塩屋天体観測所|東経135度子午線を訪ねて|子午線道中膝栗毛
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(2002年12月3日訪問)
2002年12月4日のオーストラリア皆既日食。
飛行機の到着地アデレードと日食観測地のセデューナの間に東経135度子午線が通ることに気づいた。
・アデレード 南緯 34°49' 東経 138°33'
・セデューナ 南緯 32°07' 東経 133°40'
手持ちの地図から算出した概算の経緯度。オーストラリアは広いので、この中間地点でも、海岸線より数百km入った場所になるのだが、オーストラリアの大陸横断鉄道はこれよりずっと北を走っているので、こんなに南へ行く機会はめったにない。
せっかくなので、きちんと訪問したいもの。
私が参加したのは、兵庫県立西はりま天文台と姫路市科学館・明石市立天文科学館の友の会で企画した日食観測ツアー。
いつもお世話になっている明石市立天文科学館に相談して、その先どこにどう連絡が回ったのか、40人近くの参加者を乗せたバスは、おそらく何にもない原野の真ん中であろうオーストラリアの子午線通過地に停車して、記念撮影をすることになってしまった。
2002年12月3日、アデレードから延々800km弱の道のりをセデューナ目指してひた走るバスは、いよいよ東経135度子午線に差し掛かったのだった。
手持ちの地図で確かめた限りでは、"Minnipa(ミニパ)"という町を通過して、すぐの辺りが子午線になる。次々に読み上げられるGPSの数字と、ミニパまでのキロポスト表示に、「日本人がミニパの町に大騒ぎするなんて、はじめてじゃないのか」と運転手があきれて笑っていた。
GPSは世界測地系に設定して頂いた。
明石市立天文科学館星の友の会としては、天文経度にこだわっても良いのだが、天文経度を測るためにはここで泊まり込んで天測しなければならなくなる。まさか日食をすっぽかすわけにはいかないので、ここは世界標準の測地系で行くことにした。
最後はみんなでカウントダウンしてバスを停めた。
みんなで道ばたに並んで記念撮影と相成った。
道ばたといってもハイウェイの道ばた。こんなことが出来るのもオーストラリアならではか。
ちょこっと行き過ぎていた気もしなくもない……のだけど、秒の単位で数秒差なので、まぁGPSの誤差範囲(たぶん)。実は同じ場所にいてもGPSの示す数字は刻々変わるので、これを追い込むとなると別の測量手段が必要になる。通過したのは確かなので、よしとしましょう。
ちなみに東経135度子午線は、日本標準時子午線ではあるのだけれど、オーストラリアでは時刻の基準にも何にもなっていないただの子午線。サウスオーストラリア州では、なぜか日本と30分の時差を設定しているのだ。
巻き込んでしまったみなさん、言い出しっぺは私でした。すみません。
そして、ほんとうにありがとうございました。
(2002年12月3日訪問)