塩屋天体観測所|プラネタリウム・天文台訪問記|明石星の友の会活動紹介・海賊版
前のページへ戻る
「月面突発発光現象」は、名前の通り月の一部が突然明るく見えたりする現象です。英語では、Transient Lunar Phenomena、略してTLPとも呼ばれます。
今回は、神戸大学発達科学部と共同で、このTLPを観測しようという企画。
この日の夕方、ちょうど関西上空を国際宇宙ステーションが通過していきました。
せっかくの機会なので、まずはそれも見てみようと、外に繰り出します。15cm反射望遠鏡も出して、今日の主役の月も、しっかり観望。
北西の空から現れたISSは、ほとんど天頂を通過して、南東の空へ消えていきました。狙っていたのに写真取り損ねました。
本題のTLP。
長らく正体不明の現象でしたが、原因の一つは流星の衝突だということが明らかになりつつあります。しし座流星群やペルセウス座流星群の際、月の影の部分にカメラを向けて、発光の様子が捉えられたのです。
流星の衝突の場合は瞬間的な閃光となりますが、一方、ガスがたなびくようなTLPも報告されています。
月は遠い昔に火山活動を終えた天体ですが、今でもまれに、ガスの噴出があり、周囲の砂が舞い上げられて日光に照らされるのではないかという説があります。
2007年にコロンビア大学のArlin Crotts教授が、これがラドンガスの噴出ではないかという仮説を唱え、注目を集めました。
アメリカでも仮説の実証のための観測が行われているのですが、日本でもこれに挑戦しようという企画。日本とアメリカ、ちょうど月の出ている時間が逆になるので、ライバルながらも補完関係になるのです。
天文科学館の40cm反射望遠鏡にビデオカメラを取り付け、みんなでモニタを注視します。といっても、TLPがそんなにたくさん起こるわけではありません。
意外に地道な観測に、みなさん感心。ついでに強拡大の月面の姿にも感心。
ということで、今回は観測体験、あるいは観測実習という雰囲気となりました。
2007年秋から日本の月探査衛星「かぐや」が月軌道を周回しています。うまくTLPを捉えることが出来れば、「かぐや」のデータと合わせて、原因を突き止めることが出来るかもしれません。
もちろん容易い話ではありませんが、もしかすると世紀の大発見となる可能性を秘めて、観測は続くのでした。