました。
最初に書いておきます。晴れました。
天の川なんて、雲と間違った人がいるくらいです。過去数年間の野外天体観測会では最高の空でした。
望遠鏡を覗くのも、双眼鏡をかざすのも面倒になって、シートを敷いて仰向けになって、何も考えずに星空に浸りたくなってしまいます。それくらいきれいな星空でした。
明石を13時過ぎに出発して、佐治には16時過ぎに到着しました。休憩含めて、約3時間です。意外に近いものです。旧佐治町は市町村合併で現在、鳥取市になっています。なんと「鳥取市立さじアストロパーク」なのです。でも鳥取市街からは車で1時間……その分、空もきれいで、また、兵庫県に近いわけです。
実は到着したとたん、空から雨が落ちてきました。天気予報では晴れか曇りのマークしか出ていたかったのですが、あれ!?
天文台のある高台から少し下った場所にある付属のペンションに泊まったのですが、えーと、木々の向こうに見えるドームが雨でかすんでいます。だれじゃ、日頃の行いが悪いのは。あれれっ!?
この日はさじアストロパークの星祭りで、オープニングにモデルロケットが打ち上げられる予定だったのですが、見ての通りの水浸し。残念ながら打ち上げは中止になってしまいました。天候不順で打ち上げ日程が変わるのは、本物のロケットでもよくあることです。はい。
ペンション「コスモスの館」の隣に「アルデバラン」というバーベキュー用の建物が建っています。牛肉→おうし座→アルデバラン、という連想だそうです。橙色のアルデバランの輝きが、急に肉汁のように思えてくるから生々しいものです(そんなわけないです)。
で、どんな注文をしていたのかしりませんが、肉の量がすごいのです。だいたいテーブルあたり4人前後になるように座っていたのですが、私のテーブルは3人だけだったこともあって、より割当量が多くなりました。とはいえ男3人ですからそれなりの胃袋許容量はあるはずなのですが、肉より先に野菜を食い尽くし、バランスが悪いので隣のテーブルから野菜だけ奪ってくる始末。
食べるのに忙しくて、一枚も写真を取っていませんでした(ぉぃ)。
星が見えなくても、こんだけ肉を食ったら、もういいやと思ったものです(ぉぃぉぃ)。
8月6日の晩は、さじアストロパークの「星まつり」でした。今回で12回目なのだそうですが、地元の方々の屋台が出ていたり、館内で盆踊りをやっていたり、天文マニアが集まるというよりは、地元の方々が手作りでやっているといったほほえましい雰囲気です。
地元の方々の屋台では、ダチョウの焼き鳥なんてのがありました。天文台に登る山道の途中にダチョウを飼っている農園を見かけたのですが、たぶんあのダチョウくんです。天文科学館の鈴木さんに「ふくださんもどうです?」と声かけられて食べてみたのですが、意外に美味しいものでした。
あとの地元食材では「梨シャーベット」がありました。こちらもあっさりしていて美味。
天候が思わしくないままなので、観望会は望遠鏡の見学会状態。かわりに子どもたちは館内外のクイズラリーに走り回ります。……あちこちに掲げてあったクイズの問題を見たのですが、
「現在(2005年8月6日)宇宙にいる人間は10人いる」
「野口さんは宇宙を飛んだ日本人宇宙飛行士として5人目だ」
○か×か、分かります? 簡単な問題もあるのですが、大人でも頭をひねっちゃうクイズも混ざっていました。
館内では「宇宙人仮装大会」なんてのもやっていました。優勝賞金3万円です。あとで調べたら、アストロパーク賞というのがあって、副賞が「サブ天文台宿泊招待券(29000円相当)と副賞」だったのです。出ればよかった(ぉぃぉぃぉぃ)。明石組は館に戻れば「シゴセンジャー」や「星博士」など、役者がたくさんいるのですが、プロはダメですと言われちゃったかもしれませんね。
空は曇りっぱなしでしたが、みなさん星祭りの会場で、三々五々楽しんでいました。
例の梨シャーベットをほおばりながら外に出ると、雨が上がっています。なにげに空を見上げると、雲間に輝くものが一つ、二つ。
「晴れてきた!」
こうなると俄然、元気が出てきます。宿に戻って、アストロパークから借りた望遠鏡を組み立てます。ビクセンの9cm屈折なのですが、なにが太っ腹って、フローライトの鏡筒を貸し出してくれるのです。ひょえ〜。
そのうち、あちこちで星空解説の輪が広がります。雨上がりで程良く湿気が残っているおかげで、懐中電灯を空に向けるとちょうど良いポインター※になってくれます。
※周りの人の迷惑にならないように気をつけましょう。
雲はどんどん減ってきて、代わって南天から北天に、天の川の光の帯が横たわります。来た甲斐がありました!
