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天文科学セミナー「南極での生活ってどんなの?」
2008年5月24日

 5月の後半の土曜日に開催された「天文科学セミナー」。

 5月24日は「南極での生活ってどんなの?−観測隊員に聞いてみよう−」ということで、第49次日本南極地域観測隊(夏隊)から、この4月に帰ってきたばかりの林原勝美さんを迎えてのお話です。

 林原さんは国立明石高専の卒業生ということで、同校のOBを中心としたNPO、技術者集団ACT135明石の協力を得ての開催です。

設営隊

 過去6回(うち越冬隊2回)の南極経験をもつ林原さん。

 南極地域観測隊というと、研究を行う学者のイメージが強いのですが、林原さんは設営隊としての参加。建設やら機械やら調理やら、南極での生活を支えるお仕事です。

 最初に南極に向かったのは「しらせ」の初航海のとき。当時勤めていた会社が昭和基地で使う資材を扱っていて、誰を送るかという話になったときに「設計した奴が一番詳しいのだから」と、エンジニアの林原さんに白羽の矢が立てられたとか。

 それって、南極への転勤命令……(汗)

夏隊

 南極地域観測隊というと越冬隊のイメージが強いのですが、今回は夏隊のお話が中心。

 夏隊は、「しらせ」とともに、12月半ばに南極に着き、帰りの「しらせ」とともに、2月半ばに南極を離れます。短い南極の夏を目一杯活用し、基地の工事やら何やら、大学の先生までも動員しての大工事期間(もちろん短い期間に調査もやるのだから大変です)。

 一日の仕事ぶりをお聞きしていると、夜の22時くらいまでミーティングやら仕事やら、体が持つのかと思ってしまうのですが、基本的に一日中明るいのです。南極の夏は。それにしても、大変。

 南極の夏は「白夜」が続き、夏隊は夜を経験しない「日帰り」なのかと思っていたら、1月の後半には陽が沈むようになり、帰りの「しらせ」ではオーロラを見る機会もあったそうです。

南極の氷

ということで、お土産の南極の氷を参加者一堂で賞味。

 南極の氷は降り積もった雪が固まったものなので、中に気泡をたくさん含んでいるのが特徴です。公称で「一万年前」の氷ということで、中の泡は一万年前の地球の大気が封じ込められていることになります。

 ドームふじ観測拠点では、氷床のボーリングを行っていますが、深く掘れば掘るほど昔の地球の空気のサンプルが採れ、貴重な資料になっています。

 過去数万年間の大気中の二酸化炭素の含有量のグラフも見せていただいたのですが、時代による増減はあるものの、ここ数百年での激増ぶりにびっくり。うーむ。

 ちなみに南極の氷、水に浮かべると気泡がはじけてプチプチと音を立てながら溶けていきます。一万年の時間が開放される音だと思うと、なにやら不思議な感覚です。

というわけで

 講演会が終わった後も、林原さんをみんなで囲んで、質問が途切れません。

 中には「南極に行くにはどうしたらよいのですか?」という質問もあって、比較的倍率の低いのは医者と料理人だそうです。どちらも元の職場に復帰するのが難しいので、二の足を踏む人が多いそうなのですが……うーん、今から医者にはなれないし、まして私の舌の感覚で料理人など勤まろうはずがありません。

 

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