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観測所雑記帳 Nov.2002


HRO調整5日目 2002年11月1日

 調整というのは名ばかりで、アンテナと同軸ケーブルをなんとかするまでどうにもならないので、パソコンの電源を入れている間だけ、HRO受信機も電源を入れて、とりあえずのデータを拾っているだけのこと。

 ノイズにもいろいろあって、一定の周波数のノイズもあれば、緩やかにカーブを描いて上がり下がりするものもあり、突然ガガッと全ての周波数帯に入るのもあり。地上の要因と思われるのだが、ほとんど発生源が分からない。とりあえずは、勉強、勉強。

ヒアデス星団 2002年11月1日

 低気圧が抜けて、透明度の良い空。
 つられて望遠鏡を持って外に出ようとしたが、たまには双眼鏡もいいかと思い直して、7×50双眼鏡を三脚につけ、いつもの観測場所に繰り出した。

 三脚に固定すると、手ブレが無くてよく見えるのだけど、天頂付近を見るにはどうしても窮屈で、結局、地面に寝転がって、手持ちでいろいろ眺めていた。M35・M36・M37・M38・M41・M42・M43・M44・M45……と、このあたりの星雲・星団はそれなりに見えてくれる。

 でも、この日一番きれいだったのはヒアデス星団。視野いっぱいに広がる星々と、雄牛の赤目・アルデバラン。こんなにこの星団、きれいだったっけ? と、すっかり見入ってしまった。

 でも、あまりの寒さに30分も持たずに退却。もう冬並の装備をしないと、夜中の星見は出来なくなった。

大阪日本橋 2002年11月3日

 流星電波観測用のアンテナと同軸ケーブルを買いに、大阪・日本橋に出かけた。
 「日本橋」は「にほんばし」でなく、「にっぽんばし」なのだそうだ。この辺、関西歴5年の底の浅さ。

 東京の秋葉原は何度も通ったことがあるが、大阪・日本橋の電気街は初めて。ざっと見たところ、秋葉原の半分くらいの規模だろうか。
 アマチュア無線用品を扱っている店を探すのだが、これが少ない。目に付くのはパソコン屋ばかり。家電のお店も、心なしか少ないような気がする。これもご時世か。

 東京の秋葉原は、「スターベース東京」と「協栄産業東京店」という望遠鏡屋巡りの楽しみがあるのだが、大阪の日本橋はそうもいかない。せっかく大阪に出てもったいないので、梅田のヨドバシカメラと協栄産業大阪店を覗いてきた。ほんと、のぞきに行っただけだったけど。

 結局、2エレメントの八木アンテナと同軸ケーブルを20m買ってきた。さてさて。

屋根の上の同軸線引き 2002年11月3日

 日本橋から家に帰った途端、ドバーっと夕立。この季節になんだというのだ。
 雨が上がる頃には、日没まで後一時間。アンテナを張る作業をしたものかどうか迷ったが、とりあえず屋根の上に上がってみた。

 これが、恐い!!
 煙と一緒で高いところに登るのは好きな方なのだが、落ちたら5m、場所によっては7m下のコンクリートに叩きつけられるとあっては、足がすくむ。しかも、強風。神戸に来て、一番身の危険を感じた瞬間だったかも。

 とても八木アンテナを上げられる状況ではなかったので、同軸ケーブルを屋根上まで引き、使っていないテレビアンテナのポールを利用して自作のダイポールアンテナを取り付けた。

 天体観測のはずが、無線になり、しまいには配線仕事になってしまった。これでいいのか?

初エコー 2002年11月3日

 アンテナを受信機に接続して、待つことしばし。
 一向に流星エコーを受信する気配がない。

 スピーカーからは、「ザーザーザー」というノイズだけが聞こえ続ける。
 データを解析するHROFFTというソフトの表示する画面上でも、変化はない。

 10分弱が経過した頃だったか、ノイズの中に「ポーン」という甲高い音が響いた。
 画面を見ると、強い信号が入った表示。

 これかっ!!

 2002年11月3日17時39分、塩屋天体観測所でとらえた、初めての流星エコーの瞬間だった。

オーストラリアの皆既日食 2002年11月4日

 明石市立天文科学館の、11月の番組。
 ちょうどこの日が12月の日食の一ヶ月前ということもあって、天文科学館に出かけてみた。

 星の友の会の田村さんも来られていて、学芸員の井上さんと、しし群の話題でひとしきり盛り上がる。
 今回の注目どころは、

  その1 18日明け方の1965年回帰時のダストトレイルとの接近。月明かりがないのがみそ。
  その2 19日明け方の7公転トレイル遭遇へ向けての立ち上がり。一般的な観望好機。
  その3 20日晩の4公転トレイルのすそ。アメリカのピークが後ろにずれれば多少の出現も。長経路流星の可能性あり。

