塩屋天体観測所切手の星空
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人物

 天文に関わりの深い人物の切手をご紹介します。といっても、天文学だけではなかなかないもので、周辺の学問分野や、星にゆかりのあるようなところからも選んでみました。

文化人切手(第4集)
伊能忠敬

伊能忠敬

 伊能忠敬は1745年に現在の千葉県九十九里町で生まれました。のち佐倉の伊能家に養子に入り、名主職を長年勤めます。正確な日本地図をつくった測量家、としての評価が高い忠敬ですが、この人の本質は天文学者であるともいえます。49歳で隠居し、入門したのが幕府天文方の高橋至時。学んだのが天文・暦学ですから、学歴だけなら立派に天文学者。暦学上の課題から、地球の大きさを測りたいと思うようになり、子午線一度の長さを知りたい、というのが彼が測量に足を踏み入れたきっかけでした。忠敬は測量行中、晴れていればほぼ必ず、天測を続けています。この成果もあり、忠敬の地図の緯度の精度は大変良いものとなっています。17年間の測量行を続けた忠敬は、1818年没。大日本沿海輿地図が完成したのはその3年後でした。

(1995.11.6発行)

文化人切手(第5集)
宮沢賢治

宮沢賢治

 1896年、現在の岩手県花巻市生まれ。「雨ニモマケズ」「風の又三郎」など、文筆家として有名な宮沢賢治ですが、星好きにとってはなんといっても「銀河鉄道の夜」が代表作でしょう。その他にも宇宙や気象に題材をとった作品を多く残していますが、賢治の作品には、そういった枠では語りきれない深みがあります。農業指導者としても知られており、花巻農学校の教師として教鞭を執ったのち、羅須地人協会を開いて地域の人々に農業を指導しました。1933年に37歳の若さで永眠します。現在知られている作品の多くは、没後に発見されて、刊行されたものです。

(1996.8.27発行)

20世紀デザイン切手シリーズ・第10集
湯川秀樹博士ノーベル物理学賞

湯川秀樹博士ノーベル物理学賞

 1907年東京都生まれ。1949年に日本人初のノーベル賞を受賞したことで知られています。中間子理論をたて、素粒子論の端緒を開いたことが評価されたものです。1981年没。切手のデザインは「中間子理論のイメージと数式」なのだとか。

(2000.5.23発行)

文化人切手(第11集)
田中舘愛橘

田中舘愛橘

 田中舘愛橘は1856年に現在の岩手県二戸市で生まれました。なんと江戸時代に生まれた人です。日本の近代科学、とくに物理学、地球物理学、航空学の創始者と言うべき人です。地球物理学の分野では、震災予防調査会や緯度観測所の設立に尽力しました。また学校で学ぶ日本式ローマ字も、彼が提唱したものです。1952年没。切手は没後50年にちなんで発行されたものです。

(2002.11.5発行)

 田中舘愛橘の切手は、タレかあちゃんさんよりご寄贈頂きました。ありがとうございます。ここに紹介した以外では、Z項の発見で知られる木村栄や、物理学者の長岡半太郎も切手に取り上げられています。

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