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観測所雑記帳 Oct.2001


ちゅらさんの星空 2001年10月1日

 9月末で放送が終了したNHKの朝の連続ドラマ「ちゅらさん」。
 善人しか出てこない安心してみていられるドラマだったので、ついつい最後まで見てしまったが、たまに登場する星空に、まじめに星座が描かれていたのにはちょっと驚いた。春先に主人公の恵理が見上げた星空には「しし座」、夏に星空を見上げた場面では「こと座」。ほんのちょっと間だったけど、しっかり星の並びをたどることができた。ドラマの舞台の東京でそんなに星が見えるのかというツッコミは置いておいて、スタッフの中に星好きの方がおられたのだろうか。

中秋の名月 2001年10月1日

 神戸では見事に晴れ渡り、昨年に引き続いて中秋の名月を眺めることができた。
 友人の携帯に「今夜は中秋の名月だよ!!」とメールを送ったら、何通も返事が返ってきた。様々な想いで、みな満月を眺めている。
 ほんとの満月は10月2日なのだけど。

食べそこねた土星 2001年10月8日

 北日本では土星食。それ以外の地方では月と土星のニアミスだが、限界線が東西に延びているため、東北地方からだいぶ離れた神戸でも、月の南すれすれを通り抜ける土星の様子を見ることができる、はず。
 夕方ベタ曇りだったので、安心してあきらめて寝られると思っていたが、布団に入る前なにげに窓を開けたら、いつの間にやらこうこうと輝く天空の月。本当は寝る気満々だったのだが、とりあえず双眼鏡でも見ておこうと思ったのが運のつき。7×50の双眼鏡でも、月にピタリと寄り添った土星が楕円形に見えて、なかなか楽しい眺めなのだ。
 結局BORG10cmアクロマートを持ち出して、しばらく食べそこねた土星を見続けるはめになってしまった。

980円双眼鏡 2001年10月10日

 仕事場に2台あった仕事場のプリンタのうち、1台が故障。生き残った1台をWinマシンとMacの共用で使ってきたが、こちらも調子がおかしくなり、仕方がないので代替機を購入することになった。何件か店を回っているうちに、ハーバーランドのダイエーで、思わず目に付いたのがワゴンに山積みになっていたケンコーの7×21双眼鏡。なんと980円。レンズをのぞき込むと反射光ギラギラでまともなコーティングなどしてないし、筐体もプラスチック製。見え味もそれなりといえばそれなりなのだが、なんといっても980円である。いちおうポロ式なので、100円ショップにあるようなおもちゃの双眼鏡よりははるかに実用になるし、軽いし、なにより万が一こわしても全然惜しくない。ん〜と悩んでしまったが、星を見る以外に双眼鏡などほとんど使わないので、結局見本を手に取っただけで止めてしまった。
 このクラスの双眼鏡なら、まともなものでも5,000〜10,000円くらいで買えるんだもんなぁ。それを考えると、安いんだか、高いんだか。

双眼鏡ほしい病 2001年10月20日

 上記の980円双眼鏡を見たついでに、同じ売場にあったペンタックスの小型双眼鏡タンクローやカード型双眼鏡を見ているうちに、このクラスの小さな双眼鏡が欲しくなってしまった。もともと天体用に7×50を持っており、最初は星見にもぎりぎり使える30mmクラスのものでサブ機を探していたのだが、光学性能で評判のいいキャノン8×32WPあたりになると以外に大きくて重く、同じキャノンの防震機10×30ISではちょっと値が張ってしまう。いっそのこと星見は完全にあきらめて20mm台で手頃な機種はないものかと思って、あちこち店を訪ね歩いてみた。

 眼鏡常用者なのでアイレリーフが長いのは必須条件。倍率も低いもので十分なので、というより手持ちで高い倍率を使う気はないので、タンクローG8×24と小型機のタンクローM8×21が最終候補に残ったのだが、覗きやすくて操作性の良いタンクローGと、眼鏡でもぎりぎり覗けて一回りコンパクトなタンクローMの間でどうしても甲乙付けがたい。光学機器なのだから覗きやすさと使い勝手だけ優先しても良さそうなものだが、カタログ上で2.2cm違う大きさ(小ささ?)が、立体になると意外な差とあり、やたらとタンクローMがコンパクトなのである。ふだんバッグに入れておこうと思うと、この差は大きそうである。

