塩屋天体観測所プラネタリウム・天文台訪問記
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臼田宇宙空間観測所を見てきました

 臼田宇宙空間観測所は、長野県佐久市(旧南佐久郡臼田町)にあります。直径64mのパラボラアンテナは日本最大かつ東洋最大。可動式のパラボラとしても世界十指にランクインする大きさです。

 ハレー彗星探査機「さきがけ」「すいせい」との交信を行うために1984年に運用が開始され、その後も火星探査機「のぞみ」や小惑星探査機「はやぶさ」など、日本の惑星探査機の運用を支えてきました。深宇宙との交信が可能な施設は世界でも数少ないため、ボイジャー2号の天王星探査の一翼を担うなど、国際協力で欧米の探査機の通信も行うことがあります。

 そんな臼田宇宙空間観測所を見学してきました。

山また山

なんとも分かりやすい案内標識

ここまで来ても全くアンテナは見えません

 臼田宇宙空間観測所は、最寄りの駅からタクシーで30分という、山間部にあります。電波雑音の少ない場所を探した結果、山に囲まれ人里離れた環境が候補地に残ったのです。これでも東京からのアクセスが考慮されたというのですから、当時のISAS(宇宙科学研究所)の体育会系ぶりには頭が下がります。確かに内之浦(鹿児島)に比べれば近いですけれども……

 さすがに駅から歩いて行くわけにも行かず、レンタカーを調達。

 途中から車一台通るのがやっとという道幅になり、ところどころに待避所が現れます。対向車が来ないかビクビクしながら山道を登ります。そして登れど登れど、いっこうにパラボラは見えてきません。かなり不安な思いに駆られます。

 そして相当に登ったところで、いきなり前方の尾根の上にアンテナが見えてびっくりします。感動!

観測所にたどりつく

英語名は"Usuda Deep Space Center"

アンテナがメインの構内

 きっちり30分運転して、ようやく観測所にたどりつきます。

太陽系模型展示

のどかに咲くアカツメクサ

 広い構内を利用して、太陽系の模型展示が置かれています。太陽がソフトボール大くらいだったかと思うのですが、それでも木星で敷地をはみ出してしまいます。構内は草に覆われていて、小さな花がたくさん咲いていました。

 運良くディッシュを傾けてくれていたので、端麗な姿を拝見することが出来ました。あまりに大きいので、写真を撮ろうとすると、全景が入る場所を探すのに苦労します。

展示棟

なぜかうれしい名入りスリッパ

お約束のパラボラ模型(駆動しないのが残念)

MS-T5「さきがけ」模型

PLANET-A「すいせい」模型

 構内に入って、すぐ左手に展示棟があります。

 開所当時からあると思われる色あせたハレー彗星のパネルから(これはこれで懐かしい)、2007年打ち上げ予定の月探査機「SELENE」の模型まで、各種取りそろえて置いてあります。

退色したハレー彗星のパネル

固体ロケットモータ推進薬

 変わったところでは、個体ロケットモーターの推進薬も置いてあります。ISASが宇宙研だった時代の名残とも言えます。制作が「日産自動車」なのも時代を感じるところ。日本の固体ロケットを支えた日産の宇宙部門も、売却されて現在はIHIエアロスペースになっています。

パラボラ!

豪快な後ろ姿。最高です。

パネルのすき間から空が見えます

緻密な骨組みと豪快な駆動部がステキ

空を見据えるディッシュの格好良さ

大気圏突入カプセルのような副鏡

あっちむいてホイ

こっちむいてホイ

 展示棟を見た後は、思う存分パラボラアンテナを堪能します。アンテナの周囲は柵で囲われていますが、周囲の草原は360°歩き放題。全方向からのアンテナの眺めを楽しめます。

アンテナは三菱電機製

主要性能がパネルに表示されています

 「深宇宙探査用大型アンテナ設備」の銘板が、ここが宇宙との対話の窓口であることを感じさせてくれます。

もっとアンテナ

VSOP用の10mアンテナ

構内最小(?)のパラボラ

 臼田宇宙観測所には、64m鏡の他に、10mのパラボラがあります。こちらは奥の斜面の中腹にあるので、近づくことは出来ません。10m鏡というとそこそこの大きさはあるのですが、64m鏡が間近にあるだけに、やたらとかわいく見えてしまいます。

 もう一台のパラボラは、研究棟のわきにあったこれ(右写真)。うーん、小さい。

さらばじゃ

 ということで、臼田宇宙空間観測所でした。この迫力と感動は、行くだけの価値があります。

(2006.8.22訪問/2006.12.10記 福田和昭)

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