というところか。個人的には「その3」で長経路流星を狙うつもり。昨年の大出現で、これだけは見ていないので、1つでも見ることが出来ればラッキーだ。

 昨年みたいに見どころがはっきりしていない分、逆に観測時間を絞り込むのが難しい。う〜む。

ノイズとの戦い 2002年11月5日

LT  00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
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November 2002
03                                                     @7  4  9  3  1  0  2
                                                                           
04  17 15 18  7 10 14 10  8  5@11 IF 11  4  2  1  4  0  1 @0  4 @4  3  0  0
        1                             1                                    
05   0  0 @4  4  5  2  1  3  2  2  0  1  4  0  0 @3  0  0  0  2  0 @2  0  0
 少し見慣れない表ですが、おつきあいのほどを。
 3日夕方から始めた電波観測の試験運用。一時間毎の流星数(HR)をまとめたのが上の表。「@」がついているのはノイズなどで観測時間が一時間に満たなかったものを、HR換算したもの。「IF」は妨害電波でデータがないもの。日付毎に2行のデータがあるが、たまにしか数字の入っていない下の行が、10秒以上のエコーが続いたロングエコーの数である。

 4日の夜半から明け方にかけては、散在流星だけでHR10〜20弱の盛況ぶり。少しはおうし群も入っているのかな。
 ところが4日の深夜から、パタリとエコー数が少なくなった。
 試験運用ということで、途中で信号レベルを調整したりしていたのだが、どうも原因不明のノイズが入るようになり、急におかしくなってしまった。

 部屋の中でノイズ源になりそうなもの……パソコンのモニタ、テレビ、電気ポット、冷蔵庫、蛍光灯、コンポと、順番に電源を切ってみたのだが、一向に改善の兆しなし。受信機の位置も変えてみるが、やはりだめ。

 一体全体、どうしたことか。

SOS 2002年11月6日

 E-mailで配信される「『流星の電波観測』配信サービス」というメールマガジンがある。
 最後の所に毎回入っている一行「なお,ご質問などはお気軽にお寄せください。」。

 これに甘えまして、上記のノイズの原因を小川宏さんにお聞きしてみた。
 早速お返事をいただき、アンテナの向きが原因ではないか、とのこと。

 6日朝の時点で、試験運用は一時中断。アンテナを直すまで、しばしお休み。

再び屋根の上 2002年11月7日

 アンテナを張り直すため、再び屋根の上へ。

 大阪湾の向こうに昇る、オリオンやシリウスの姿がよく見える。風は穏やかだが、空は澄んでいて、上を見たらうお座のエータ星が見えた。うお座の星が見えるとは、またまたご機嫌な空。でもこんな日に屋根の上でアンテナ張りとは……

 屋根の南の電線を避ける向きに、ダイポールアンテナを張り直した。HRO送信局のある福井県・鯖江の方向から少しずれるので、感度は落ちるが、やむを得ない。

 これが良かったのかどうか、ノイズの入感も減り、流星エコーも再び入りだした。

 結局あとから考えると、ノイズが多いために受信機の出力を下げ過ぎたため、結果的に流星エコーも入感しなくなってしまった、というのが原因らしい。アンテナの向きを変えてノイズが減った分、受信機の出力も適宜調整することができ、流星エコーも再び観測できるようになった、という次第。

 何事も、トライ&エラーの積み重ね。

名古屋市科学館 2002年11月9日

 今年11月に開館40周年を迎えた名古屋市科学館。記念番組で「プラネタリウムの歴史と、その持てる機能のすべて」を紹介しているというので、見に行った。実は出張のついでなのだが。

 久しぶりに見る、カール・ツアイスIV型投影機。
 心なしか、明石市立天文科学館のUPP23/3型よりたくましく、がっしりした印象。
 ドームに写されるツアイスの星空は、微妙に明石と味付けが違って、そんなこんなを見比べるのも楽しい(かなり重症かも)。

 実は星座解説のエチオピア王家物語がものすごく面白くて、何度も聞いた話なのに、すっかりはまって聞き入ってしまった。名古屋の投影を見るのは3回目だけど、天文現象の解説に使うCGも分かりやすいし、リピーターが日本一というのも、うなずける気がする。

衛星打ち上げシュミレーション 2002年11月9日

 名古屋市科学館の天文館2階にあるシュミレーションゲーム。
 ロケットの大きさと、段数と、補助ロケットの本数を組み合わせて、2t級の人工衛星を打ち上げるというシュミレーション。なめてかかったら、これがむちゃくちゃ難しい。

 毎回来るたびに挑戦するのだが、ロケットのバランスが悪くて爆発したり、軌道を外れて爆発したり、分離のタイミングを外して爆発したり、とにかくまともに打ちあがらないのだ。ロケットづくりの難しさは分かるのだが、大の大人がクリアできないような、こんな展示物が許されていいのか? ……ていうか、俺の頭が子ども並ということか?

 今回は館内に人がほとんどいなかったので、5回くらいぶっ続けて挑戦した。
 で、最後には地球の引力圏を脱し、人工惑星まで飛ばしてしまった。良かったのかな?

