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特別展「プラネタリウム展」
2008年2月9日〜4月13日

 2007年度の最後と2008年度の幕開け、そして天文科学館リニューアル10周年を飾る特別展「プラネタリウム展」。濃いです。覚悟しましょう。

写真展示

 2階のロビーと3階エレベーターホール前の展示室の壁面が、プラネタリウムだらけの写真展示です。

 2階ロビー(1枚目)は、天文科学館のツァイス・イエナ投影機が陸揚げされて館に設置されるまでの工程を中心にした記録写真。バラバラな部品が組み上がっていく様子や、ふだん見ることのない投影機の部分のアップなど。

 3階展示室は、世界の歴史的プラネタリウムと、日本のツァイス投影機設置館の写真パネル。天井から惑星がぶら下がるアイジンガのプラネタリウムから、歴史を作った金平糖のようなツァイスI型、東洋初登場のツァイスII型、戦後長く親しまれたIV型、そして最新のSTARMASTER。

メガスター関連コーナー

 新しもの好きな方にはこちらから。

 メガスターで名を馳せた大平貴之さんの作ってきたプラネタリウムの一群です。少し角度を変えた写真を2枚並べました。

 一番左(恒星投影機が床に置かれている)が、大平さんが高校生の時に作った自作2号機。フィルムで恒星原盤をつくったもので、当時すでにピンホール式で1万を越す恒星を投影。天文誌「SKY WATCHER」にも紹介されてました。

 中央の緑色の機体が、自作レンズ式プラネタリウムとして名を轟かせた「アストロライナー」。恒星数は4万5000まで増加。各地で移動公演を行います。なんでも最後は解体して庭に埋めてしまったそうなのですが、掘り出して再び組み上げられました。

 右側の白い機体は、フジテレビ系列のドラマ「星に願いを」のために再現されたアストロライナー。ドラマのセットなのですが、灯をともせばこのまま星が映し出せるのではないかという出来映えです。

 いちばん右の台に乗せられた銀色の球体は、開発中の「メガスターZERO」のモックアップ。小さなドームでの使用や移動公演などを主眼に設計されています。投影レンズ4つで全天をカバーしているのですが、どんな星空を映すのか、興味津々です。

 手前のケースには、それぞれの投影機が紹介された天文雑誌や、大平さんの著書が展示されています。

自作2号機

コガネムシ系のアストロライナー

家庭用プラネタリウムいろいろ

 メガスターコーナーの隣のケースには、市販されている家庭用プラネタリウムがズラリ。数千円クラスから数万円クラスまで、いろいろな種類のものが出回っています。昔からある製品ではありますが、本格的に火をつけたのは「ホームスター」でしたね。

3階の展示ケース

 3階の展示ケースの中も貴重な資料だらけです。

往年のパンフレット

 1枚目は、1937年公開、日本初そして東洋初のプラネタリウムだった、大阪市立電気科学館のパンフレット。重厚なシルエットはツァイスII型投影機。"Planetarium"を直訳すると「惑星儀」になりますが、惑星の動きに加えて恒星や夕焼けやその他諸々、さまざまな空を演出できるプラネタリウムを「天象儀」「天象館」と訳したのは、名訳だと思います。

 電気科学館のツァイスII型は、1989年に引退するまで、52年間現役の座にありました。現在は中之島の大阪市立科学館プラネタリウムの入口に静態保存されています。

 右は1938年に東京にオープンした東日天文館(毎日天文館)のパンフレット。「東日」は東京日々新聞、のちの毎日新聞東京本社で、当時は有楽町にありました。投影機は大阪と同じツァイスII型。残念ながら1945年5月「の空襲で焼け落ち、現存しません。

そしてツァイスIV型

 東日天文館の焼失後、東京には長らくプラネタリウムがなかったのですが、1957年に開館し、長くプラネタリウムの代表的存在として親しまれたのが渋谷の五島プラネタリウム

 2001年に惜しまれながら閉館しましたが、44年間星空を映し続けたツァイスIV型投影機は、多くの天文関係資料と共に渋谷区に寄付され、大切に保存されています。

 東京からやってきたツァイスIV型投影機の部品たち。上の2枚は恒星投影球に仕込まれたレンズ。左写真が1000W電球の光を集めるコンデンサレンズ。トロリとした質感がたまりません。反対側は恒星投影レンズになっています。

 左写真の金属板のようなものが恒星原盤。ガラスに薄い胴を貼り付けたような構造です。星を映すための小さな穴がたくさん空けられています。たしかカシオペア座のあたり。

 右写真の真ん中は、レンズのシャッター。レンズにぶら下がった黒いバナナかキュウリのような部分が錘になっていて、地平線の下に当たる部分を常に遮断するようになっています。

 右写真の左は投影用のレンズ。右は原盤の一つ。解説がないとさすがにどの部分の部品かは分かりません(推測で適当なこと書けないしなぁ)。

2階の展示

 左写真が明石で使われていたコンソール。初代のイエナ製コンソールの痛みが激しく、1989年にミノルタ製に交換されたときのものです。前回2002年のオーバーホールで引退。カバーも何もなしで展示されているのが恐ろしい。

 右写真の左に小さく映っているのがスライド投影機。ズーム機能が付いた珍しいもの。現在のようにビデオプロジェクターが普及していなかった頃は、色々な種類の補助投影機が大活躍していました。

 そして右写真の大部分を占める黒い物体、どうみても第一印象は「兵器」です。

 本当は太陽系投影機。震災前まで現役だったそうです。太陽系の天体の動きを説明するために使っていたというのですが……見ているだけでは動作の様子が分かりません。基本的な構造はニュートン反射の逆(接眼部に光源がある)なのですけれども。

 その脇にひっそり展示してあるのが、ツァイス・イエナUPP23/3型投影機の図面。

 右写真、悪魔のようなスリップリングに引き込まれそうです。

 左写真は投影機に使われている電球の一覧。18種類もの電球が使われていたのですね。もちろん最大は左端の1000W電球。明石ではすでに国産のハロゲン球に切り替えられて、現役を退いています。この1000W球はプラネタリウムの入口に常設展示してあるので、ぜひその美しい姿をご覧下さい。

 右写真は工具の一覧。なんだこの数の多さは。さすがドイツ人、恐るべし。ちなみにドライバーはマイナスドライバーだそうです。

 この写真を撮っていたら、産業スパイかと声を掛けられました(汗)。

ということで

 展示の量は多くないのですが、圧倒的な密度です。う〜む、魂の特別展でした。

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