1878年に東京大学理学部観象台として発足した国立天文台。日本の郵便制度のスタートは1871年ですから、ほぼ同じような長さの歴史を持っています。天文台にまつわる切手を、年代順にご紹介したいと思います。
「緯度観測所」は現在の国立天文台・水沢観測センターの前身です。1899年に国際緯度観測のための臨時緯度観測所が設置されたのが始まりで、1920年に正式に緯度観測所となりました。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に登場する「アルビレオの観測所」のモデルとも言われています。初代所長の木村栄によるZ項の発見はよく知られています。切手の図案は「浮遊天頂儀と緯線・経線」。現在はVLBI観測の拠点としても活躍しています。 (1949.10.30発行) |
東京天文台は現在の国立天文台の前身で、1878年に東京大学理学部観象台として発足しました。切手の図案の大赤道儀室は現在、三鷹キャンパスの「国立天文台歴史館」として一般公開されています。ドーム内の望遠鏡はカール・ツアイス製65cm屈折望遠鏡。1929年の完成で、屈折式としては国内最大のもの。観測からは引退していますが、今でも現役復帰可能な状態だそうです。背景は北斗七星とカシオペア座です。 (1953.10.29発行) |
岡山天体物理観測所は東京天文台の付属施設として、1960年に開所しました。晴天日数の多さや大気の安定度などから、国内の最適地として選定されました。国内最大の口径188cm反射望遠鏡を備えています。切手の左側が188cm反射望遠鏡の大ドーム、右手奥が光電測光観測に使われる91cm反射望遠鏡のドームです。 (1960.10.19発行) |
1978年に創立100年を迎えた東京大学東京天文台は、1988年に全国共同利用の研究機関として国立天文台に改組され、現在に至っています。切手に描かれているのは岡山天体物理観測所の188cm反射望遠鏡。グラブ・パーソンズ製で、完成当時は世界第7位、東洋一の望遠鏡でした。現在も光学天文観測の分野で活躍しています。 (1978.10.29発行) |
1974年に東京天文台の5番目の観測所として開設されたのが木曽観測所です。現在は東大理学部附属天文学教育研究センターの観測所となっています。ここには口径105cmのシュミット望遠鏡が備え付けられ、写真やCCDによる撮像観測が行われています。切手にはシュミット望遠鏡のドームと御嶽山、背景にバラ星雲が描かれています。 (1999.4.9発行) |