アンテナ工事 2002年11月13日

 自作ダイポールアンテナの調子が日に日に悪くなっていくので、組み立てたまま部屋に放置してあったHB9CVアンテナの設営を決意。14日からしし群の活動期にはいるので、ぎりぎりの決断。
 ホームセンターで針金やターンバックルを買い込み、帰宅後再び屋根上にあがる。
 最初の作業で、アンテナポールのステーの張り直し。
 二度目の作業でアンテナの取り付け。
 作業時間は1〜2時間といったところ。

 部屋に戻って、電波観測のパソコン画面を見てみると、明らかにノイズが減り、エコーの数が増えている。垂直方向の利得があがった効果だろう。このまま試験運用を兼ね、何事もなければしし群の迎撃体制に入る。

18日のしし座流星群 2002年11月18日

 午前3時に起きようと思っていたのだが、布団の誘惑に抗しきれず、外にでるまで一時間。

 垂水区塩屋町では、霞がかかっていて、3.5等星くらいまでしか見えない状態。
 4時5分から30分粘ったが、成果0……
 寒くてそそくさと家に引き返した。

 1965年回帰時のダストトレイルは5時過ぎの遭遇予定だったが、不発に終わった模様。電波観測にもかからず。

19日のしし座流星群 2002年11月19日

 近所の駐車場で4:41〜5:21の40分間粘ったが、垂水でも薄雲で、雲間からの流星。-1等と1等級の群流星が2つだけ。

 薄明まで頑張るつもりだったが、雲が広がってきたので帰宅。

 部屋に戻って、電波観測でびっくり。
 ポーン、ポーンと流星が反射した電波の音がたくさん聞こえる。
 夜が明けてからどんどん数が増えてきた。

http://stelo.sakura.ne.jp/hro/2002leo.htm

 クライマックスはこれから。地球の裏側だけど。(^^;

しし座流星群ファイナルナイト 2002年11月19日

 自転車に銀マットと寝袋を積んで、近くの見晴らしのいい場所に出かけた。

 空にはこうこうと輝く満月。霞がかかり、最微等級は2等星。条件は相当悪い。
 期待したのは空を切り裂く長経路流星。昨年の流星雨の際は移動中で、見ることが出来なかったものだ。

 今年はこれを一つでも見ることが出来たら……と思っていた。そこで、北米のピークの裾を狙って、19日の22:05に家を出た。直前情報では、北米のピークは少し遅れたらしい。これはプラス材料だ。

 ……が、空の条件はいかんともし難い。22:40〜0:40まで観測したが、見ることが出来たのは流星が3つで、期待の長経路流星は一つも飛ばなかった。

 陣取った場所は、1998年11月18日には100人以上が集まっていた。今回は、私一人だけ。とってもささやかなしし群歓送会となった。

 それにしてもほんと、この5年間は楽しませてもらった。いろんな予報や月や雲に泣いたり笑ったり、あとから振り返ると、流星科学の飛躍の瞬間に立ち会った貴重な経験になるのかもしれない。

 次は……下手すると還暦こえてるなぁ。(^_^:

北アメリカのしし群 2002年11月21日

 北米留学中の友人よりレポートが届いた。詳しくは、こちら。うらやましぃ〜。

明けの明星 2002年11月24日

 職場の同僚の結構披露宴の3次会帰り(朝帰り)……の最中、三宮駅前で、東天に煌々と輝く明けの明星を見る。9月に昼間の金星を見ようとして果たせなかったので、久方ぶりの再会。

オーストラリアの皆既日食II 2002年11月24日

 天文科学館で説明会。しし群の興奮さめやらぬ間に、なんとも忙しいことよ。
 プラネタリウムは……2度目なので、前夜の疲れもあって、安心して爆睡。でもしっかり、日食のシュミレーションの場面だけは目が覚めていた。なぜだ!?!?

肉眼用最終兵器 2002年11月28日

 眼鏡屋さんの忠告を振り切って度を上げた「星見用メガネ」が完成。これまで矯正視力で両目0.8だったのが、1.2までパワーアップ。

 星見用なら1.5でも2.0でも良いような気もするのだが、実は右目が度の強い乱視混じりで、安売り量販店では1.0までしか矯正できない。左も度の強い近視で、こちらは1.2がリミット。普通に使うのならば両目の視力の差がないようにするのだが、少しでも良い解像度を目指して、左右で矯正視力の違う眼鏡ができあがった次第。

 「普通に使ったら頭痛がするかもしれませんよ」と言われたのだが、「星見にしか使わないので構わないです」といって製作。試しに帰りの電車の中でかけてみたら、今まで「ぼかし(弱)」のかかっていたソフトな視界が「アンシャープマスク」をかけたようにクッキリ見えて、なんだか不思議だった。

出発前夜 2002年11月30日

 荷造りが終わらない……というか、進まない。
 大丈夫か?

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