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タカハシ MT-130E


■購入のきっかけ

 小学4年生の頃から「天体望遠鏡が欲しい」と親にねだり続けて5年、高校入学祝いの名目でついに入手に成功。自分の人生の中で、最高額の値段のついた製品です。そりゃ、消費税が導入される直前の当時で20万円近くしましたから。今から思えばよく思い切ってくれたものです。

■スペックとシステム

鏡筒:MT-130鏡筒 (口径130mm 焦点距離800mm F6.15 パイレックス素材放物面主鏡 全長760mm 重量5.3kg)
架台:EM-1S赤道儀 (赤経全周微動・赤緯部分微動 赤経モータードライブ内蔵 同架重量約6kg)
後付けした主なオプション:
 EM-1用極軸望遠鏡、Pライト(極望用明視野照明)、リングレベル(極望用レベル)、BORG接眼ヘリコイドS
全重量:約21kg


 極軸望遠鏡がオプションなので、購入時に追加しました。その他はほぼ基本構成のまま使っています。

現在の鏡筒まわりシステム構成(斜字はオプション品)

■最初の印象

 それまで使っていた6cm屈折経緯台と、まるで違う精密感と重量感。購入当時は茨城県の地方都市(というか田舎町というか)に住んでいたため、なんでもかんでも見えてしまうのでびっくりしました。びっしり見える天の川の微光星の中に浮かび上がるアルビレオを見たときの驚きは今でもはっきり覚えています。

■機動性

 全重量約20kg。架台に鏡筒をつけたままで一人で持ち運びできる範囲では目一杯でしょう。
 茨城にいた頃は縁側から庭先に下ろせば即、観望体制だったので何も不便はなかったのですが、現在はアパートの2階に住んでいるため、鏡筒と架台を分離して別々に近くの駐輪場まで運ばなければなりません。これが結構面倒で、稼働率低下の一因となっています。自家用車も所持していないので、車で遠出することもかなわず、現在は自室の窓際に置きっぱなしにして、窓から見える天体の観望を主目的に使っています。

■操作性

 基本的な不満はありません。赤道儀の動作もスムーズそのものですし、接眼部のラックピニオンも重すぎず軽すぎずガタもなく快適な動作です。さすが頑強なものをつくることで定評のあるタカハシ製です。唯一の欠点は赤道儀の赤緯微動が部分微動だという点。一つの天体をじっと追尾しているだけなら問題ないのですが、いろんな天体をとっかえひっかえ見ていると、いつのまにか可動範囲目一杯になっていて、あわててクランプをゆるめてネジを巻き戻すような操作をしなければなりません。現行のEM-2赤道儀では赤緯も全周微動に改善されているのでこの問題は解消されています。

●EM-1S赤道儀
 前身のEM-1赤道儀はモータードライブ内蔵赤道儀として1980年代前半に登場しています。小学4年生の時に、同級生がフローライトアポFC60との組み合わせで持っていて、とてもうらやましかったのを覚えています。EM-1Sはそのマイナーチェンジ版で、基本的な性能に変化はありませんが、ネジやツマミなどを大型化して、工具なしでセットできるようになっています。三脚も台座と脚の接続以外は工具なしで組み立てられるようになっています。もっとも三脚は、三角版を止めている蝶ネジを外さないと畳めないので、いつも組んだままで部屋に置いてあります。
 昔は直焦点で月面などを撮影していましたが、今では観望専門なので、モータードライブは全く使っていません。ちょっと性能を持て余していてもったいない感じです。
●ファインダー
 6×30のファインダーが標準で付いています。13cmで見える対象と比べてファインダーで見える星の数が少ないので、正直なところ、もう一回り大きなものが欲しいところです。
●接眼ヘリコイドS
 標準のラックピニオンでもスムーズな動作で全然問題はないのですが、BORGで使っている接眼ヘリコイドSが快適なので、MT-130にもつけてしまいました。最初はラックピニオンで合焦し、アイピースを換えた際など接眼ヘリコイドでピントの微調整を行っています。とても楽です。

■光学系

 13cmニュートン反射としては、なにも文句はありません。月から惑星から星雲・星団までなんでもオールマイティにこなしてくれます。
 ニュートン式反射は光軸が狂いやすいので調整が必要という話をよく本で読むのですが、移動させることが少ないせいか極端におかしいような目にあったことがなく、一度も自分で光軸調整をしたことがありません(一度オーバーホールに出したときにメーカーでしてくれています)。実際どんなものなんでしょう?

※アイピースと乱視の話は「接眼レンズたち」に移動しました(2002.10.1)。

■これまでの感想と今後の展開

 基本的な部分では何も不満はないのですが、現在は観望専用でしか使っていないので、重さがかさむのが玉にキズです。いっそのこと鏡筒だけ経緯台に載せ代えてもいいのですが、赤道儀とのバランスが良いだけに思い切る気にはなれません。
 眼視専用なら同じ架台でもっと大きな口径の鏡筒が欲しいなぁ、と思うこともあります。EM-1Sだと20cmクラスのシュミカセか、タカハシならμ180、ビクセンのバイザックかVMC200あたりの鏡筒です。でも、重いことには変わりがないので、稼働率が今のままならわざわざ新しい鏡筒を買うのはもったいないですね。
 使用頻度はちょっと低下気味なのですが、たまに覗くと「やるねぇ」といった見え味ですし、なんといっても親が高い買い物をしてくれたものなので、今の生活が続いている間は末永く大切に付き合ってやりたいと思います。

高橋製作所/スターベース

追記 このMT-130鏡筒は、2001年末に製造中止になってしまいました。高橋製作所直営の天体望遠鏡店「スターベース」のスタッフの方の話によると、「フローライトやシュミカセに押されて、ニュートン反射は売れないんですよ……」とのこと。ん〜これも時代の流れか。
 作りが丁寧でしっかりしている鏡筒なので、これが手に入らなくなると思うと、これはますます大切に使ってあげないといけないですね。

(2001.12.24記 2002.3.5追記)


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