塩屋天体観測所プラネタリウム・天文台訪問記
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サンシャインスターライトドームを見てきました

「サンシャインプラネタリウム」と
「サンシャインスターライトドーム『満天』」

 サンシャインスターライトドーム「満天」は2004年3月20日のオープン。

 同じ場所に、1978年10月にオープンした「サンシャインプラネタリウム」がありました。

 私が始めてプラネタリウムを見たのも、実はこのサンシャインプラネタリウムでした。子ども会の遠足の行き先がサンシャインシティで、当時日本最高層だったサンシャイン60の展望台に登った後、水族館や買い物に消えゆくほかの子どもたちと足取りを異にし、事情も分からぬ親の手を引き、プラネタリウムのドアをくぐったのです。

 ドームに映された星空、ずいぶん本物に比べて小さなものだなぁ、と思ったのを覚えています。

 「暗黒星雲」という番組をやっていて、地球にどんどん接近してくる暗黒星雲が、次第に空を黒く覆い尽くしていく様子が、子ども心に不気味でした。おまけに前後編の番組で、遠足の集合時間の都合から前編の途中までしか見ることが出来なかったので、長いこと結末を知らないままでした。

 そんなサンシャインプラネタリウム。閉館直前も年間23万人という日本第2位の集客を誇る施設でしたが(1位は名古屋市科学館の25万人/2001年)、施設の老朽化などの理由で2003年6月に閉館されました。

 閉館が発表されるや、存続・再開を求める運動なども起こり、そうした動きが功を奏したのかどうか、2004年4月にプラネタリウムメーカーのコニカミノルタ直営という形で再オープンしました。

 実は日本のプラネタリウムのほとんどは公営施設で、民間で運営している施設は数えるほどしかありません。中でも投影機メーカー直営というスタイルは例のないものです。そもそもこの業界、一度閉館した館が再開するのも異例です。投影機もリニューアルされたということで、上京したついでに覗いてきたのでした。

エントランスホールの風景 チケットのもぎり場
水族館と共通のエントランスホール これまた水族館と共通のもぎり場

どんな投影機?

 もともと設置されていた投影機はコニカミノルタプラネタリウム(旧:ミノルタプラネタリウム)の「INFINIUM-ガンマ」なのですが、見た感じは閉館以前と変わりません。
 投影星数が約40万個になっているというのですが、これはやはりメガスターの影響を受けたのでしょうか。天の川を保湿部で再現することを狙ったようですので、全天の星を増やしたというより天の川エリアの星だけ集中的に増やしたのでしょう。

 実際、投影された天の川はなかなかリアルで、これは従来機と一線を画しています。ただ天の川が細かい表現をされているだけに、これまで通りに映されている他の星々と比べると、全体の印象が自然でなくなってしまうような気がします。この辺りの感じ方は個人の好みの範疇かと思いますが、全体のバランスのさじ加減は微妙な部分があるのだと思います。

オープニング番組「満天星に抱かれて」

 愛称の「満天」にちなんでか、NHKの朝ドラ「満天」1)(2002年9月〜2003年3月)の主人公だった宮地真緒さんがナレーション。

 ビルの谷間に輝く一つの星を見つけたところから、瀬戸内の島に住んでいた頃の星にまつわる思い出話が始まり……といったストーリーで、星空解説や星座案内のいっさい無いプログラム。星に詳しい人なら自分で星座を探せばいいわけですし、そうでない人はストーリーを追いながら星空を眺めてのんびりすればよいわけで、まぁ、これはこれでいいんじゃないかと思いました。

1) 屋久島出身の主人公が宇宙飛行士を目指すというストーリーの朝ドラ。死んだはずの父ちゃんが生きていたり、元カレと別れた週に別の男にプロポーズしたり、理解しがたい展開の多いドラマだった気が……

もう一工夫、二工夫

 サンシャインスターライトドームでは、プラネタリウム投影版組の他に、オールスカイCGを用いた番組、それと夕方からのヒーリング番組の3本建ての上映をしています。複数のプログラムを上映するのは、メーカー直営のオート投影ならではでしょう。

 ただ料金設定が入れ換え制の大人800円(ヒーリングプログラムは1,200円)なので、全部見ると2,800円。およその内容が予想できて大きな当たりはずれのないプラネタリウム番組と違って、オールスカイCGは何が出てくるかさっぱり分からないので、これにプラネタリウムと同じお金を払うのは勇気が要ります。3本見るのは時間的に無理としても、2本セットの割引料金の設定があれば、プラネとオールスカイCG両方とも見やすくなると思うのですが、どうでしょう。

 あと現在のサンシャインの場合、投影終了後にドームを出ると、すぐに通路に出てしまって、休む場所もなんにもないんです。せっかくプラネタリウムでリラックスしたのに、廊下を少し歩いていきなり現実世界に引き戻されてしまうんです。休憩用のスペースを設けて、投影後の余韻に浸れるような場所があるといいなと思います。贅沢はいいませんから、廊下に腰掛けを置くだけでいいんです。ついでに天体写真でも何枚か掛けて置いてもらえれば。

 なんというか、施設的にプラネタリウムのドームしかないので、科学館併設のプラネタリウムに慣れていると館を出たときの外の世界との落差が大きく感じてしまうんです。まちだ東急スターホールでは小さいながらもグッズ売場があったりして、それだけでも印象が違います。サンシャインでもなんとか下界とのワンクッションがあればいいなと思います。

(2004.6.2訪問/2004.9.12 福田和昭 記)

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