 そんなこんなでいろいろ考えていて、ついでに他の機種も覗き比べていると、意外に面白いのがさらに小型なカード型双眼鏡。並んでいたミノルタ・ペンタックス・キャノンいずれの機種も覗きやすく、使い勝手も悪くない。個人的には円形視野が確保されているキャノンの機種が気に入ったのだが、いかんせん口径が15mmなので、5倍はともかく7倍になると視野が暗いし、見かけ視野も広くないので屋外で使うにはちょっと窮屈な気がする。ニコンのミクロンも置いてあったが、値段も高いし携帯性だけならカード型双眼鏡が一枚上手。でも機能性丸出しのデザインはとても魅力的。とはいえ屋外で使うには、ちょっと勿体ない。こんなのを見た後で10×30ISを覗くと明るいし防震機能が効くし、値段も決して手が届かないものではないだけにうっかり手が出てしまいそうで危なくなる。

 そんなこんなで10機種以上覗き比べているうちに、そうとう目が疲れたのか、だんだん頭が痛くなってきて、けっきょく何も買わずに帰ってきてしまった。まったく何しに行ったのだか。

ティコ・ブラーエの星空 2001年10月20日

 今月は日祝日も仕事場に出ることが多く、まる一日の休みが取れたのは第三日曜日の今日が初めて。久しぶりに明石のプラネタリウムを見に行った。天文科学館はその日の解説担当者の時間割が館内各所に掲示されているので、ドームに入る前から誰の解説なのか分かってしまう。顔見知りの方だったりすると、投影後はともかく投影前に眼を合わせるのは何となく気恥ずかしいので、そそくさと解説台の前を通り抜けて席に向かったりする。

 そのうち周囲のシルエットの説明が始まり、今日はいつもよりしゃべりのテンポが速いな、なんて思いながら聴いていると、景色の説明もいつもよりちょっと軽めに進んでいるような気がする。今回は本編で時間が押してしまうような番組なのだろうか……なんて、なんで自分がそんなこと気にせなあかんねん。やな客やなぁ……

 今日は星座の間をすり抜ける火星の様子や、ぼんやりした姿がしっかり投影されているアンドロメダ大星雲、おまけにチィコの新星まで出てきてなかなか楽しい投影やった。それにしてもチィコ・ブラーエ、望遠鏡以前の人なので、肉眼で天体観測をしていたとは……知識としては知っていたけど、彼の観測成果を聞きながら改めてそのことを考えると、ただただ驚くばかりである。没後400年と言うから、日本ではちょうど戦国時代から徳川幕府成立直前までが、彼の活躍した時代になる。ティコの新星の出現した1572年は、日本では織田信長が室町幕府を滅ぼす前年、武田信玄が徳川家康を破った三方ヶ原合戦のあった年である。かに星雲の超新星を記録していた民族なのだから、なにか日本にも記録が残っていないものかと思うのだが……どうなんやろか。

神戸の天体望遠鏡店 2001年10月20日

 今年4月に神戸にオープンした天体望遠鏡店「サイバーサイエンス」が灘区から中央区の兵庫県庁裏に引っ越してきた。市営地下鉄の県庁前駅からすぐ、元町駅からでも10分かからない場所なので、以前に比べるとずいぶん便利な場所になった。もっとも現在、望遠鏡・双眼鏡に関しては13cm反射、10cm屈折(アクロマート)、7.6cm屈折(自作アクロマート)、6cm屈折(アクロマート正立)、7×50双眼鏡と、中小口径ばかりだが数だけは豊富に持っていて、当分新機種を導入する予定も必要もないのだが、あいさつ代わりに寄ってきた。

 新店舗の売りは天文雑誌のフォトコンテストでおなじみのフジピクトロスタット400。関西の天文ショップで初の導入だという。自分は写真をやらないのでイマイチ価値が分からないのだが、説明を聞いていると天体以外でもいろんな用途の写真出力に使えるということが分かった。業務用の機械だから当たり前といえば当たり前なのだが、もしかしたらそちらの方でお世話になるかもしれない。

