塩屋天体観測所プラネタリウム・天文台訪問記
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岡山天体物理観測所を見てきました(後編)

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メッキもここでやってます

ドームの床のあやしい円形

開口部だそうです

 ドームの床には2mほどの丸い穴が開いています。

 ここから188cmの主鏡を出し入れするようになっています。

下から見るとこんな感じ

レールの奥にアヤシイ機械

大きな釜のような

真空蒸着装置

 アマチュア向けの反射鏡は、メッキをしたあと、シリコンなどで保護コーティングをしているのですが、プロ用の望遠鏡は余計なことはしません。その代わり、メッキ当初は90%ほどの反射率が、一年後には60%ほどに落ちてしまいます(家正則『すばる望遠鏡』岩波ジュニア新書)。

 ということで、岡山では年に一度、梅雨時に主鏡のメッキをやり直しています。ドームの1階に専用の真空蒸着装置があって、ほとんど町工場状態です。

 ちなみにメッキはアルミとのこと。アルミの反射率は約90%。銀だとより高い98%なのですが、銀は曇りやすい等いろいろ問題も多いので、比較的安定した性能のアルミを採用しているそうです。

その他の望遠鏡たち

 霧と雨で、とても外を歩ける状態ではないので、バスの車窓から見学。といっても、車窓も水滴だらけでまともに景色が見られたものではありません。

 188cm反射望遠鏡ドームの脇から再びバスに乗り込み、天文台の敷地に隣接した岡山天文博物館まで下ります。上の写真は天文台全景の模型(岡山天文博物館蔵)。施設の配置がよく分かります。

91cm反射望遠鏡ドーム

新鋭50cm反射望遠鏡ドーム

窓の向こうにかすかにクーデ型太陽望遠鏡ドーム

天文博物館に帰還

 91cm反射望遠鏡は、最近、金メッキにしたそうです。日本一ゴージャスな望遠鏡を目指す……わけではなく、赤外線の観測をするのが目的とのこと。アルミニウムより金の方が、赤外線域での反射率が高いそうです。JAXAの赤外線天文衛星「あかり」の主鏡も金メッキなのだとか。

 50cm反射望遠鏡は、小回りの良さを活かして、ガンマ線バーストの残光観測などに活躍中。新進気鋭の機材です。

 クーデ型太陽望遠鏡は口径65cm。最近は観測で使う人がいないそうですが、2006年11月9日の水星太陽面通過のライブ中継で活躍したのがこの太陽望遠鏡。普及活動などでがんばってくれるといいですね。

岡山天文博物館

実は到着時の天候は小康状態

ミノルタMS-10

 岡山天体物理観測所の敷地に隣接して岡山天文博物館があります。

 プラネタリウムと15cm屈折望遠鏡を納めた天体観測室、それから天文台の望遠鏡の精密模型や天文全般の展示があります。

 プラネタリウムは、新彗星12個、新星11個の発見記録を持つアマチュア天文家、本田実さんの生涯を追う番組。ちょっと感動してしまいました。

1階展示

2階展示

 1階展示の目玉は模型群。制作年代は少々古いのですが、188cm鏡や91cm鏡、65cmクーデ式太陽望遠鏡の模型は、さすがによくできています。なにせ188cm鏡は大きいので、ドームに入ってしまうと全体の様子がつかみにくいのです。1階の奥には、最近の成果の紹介のコーナーもありました。

 2階は天文学全般の展示ですが、同行したある方曰く「震災前の天文科学館みたいですね」ということで、郷愁をさそうような年代物の展示が並んでいます。閉館前の五島プラネタリウムとか、現在(2006年)の移転前の仙台市天文台とか、そのあたりの雰囲気です。子どもの頃に見た宇宙の百科事典を思い出します。

 ちょっとホッとするような、天文博物館でした。

 (おまけ)売店に群がる星の友の会一行。

そういえば記念切手

岡山天体物理観測所開所記念
(1960)

東京天文台100年記念
(1979)

 そういえば、岡山天体物理観測所は2回、記念切手の題材になっているのでした。

 左は観測所開所記念。これは天文台紹介のビデオにも登場します。右は東京天文台(現在の国立天文台)100年記念。188cm反射望遠鏡とオリオン座のデザインです。

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(2006.11.26訪問/2006.11.28記 福田和昭)

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