塩屋天体観測所|プラネタリウム・天文台訪問記|明石星の友の会活動紹介・海賊版
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明石市立天文科学館のプラネタリウム投影機(Universal 23/3)は、旧東ドイツのカールツァイス・イエナ社製(現:カールツァイス社)。1960(昭和35)年6月の開館以来50年にわたって稼働を続け、現役では国内最古、世界でも5番目の古さという投影機です。阪神・淡路大震災でも館の建物は大破しましたが、この投影機は被災を免れ、今に至るまできれいな星空を映し続けてきました。
天文科学館の投影機はこれまで、1978(昭和53)年、1990(平成2)年、2002(平成14)年の3回にわたって、ドイツのツァイス社から技師を招いてのオーバーホール(分解整備)を行っています。貴重な投影機を今後も末永く使っていくために、2010(平成22)年1月から1ヶ月間、8年ぶり4回目のオーバーホールが行われています。
2月6日に、天文科学館星の友の会の会員対象に、このオーバーホールの見学会が開催されました。この見学会、30名の定員が電話受付開始後、5分で埋まってしまったそうです。
今回はその様子を紹介します。
プラネタリウム投影機のオーバーホールだけでなく、天文科学館は展示室全体のリニューアル工事が行われていて、2010年5月末まで長期休館中。館の玄関前にも工事用の柵が立てられていて、ものものしい雰囲気です。
受付を済ませて、みんなでドイツ語のあいさつの練習。ドイツの技師が来ているわけですから、やっぱりコミュニケーションの基本です。おはようございますが「グーテンモルゲン」で、こんにちはが「グーテンターク」……一つ覚えると一つ抜けていくので、付け焼き刃でもさっぱり身に付きません。
そんなさなかにバイクの配達のお兄さんがやってきます。技師の方々の昼食の出前ということで、食習慣が違う国での長期出張ですから、食べ物も大変です。明石に来たからといって毎日タコやタイを食べるわけではないというか、ふつうにパンやピザが多いそうです。そりゃそうだ。
1階ロビーに入ると、いつもとの様相の違いにびっくり。養生のためのシートやカバーが至る所に掛けられ、館内真っ青です。
今回のリニューアル工事の中心は3階の展示室ですが、1階は通路になるので、気遣いも多いのでしょう。
エレベーターでプラネタリウムのある2階へ登ります。
ドームの前室のロビーは特に手は加えられていません。トイレの「転用」が目を引きましたが、本筋とは関係ないので気にしないことにします。
見学に当たってのオリエンテーション。ドーム内は工具や投影機の部品が広げられている上に、実際にオーバーホールの作業が進行中。立ち入り可能な場所や写真撮影時の注意事項が伝えられます。
いつもなら300人以上収容できるプラネタリウムドームですが、今回は30人の定員を2班に分けて、半分ずつの見学です。オーバーホール中のドームの中は、それだけ狭くなっています。
一つの班はドームの中へ。もう一つの班はビデオと写真で今回のオーバーホールの予習です。
2010年1月14日にスタートしたオーバーホールは、2月12日に終了予定。見学会が設定された2月6日は作業が終盤に差し掛かり、一度ばらした部品を再び組み付ける段階に入っています。最初の班が見学している間に、これまでの過程をおさらいします。
なお、オーバーホールの過程は明石市立天文科学館ブログに詳しく紹介されています。
上の4枚は予習の時間に紹介されたビデオや写真から。左上は明石ケーブルテレビで放映された「教えて! シゴセンジャー」からオーバーホールの様子を伝えるシーンの一コマ((c)明石ケーブルテレビ)。恒星投影球のレンズが外されて向こうが透けて見えているのにご注目。
他の3枚は天文科学館の記録写真から。右上は恒星投影機の地平線下を遮るシャッター。左下が月投影機で、今回のオーバーホールの重点項目です。右下はプラネタリウムを動かすモーター。
ここでいよいよ攻守交代。ついにドームの中に案内されます。どきどき。