 冷却CCDまでは手が出ないが、デジカメやビデオカメラを使えば、街中でも気軽に天体撮像を楽しめる時代である。でも惑星の強拡大なんか、普通の人に見せてもただのピンボケ写真だしなぁ。月なんかこだわりだしたら大変なことになりそうやし、ビデオにしても木星食や土星食みたいに動きのある天文現象がそうそうあるとは限らないし……とりあえず職場にある機材を借りて遊んでみようかな。
 なんにせよ、今までは大阪まで出ないとなかった星の話のできる店が、職場から自転車で行ける範囲になったのはありがたい限り。

天王星・海王星 2001年10月23日

 小学生の頃から星を見ているので、天文歴だけなら相当長いものになるが、途中数年ブランクがあったり、そもそも写真を撮ったり観測に精を出したりなどとは縁遠いお気楽天文屋なので、この年になっても見たことがない天体というのも、意外に多くある。

 惑星では、金火木土のおなじみの惑星はしょっちゅう見ているが、水星となると小学校の頃に一度自宅前の路上に6cm屈折経緯台を担ぎ出して見たきりである。それでも一生に一度も水星を見ることができなかったコペルニクスよりはましだが、中学では部活の朝夕練があり、高校は片道1時間近くの遠距離通学だったので、わざわざ気合いを入れて見ようという気にもならないまま、これまで来てしまった。中学の頃に水星の日面通過というのがあったような気がするのだが、見たとしても小さなはっきりとした黒点が一つ増えた程度にしか見えないから、印象も薄かったのだと思う。天王星・海王星に至ってはボイジャー2号の訪問後も、一向に見る機会のないまま今に至っている。実は天王星は明石市立天文科学館の天体観望会で見せて頂いたことがあるのだが、これもようやく昨年の話。今日はたまたま早く帰宅して、空も晴れていたので、やぎ座にいるはずの両惑星を、今度は自宅から見てみようと思い立った次第だった。

 震災後も改築の手が入ってないオンボロアパートに居を構えているのだが、ベランダが無い代わりに南側にそこそこ広い窓があり、そこから前のアパートの屋根越しに南天を見ることができる。ただ望遠鏡でとなると話は別で、部屋の多少奥まったところに赤道儀の不動点が来るため、視野はとても狭いものになる。高度にして15〜30度ほど、水平方向は南南東から南西方面だけである。
 両惑星とも幸いぎりぎり、この範囲内に収まっていて、なんとか望遠鏡を向けることができた。

 意外に活躍したのが「ステラナビゲーターVer.5」、天文シュミレーションの定番ソフトである。モニタの星図を倒立像にして視野円を表示させ、表示等級を現在見えている星野に合わせて、望遠鏡とモニタを見比べながら対象を導入していく。自動導入望遠鏡ならパソコンから望遠鏡を動かすこともできるのだが、そこは十数年使い倒した旧型の赤道儀である。微動ハンドルをくりくり回しながら導入する手間は全く変わらない。ただ視野に見えているものと星図の同定がとっても楽で、紙の星図だったら確認に自信が持てなかっただろう。

 はじめに見たのは海王星で、こちらは光度7.8等。相当苦労したが、周囲の星との位置関係で同定。150倍まで倍率を上げてみたが、周りの星とほとんど違いがない。「天文年鑑」によると円盤像を見るには200倍ほどかける必要があるそうなので、致し方のないところだろう。そもそも部屋の中から見ているので、150倍でも星像がなかなか点にならないシーイングの悪さである。それでもなんだか感慨深く、しばらく視野の中の海王星を眺め続けていた。

 続いてみたのは天王星。こちらは5.8等あるので、導入はずいぶん楽になる。100倍あれば円盤像が見えるというのだが、こちらも今ひとつはっきりしない。色は白色で、微妙に薄緑がかっているような気もする。もっとも色については先入観のなせる見え具合かもしれない。
 これで太陽系の惑星のうち、見たことがないのは冥王星だけとなった。これは手持ちの13cm反射では役不足なので、どこかの公開天文台で見せてもらうしかないだろう。次は4大小惑星の制覇でもねらってみよう。

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