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観測所雑記帳 Mar.2002
「卒業」一年 2002年3月3日
会議で東京に出張。久しぶりに夜行バスでの往復となる。
早朝に新宿に到着し、散歩がてら麻布台の旧東京天文台跡へ向かう。日比谷線に乗り換えるために、山手線で恵比寿へ向かう。途中、渋谷駅を通過。五島プラネタリウムのあった東急文化会館が見えないものかと思って車窓に目を凝らしたが、結局分からなかった。
会議が終わって、友人と喫茶店で時間を過ごしての帰りがけ、1年前に有志主催で行われた五島プラネタリウムの「自主卒業式」に参加するため、上京したことを思い出した。そういえば、あれも3月上旬だったっけ。あのときも無理やり時間を作って、夜行バスで神戸-東京を往復したんだった。……って、気付いてみれば、そう、日付もたしか3月3日やったやんか。そうかぁ、もう1年になんねんなぁ。
池谷・張彗星 2002年3月6日
いぶかしがる同僚の視線を振り払うように職場を後にし、自宅に帰って池谷・張彗星の観望にチャレンジ。
10cm屈折と7×50双眼鏡を担いで家の近くを歩き回るが、西空の見える方向は街灯だらけで断念。そのまま徒歩10分の塩屋漁港の海岸まで歩いて機材をセットしたものの、彗星を見つける前に雲が広がりはじめる。
あ〜、と思いながらしばらく待ったが、19時30分をまわり、一向に雲の切れる気配がないので観望断念。
近くに明るい星がないので、探すのも難しい。自宅付近からでは垂水市街の上空になので、薄明が終わっても空が暗くならないし……
……今後はまじめに仕事して(^^;)、週末に再挑戦しよう。
池谷・張彗星2 2002年3月7日
夕方、昨日以上の晴れ具合。今日は普通に仕事をしたのだが、19時前に事務所を出ることが出来たので、よりみちせずに自宅直行。薄明が終わる前に家についたのだが……天頂から南天の晴れ具合は申し分ないものの、西空にわき出る雲・雲・雲……
本当に夕方の彗星は難しい。
池谷・張彗星3 2002年3月8日
毎日夕方になると西空が気になって仕方がない。
夕方、職場からそそくさと家に帰り、77mm屈折と7×50双眼鏡を担いで塩屋海岸へ直行。少しでも西の視界を稼ぐため、少し足を伸ばして塩屋漁港の防波堤まで歩いていく。観望体制に入ったのは19:30頃。双眼鏡でおひつじ座の頭からうお座をたどり……ついに池谷・張彗星を確認!!
明るい空の中、みえるかどうかギリギリの状態で、尾はおろかコマすら分からず、ほとんど恒星と変わらない印象。すぐ横に並んで見えるうお座ζ星(4.9等)とほぼ同じ明るさだったので、光度はほぼ5等級といったところ。注意していないとすぐに見失うような頼りなさ。
77mm屈折は手抜きしてファインダーを付けていなかったので、導入もできず……反省。
いや、それにしても、見えて良かった。
池谷・張彗星4 2002年3月9日
今日はついに7×50双眼鏡を担いで出勤。帰りがけに比較的西の開けた兵庫区の湊川公園により、彗星を観望する。
18:58、うお座ζ星の少し上に池谷・張彗星を確認。昨日と位置を変えているので、すぐに確認できた。高度がまだ少しはあったせいか、前日より分かりやすかった。その気になってみれば、うっすらとコマが見えたような気も……
光度は昨日より少し明るく4等台後半か。高度があった分、明るく感じたのかもしれないが。
それにしても、神戸市街の真ん真ん中の場所で見えるとは、うれしいものだ。
池谷・張彗星5 2002年3月12日
夕方電車で塩屋漁港にBORG100SWIIセットを担いでいく。春霞がひどく、火星からおひつじ座の頭部を確認するのがやっと。とても彗星の確認はおぼつかない。
犬の散歩で通りかかった方に、木星と土星をご覧になって頂いた。とても喜んで頂けて、こちらもうれしい限り。南天の明るい星をさして「あの星は何なんですか?」とおっしゃるので、「おおいぬ座……ワンちゃんの星座のシリウスいう星です」と答えたら、犬の星座があることにも喜んでおられた。
しばらく彗星探しを試みたが、体調が良くないので、早々に退散。
池谷・張彗星6 2002年3月13日
透明度が良かったので、体調を押して塩屋漁港へ出動。19:07、あっさり彗星を確認。10cm屈折では、コマと上方に淡く伸びる尾を確認。尾の長さは7〜8分角くらいか。光度は4.5等。久しぶりに尾を見せてくれた彗星だ。8×24双眼鏡でも尾は見えないものの彗星の存在は十分確認できた。
どのみち光害のひどい場所なので、薄明が終わるのを待つより、空が明るくても高度のあるうちに見た方がよいようだ。寒くならないうちに、早々に引き上げる。
街中の池谷・張彗星 2002年3月15日