再び星祭りの会場に足を運ぶと、ちょうど宇宙人仮装大会が終わったところでした。なにげに館内のアナウンスに聞き耳を立てると、「103cm望遠鏡で観望会をやってます」なーんて言っているではありませんか。これは行かないわけにいきません。
ベガと、M57環状星雲、そしてM13球状星団を観望します。
うわー、すごいものを見てしまった。とため息をつきながら降りてくると、下のロビーに明石の友の会のみなさんが全員集合です。なにがあったのかと訪ねると、一般公開の観望会の後に、明石の友の会向けに観望会の時間をセットしてくれたのだそうです。ひえ〜っ、だってもう22時廻ってますよ。いいのですか、佐治のスタッフのみなさん。
ていうか、先に見てしまって、なにか申し訳ないような気も……4〜5人くらいが一般公開の観望会に紛れ込んでいたのですが、
「あーそうなんですか、どおりで質問の雰囲気が違う人が混じってるなぁと思ったんですよ」
と佐治の方。私は大人しくしてましたので、他の誰かが鋭いつっこみを入れてたみたいです。
さて、仕切り直しで、友の会対象の観望会。
海王星・M57・M13・アルビレオ・網状星雲・M27・土星状星雲・ベガ
が観望対象(順不同)。大きな望遠鏡の観望会で、これだけ見せていただけるなんてなかなかないことです。そして、なにせ103cmの集光力です。M57なんて、写真で見たのをそのままモノクロにしたような雰囲気です(人間の眼は弱い光の色を感じにくい)。目をそらし気味にするなんて小細工はいりません。問答無用にリング星雲です。M13なんてあなた、星のツブツブがうじゃうじゃですよ。「なんじゃこりゃー」と叫んでしまいました。
私たちのリクエストに応じて天体を選んで頂いたのですが、土星状星雲だけは佐治のスタッフのお薦め。なんと青白く色が付いて見えます。色つきの星雲なんてはじめてみました。そしてベガ。暴力的な集光力で、接眼部に手をかざすと、手のひらにベガの光がはっきり映ります。というか、床まで光が届いています。なんだかレーザービームを直視したような強烈な明るさでした。
天文台での観望会が終わったのは23時を軽く過ぎた頃ですが、これで寝るような人たちではありません。宿の前庭にお店を広げて、引き続き空を眺めます。
といっても、大きな望遠鏡をさんざん見せて頂いた後なので、それから小さな望遠鏡ではどうしても見え具合の差は否めません。せっかくの空なので、ごろんとシートに寝ころんで天の川を眺めます。
手製のコルキット10cmドブソニアンを持ち込んだのは宇野一家。なんでも手作り望遠鏡の見え具合を比較して夏休みの宿題にするのだそうです。なんと高度な! ……というか、曇りっぱなしだったらどうするつもりだったのでしょう(^_^;
その手製ドブソニアンを覗かせてもらっているときに、パッと足元が明るくなりました。同時に「ワァ!」と歓声が上がります。何事かと空を眺めると、マイナス4等以上はあろうかという火球がパッと爆発して消えゆくところでした。あとには流星痕がはっきりたなびいています。
すっかり興奮さめやらぬ一同。全員見とれるままで、誰一人願い事を唱えていなかったのは、何というべきか。
夜中の2時を回ると、再び雲が増えてきました。家族組はすでに床に着き、私も2時半くらいで寝ました。若者の春田くんと河野くんは徹夜してたみたいです。
さて、明け方4時半。5時前後にISSが見えるはずという予報を頼りに、薄明の空を見上げに起き出します。徹夜の2人と福原さんと私。かなり明るくなった空に見える星は火星だけ。条件は良くなかったのですが、やっぱり見ることかないませんでした。あきらめてまた寝ます。
2日目の午前中は、宿で自由時間。館の鈴木さんがペーパークラフトを持ってきていたので、私はISASのM-Vロケットをつくりました。前に一度つくったことがあったので、余裕をかましていたら、かなり厚手の紙に印刷されていたこともあって、うまく行きません。あえなく指令破壊と相成りました。ええ、途中でつくるのを放棄しました。
アストロパークにもプラネタリウムがあります。五藤光学の投影機で、明石に比べるとずいぶんこじんまりしたものです。投影が始まるまで、天文台の玄関で、私が持ち込んだPSTで太陽のミニ観望会を店開きしていました。さてプラネタリウムですが……全然覚えていません。前の晩に3時間くらいしか寝ていないので、あえなく記憶を失いました。ごめんなさい。
プラネタリウムのあとは、再び103cm望遠鏡。昼間の星ということで、えーっと、私が見る前に曇ってしまいました。残念。他の天文台で見たことあるのですが、昼間の星というのもなかなかきれいなものです。
左は103cm望遠鏡のコンソール。なんだかすごそうですがパネルの裏にPCが隠れているだけではないかというような気も。まぁ明石なんて今でもMS-DOSのソフトで動いていますし。
右は展示室にぶら下がっていたMUSES-C「はやぶさ」。サンプラーホーンやターゲットマーカーもちゃんとついていて、かなり良くできた模型です。
左はアストロパークの案内地図。左下が宿泊したペンションです。中央上やや左の大きな建物が天文台兼展示室。その他に点在しているのはドーム付きの宿泊棟です。こちらにも泊まってみたいもの。
右は広場のようす。地面に夏の星座が描かれています。写真ははくちょう座。手前がアルビレオです。芸が細かいです。
遠ざかる佐治天文台。周囲に梨畑が広がっているのが、いかにも鳥取県でした。
ふくはらさんのサイトにもこの時の様子が載っています。8月6日の分と、7日の分。
昨年は雨男呼ばわりされていた館の鈴木さん、今年はとっても強気です。観望会も一度を除き、何も見えなかった日はないのだとか。
次は秋に野外天体観測会があります。また天気になりますように。