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緊急講演会「どうなる惑星の数」と「セレス」特別観望会
2006年8月27日

 野外天体観測会から帰ったばかりの晩に、こんな企画を組むなんて、忙しすぎます天文科学館。

 「冥王星の惑星除外」が集中的にマスコミの話題になったこともあって、日曜の晩だというのに200人以上の方が集まりました。

 ちなみに天文科学館の惑星の展示は、こんな形になりました。冥王星の後ろの壁に、今回のIAU当初案で惑星の仲間入りする可能性を示された「セレス」「カロン」「2003UB313」の3つの天体のパネルが追加され、また太陽系についてのコメントを記した大きなパネルも掲げられました。

どうなる惑星の数

 話題になったのは「冥王星の扱い」でしたが、「惑星をどう考えるか」というのが本当のテーマです。

 以下、井上さんのお話の要約より。自分の感想も混じっているので、当日の趣旨そのままではないです。

 惑星の数は、実は人類の歴史の中で何度も書き換えられてきました。

 2000年前の惑星の数は5つ。おなじみ「水星」「金星」「火星」「木星」「土星」の5惑星です。肉眼でも容易に見ることが出来て、恒星とは異なる動きをするこれらの星たちは、「惑うもの、迷いびと」を意味する"planet"と呼ばれるようになりました。

 16世紀にコペルニクスが登場すると、「地球」が惑星の仲間に加えられます。世界の中心だった地球も、太陽の周りを回る惑星の一つということが分かってきたのですね。人類の宇宙観が、このあとどんどん変わっていく先駆けとなった革命的な出来事です。

 1781年に、イギリスのハーシェルが天王星を発見。惑星の数は7つとなります。

 1846年には、ガレが海王星を発見。惑星の数は8つに増えます。

 実はこの間、1801年にイタリアのピァッツィがセレスを発見しました。「新惑星か!?」と話題になり、一時は惑星の列に加えられたものの、どうも大きさが小さいことが分かり、他にも似たような天体が次々と発見されたことから、惑星ではなく新たに「小惑星」という分類に区分されることになりました(このあたり、今回の冥王星騒動にそっくりです)。

 そして1930年、アメリカのトンボーが冥王星を発見。惑星の数は9つに。私たちの常識だった「惑星は9つ」というのは、76年間の歴史しかないわけです。

 さてこの冥王星ですが、どうも他の惑星と違うぞということが分かってきました。大きさは月より小さいし、軌道は大きく傾いているし、氷の固まりだし……それでもしばらく惑星扱いしていたのですが、1990年代に入ってカイパーベルト天体(今後はトランス・ネプチュニアン天体(海王星以遠天体)と呼ばれそうです)が続々と見つかり、どうも冥王星はそちらの中まではないかということが明らかになってきたのです。

 そのうちついに冥王星より大きなカイパーベルト天体が見つかり、第10惑星か!?と話題になりました。でもこれから冥王星より大きな天体が見つかったら、どうなるのでしょう? 惑星の数は際限なく増えてしまうのでしょうか。

 そんなこんなで、「惑星とは何か」ということを、改めて見つめ直そうというのが今回の国際天文学連合の総会でした。

 どんな提案がなされ、どんな議論がなされ、どんな結論になったのかは、国立天文台のアストロ・トピックスをご参照のこと(井上さんも経緯をお話くださったのですが、簡単にまとめきれません(汗))。

 残された今後の課題も整理して、講演会はお開きとなりました。

セレス観望会

 

 IAUの当初案通りなら、「『セレス』惑星認定記念観望会」になるはずだったのですが、「惑星になり損なっちゃって残念!?観望会」になりました。

 写真は4階日時計広場。こちらは館の12.8cm屈折と10cm屈折で、太陽系最大の惑星「木星」を観望中です。コンサートなどのイベントでは、観望会まで残らずにお帰りになるお客さんも少なくないのですが、今回はほとんどの方が熱心に星空を楽しまれていかれました。

 私はこれまで小惑星を見たことがなかったので、今回のセレスの観望会で、生まれて初めて小惑星を見ることが出来ると意気込んでいたのですが、

 「残念でしたねぇ、セレスは「矮惑星」になってしまったので、小惑星ではないんです」

というオチが待っていました。

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