塩屋天体観測所プラネタリウム・天文台訪問記
前のページへ戻る

海洋気象観測船「啓風丸」(前編)

(2007.12.9訪問/2010.3.26記)

1 2次のページ

気象観測船「啓風丸」
総トン数:1,483t(1,882国際トン)
全長:81.39m、幅:13.4m
速力:14ノット、竣工:2000年

 神戸海洋気象台の海洋気象観測船「啓風丸」が、2010年3月下旬に気象庁本庁へ転属することになりました。

 神戸海洋気象台には1927(昭和2)年に最初の気象観測船が配属され、代々の観測船が気象データの収集に当たってきました。

(参考:なつかしい日本の汽船気象庁

 2010年3月時点で気象庁は5隻の観測船を持っていて、本庁(東京)、函館、舞鶴、長崎、そして神戸の各海洋気象台に配置していました。函館・長崎・舞鶴の観測船は400トン級で沿岸の観測を行い、本庁の「涼風丸」と神戸の「啓風丸」の大型船は遠洋の観測を担ってきました。

 しかし観測の合理化で函館・長崎・舞鶴の3隻は引退、神戸の「啓風丸」は東京に転属し、「涼風丸」とともに本庁が集中運用することになりました。

 神戸海洋気象台の気象観測船の歴史は83年で幕を下ろすことになります。

「啓風丸」一般公開

 2007年12月9日に、ポートアイランドの中埠頭で「啓風丸」の一般公開がありました。その際に撮影した写真をまとめました。

 この当時の「啓風丸」は、年4回、合計175日間の外洋観測を行なっていました。東経137度線沿いに観測を続けながら南下し、赤道間近の北緯5度まで行って、一般公開前日に神戸に帰投したばかり。

 何はともあれ、受付を通って乗船です。

ブリッジ見学

 船の見学といえば、ブリッジの見学がお約束です。

ブリッジ内部(左舷側から) ブリッジ内部(右舷側から)
操舵スタンド 海図台

 竣工が2000年と比較的新しいこともあって、ブリッジ内部はさっぱりとした印象です。操舵輪も小さなハンドルです。

ジョイスティック操舵装置 ジャイロコンパス

 左舷側にあるジョイスティック操舵装置。その後部には大きなジャイロコンパス

無線関係 神棚

 こちらは無線士の席。コールサインは「JPBN」。

 近代化した船でも神棚はお約束。もとの写真が不鮮明なのですが、どうやら金比羅さんのお札のようでした。

観測員室

 ブリッジの次は船内の見学。この日は観測員室と観測室が公開されました。階段が狭い!

観測員室 室内

 机とベッド、小さな作りつけの本棚というシンプルな居室。お風呂やトイレは共用です。

観測機器(船外)

 ここで「啓風丸」の観測設備をご紹介。まずは船外のものから。

温度計・湿度計

 ブリッジの上、左右両舷についています。でも採用するデータは風上側のものだけ。というのは風下側の計器は船体の熱を拾ってしまうからとのこと。

風向風速計

風向風速計(船首マスト) 風向風速計(後部マスト)

 風向風速計は船首マストと後部マストの2ヶ所にあります。後部マストはファンネル(煙突)の上に塔を延ばす変わった構造です。機関の排気は後方に排出するようになっているので観測への影響はありません。

雨量計

 船体のほぼ中央部のデッキ上にあります。船の揺れに関わらず雨量を計れるタイプのもの。

船用波浪計

 マイクロ波センサーと加速度計を組み合わせて、自動的に波浪を観測する装置。船首に付いています。

 屋外の計器は一般公開時に特に説明がなかったので、後から資料で確認しました。

1 2次のページ

(2007.12.9訪問/2010.3.26記)

塩屋天体観測所プラネタリウム・天文台訪問記
このページの先頭へ戻る前のページへ戻る