塩屋天体観測所|プラネタリウム・天文台訪問記|明石星の友の会活動紹介・海賊版
前のページへ戻る
10月の天体観望会は、特別講演会とのセットで行われました。お招きしたのは国立天文台助教授の渡部潤一先生。テレビの解説でもよくお姿を拝見する、この世界の有名人です。
2006年8月の国際天文学連合(IAU)総会で惑星の定義について議論されたのは記憶に新しいところですが、渡部さんはIAUが提案した原案を作成する委員会に入っていた7人のメンバーの一人。とりわけホットな講演会となりました。
プラネタリウムのコンソールにいるのが渡部さん。テレビではまじめな顔をしてまじめな解説をされていますが、素だとむっちゃ面白い人です。冗談の間にまじめな話をしているのではないかという勢い。そのまじめな話が、なかなか深いんです。
「エッジワース・カイパーベルト天体、1992年に最初のものが見つかるんですね。そうしたら天体なんてゴキブリと一緒なんですよ。一個見つかったら、他にもウジャウジャいると思った方がいい」
「惑星が"鶏"だとしたら太陽系小天体は"卵"。これまで鶏と卵だけだった太陽系に、矮惑星という"ひよこ"のグループが出来たのです。鶏と卵だけじゃなくて、ひよこも調べることで、より深く、太陽系のことが分かるようになるんです」
講演会後の質疑応答もむちゃくちゃ盛り上がりました。「宇宙人はいると思いますか?」なんて定番の質問も出てきてびっくり。それだけ幅広い層の方がいらしていたんでしょう。
「(天文学者の)ほとんど100%がいると思ってるのではないでしょうか。地球に来たかどうかは別ですよ」
ちなみに惑星の定義の原案をまとめる委員会のメンバー構成については「天文学者で議論していたのではいつになっても決まらないので、変な人……天文学以外のことにもいろいろ首を突っ込んでいる……よく言えば視野の広い人を集めたそうです」とのこと。
4階日時計広場では、10cm屈折と12cm屈折を使って、天王星を観望。そして16階観測室では40cm反射で海王星を観望。
井上さん曰く、「現在ご覧になって頂いている天王星、すごく地味です。でもご安心ください。上で見て頂いている海王星、もっと地味です」
並んでいるお客さん、大爆笑。
それにしても、渡部潤一さんの太陽系のお話の後で天王星・海王星の観望とは、よいタイミングでした。
3階展示室の冥王星。後ろの一時は惑星になりかかった天体ともども、嵐のような2006年の夏でした。もっとも冥王星軌道では嵐どころか、年がら年中氷漬けなのでしょうね。