兵庫区の真ん真ん中で8×24のタンクローで彗星観望にチャレンジ。19:00頃に仕事場の近くの道端で双眼鏡を空にかざすが、火星からおひつじ座のα→β→γは分かるものの、その先の星がたどれない。どうやら薄雲がかかっているようだ。タンクローは値段の割によく見える双眼鏡だが、逆光・迷光に弱く、場所を選ばないと視野が白けたりゴーストが出たりしてしまう。街灯だらけの街中では、なかなかこれが大変だ。ニコンの7×50なら見えたかもしれないが、あんなものを道端で覗いていたら、それこそアヤシまれただろう。
続けて池谷・張彗星 2002年3月16日
仕事から帰って、10cm屈折と7×50双眼鏡を担いで塩屋漁港へ出動。
もともともやが出ていた空なので、13日のように尾は確認できなかったが, 7×50双眼鏡で存在だけは確認できた。光度は3.6等のうお座η星より若干暗い程度。約4等といったところ。10cm屈折はバックの空の明るさの為ファインダーで彗星を検出できず、散開星団をあれこれ見て楽しんで帰ってきた。まぁいいか。
1ヶ月半ぶりのプラネタリウム 2002年3月18日
約1ヶ月ぶりに明石の天文科学館を訪問。
「星の友の会」の会員証のスタンプが10個埋まってしまったので、受付から学芸係に連絡が行って、科学館のグッズをプレゼントで頂いた。もう十分に面が割れているので、さすがに恥ずかしいような気も……
この日あたったのはベテラン西海さんの投影で、初めて天文科学館に行った年以来、実に3年半ぶり。2000年に星の友の会が再開してからはほとんど毎月通っていた割に、不思議なくらい合わなかったことになる。
1月・2月とオーバーホールしていたプラネタリウム。映し出される恒星が心なしかシャープになっている……ような気がする。とりあえず間違いなさそうなのは、黄色っぽかったシリウスが白く輝くようになっていたのと、大きさの割に暗かった木星・土星が分相応に明るく輝くようになっていたこと。肉眼でもよりくっきり木星の縞と土星の輪が見えるようになったのは、ご愛敬。プレセペ星団もより明るくなってアンドロメダ大星雲並に見えていたような……
プラネタリウムのオーバーホール 2002年3月18日
四元さんの土星食レポート(なんでも前々回は能登半島まで遠征しておられたらしい)と、田村さんの池谷・張彗星レポート(四国の天狗高原や兵庫の山奥・神辺高原まで何度も出かけておられるそうな)。なんとも強力な観測報告。すごい。
館の長尾さんからはプラネタリウムのオーバーホール報告。
明石のイエナ製UPP23/3型機は今年42歳。18歳と30歳の時にオーバーホールを受け、今回の作業は12年ぶり。実は1999年に予備点検が行われており、交換が必要と診断された恒星原盤は、この間にツアイス社で新たに作り直していたのだそうな。なにぶん古い機械なので、すでにドイツにも在庫のない部品が多いのだとか。予備点検で悪い部分を探し出し、1年かけて段取りしたとのこと。
そして今年1月から満を持してのオーバーホール開始。ベアリングのボール1個に至るまで部品を分解して、使えないものは交換し、交換品がないものはホームセンターやインターネット等ありとあらゆる手段で代替品を調達。それでもなければどうするか。最後の最後は工作室のボール版で自作!!
地球の反対側までやってきて、現場で部品をつくるとは、半端じゃない。バラした部品は徹底的に洗浄し、使ったベンジンはなんと5缶分。これは根気というより根性の世界。
予備点検は旧イエナの技師が1名、今回のオーバーホールは旧イエナと旧西独ツアイスの技師のコンビが来日したのだが、旧イエナの技師は2人とも還暦を過ぎておられ、旧西独の技師も40歳台。ウソか誠か、ツアイスでも古い機械をさわれるのはこの3人だけなのだとか……次回はどうなるのだろう。
もっとも次のオーバーホールとなる12年後は明石の投影機も54歳。もし現役であれば、渋谷のツアイスIV型1号機はおろか、大阪の旧電気科学館のツアイスII型の投影記録(52歳)を更新していることになる。果たして……!?
星の友の会例会 2002年3月18日
カノープスと池谷・張彗星を探しに、全員が双眼鏡を手に4階屋上へ。
が、もやと低空の雲のため、カノープスも彗星も確認できず。もっともカノープスは見えた人は見えたらしいけど……俺はダメでした。
その後16階の観測室で観望会。低空の月は早々に雲間に沈んでしまったが、好シーイングに恵まれ、40cmカセグレン反射に480倍をかけて土星を観望。続いて木星。他の人がいなかったらいつまでも覗いていたいくらい。いや、ほんと。
街中の池谷・張彗星2 2002年3月19日
天気が良さそうだったので7×50双眼鏡を担いで出勤。
夕方19:00から長田区のカトリック鷹取教会で会議だったが、その前の空き時間に教会の庭から彗星を探す。だいぶ見慣れてきたこともあり、18:50頃にコマに包まれた彗星を確認。光度は3等台の後半か。尾は見えるような気がする……けど、はっきり確認できないので、どうも気のせいらしい。きちんと三脚に固定したらどうだったろうか。
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