塩屋天体観測所プラネタリウム・天文台訪問記
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JAXA宇宙科学研究本部に行ってきました(1)

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 JAXA宇宙科学研究本部は神奈川県相模原市にあります。

 ペンシルロケットの実験を行い、日本初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げ、その後も数々の科学衛星で成果を上げてきた東京大学生産技術研究所→文部省宇宙科学研究所の後身です。最近では小惑星探査機「はやぶさ」の活躍が記憶に新しいところです。

 毎年7月頃にキャンパスの特別公開が行われるのですが、本館ロビーの展示室は常時公開が行われていています。ということで、さっそく足を運んでみました。

 やってきました、淵野辺

 東海道新幹線新横浜駅から、JR横浜線に乗り換えて、約30分。「淵野辺駅」という初めて聞くような名前の駅が、宇宙科学研究本部(ISAS)の最寄り駅です。

銀河をかけるまち FUCHINOBE

ISAS北側の道路は「銀河北通り」だそうです

 駅から徒歩20分ということですが、2007年の夏は観測史上類を見ない猛暑。いきなり熱中症で行き倒れる訳にもいかないので、ここはバスに乗りました。

 本当は「市立博物館前」が最寄りのバス停(ISASの向かいが相模原市立博物館)です。ISASの見学案内にもそう書かれています。でも「宇宙科学研究本部」なんてバス停があったら、つい降りてみたくなってしまうではないですか。

 で、なんとなくバス停の写真を撮ってみて、それから炎天下、徒歩5分かけてISASへ向かいます。ちなみに「市立博物館前」バス停だと、徒歩2分といいながら、ISASの真ん前です。

宇宙科学研究本部到着

 ということでISAS到着。

 緑が豊かというか、正門からだと林と守衛所くらいしか目に入りません。

緑豊かなISAS正門

宇宙科学研究本部のプレート

守衛所で記帳して受付を済ませます

これを首にぶら下げて構内を歩きます

 守衛所で記帳して、首にかける見学者用パスと見学可能範囲を記した構内の地図をもらいます。見学者用パスの「はやぶさ」のイラストが、素朴なタッチでほのぼのしています。さあ、出発です。

 うわーっ、M-3S-II(原寸模型)だ!

 心の準備が出来ていないうちに、こんなものが出てくるとびっくりします。

いざ、展示室

研究・管理棟

玄関はこんな感じ

 通常の公開日に見学できるのは、研究・管理棟の展示室だけです。

 そんなに広くもなさそうだし、1時間もあったら余裕かな〜なんて思っていたのですが……

おなじみ原寸大「はやぶさ」模型

近くで見るとこんな感じ

 ロビーを改装したと思われる展示室の中央に、デーンと「はやぶさ」の実物大模型が鎮座しています。太陽電池パドルを広げた状態だと、意外に大きな印象を受けました。

はやぶさ(MUSES-C)

 話の流れで「はやぶさ」関係から。

 模型の周囲には、復旧運用の詳細を記した解説パネルなど、さまざまな展示があります。が、まずは模型本体から。模型といってもこれは実物大の「熱・構造試験モデル」。開発過程で実際に使われた「本物の模型」です。

イオンエンジン

サンプラーホーン

 まずは4つのイオンエンジン。ちゃんと中和器も付いています。

 右写真はサンプラーホーン。「はやぶさ」の科学観測機器は、ほとんどがこの面に付いています。

ターゲットマーカー

フラッシュ炊いて「ピカッ!」

ターゲットマーカー1/1模型

中身はビーズ

 模型の底面に付いているターゲットマーカー、フラッシュを焚くとちゃんと光るのが芸の細かいところ。

 3つのうち、1つは宇宙空間を漂い、1つはイトカワ表面に到達(88万人の名前入り)、残る1つは「はやぶさ」本体に付いたまま、地球目指して飛び続けています。

 右下の写真は、ターゲットマーカーの中身。このビーズが入って、お手玉のような状態になっています。イトカワの重力が小さいので、表面でバウンドしてしまうと、そのままサヨナラしてしまう可能性が高いため、跳ねないための工夫が考えられて、お手玉方式が採用されました。

「ミネルバ」内部透過模型

このホイールを回した反動で移動する……予定でした

 「はやぶさ」に搭載されていた小型探査機「ミネルバ」の模型もありました。

 外装が透明部品で出来ていて、内部機器の様子を見ることが出来ます。内部に円盤が見えますが、イトカワに着地したあとは、これを回転させて、その反動で表面を飛び跳ねる予定でした。微少重力下での移動を様々に検討した結果、採用された方法です。

 「ミネルバ」のイトカワ到達はなりませんでしたが、この小型ローバーがイトカワ近傍空域できちんと動作して、データを送り続けてきたことは工学的には成果でしょう。ぜひ「次」に活かしてほしいものです。

88万人の名前をイトカワに届けた

付箋の一枚一枚が応援メッセージ

 左はターゲットマーカーに組み込まれた名前入りフィルムの模型。

 右側は応援メッセージがぎっしり貼り込まれた「はやぶさ」模型。佐賀県立宇宙科学館での特別展の際、来場者から寄せられたものだそうです。

 多くの人々の願いを運んだ「はやぶさ」は、多くの人々の応援を受け、今(2007.9現在)も地球目指して航行中です。

 そういえば「祈り」というCGのはやぶさ番組も上映していました。椅子に座って眺めていたら、隣に2人組の方がやってきて、いきなり「次期固体ロケット○×△」なんて資料を広げてホチキス留めの作業を始めたり、なんとも宇宙が身近な雰囲気です。

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(2007.8.22訪問/2007.9.2記)

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