塩屋天体観測所|プラネタリウム・天文台訪問記
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M-3SIIは1985年から1995年まで運用されたISASの当時の主力ロケットです。
ハレー彗星探査機「さきがけ」「すいせい」を惑星間軌道に投入するために生み出され、全段個体ロケットとして初の地球重力圏脱出を、1号機から成功させました。
細身のシルエットに力強いフェアリング、銀・赤・白のカラーリングがばっちり決まった、日本で一番格好いいロケットです(個人的主観)。
詳しくは出雲晶子さん渾身の「M-3SII物語」をご一読することをお薦めします。
M-3SII原寸大模型全景 |
本体より太めのフェアリング |
ハレー彗星目指して飛び立ち、みごと観測を成功させた「さきがけ(MS-T5)」「すいせい(PLANET-A)」(いずれも1985)。
1987年には日本3代目のX線天文衛星「ぎんが(ASTRO-C)」、1989年には2007年現在も現役の「あけぼの(EXOS-D)」、1990年には「ひてん(MUSES-A)」、1991年には太陽活動の一サイクルを追い続けた「ようこう(SOLAR-A)」、1993年には4代目X線天文衛星「あすか(ASTRO-D)」。
第一段-第二段継ぎ手 |
第一段モーターケース接合部 |
とにかく毎年のように科学衛星を軌道に投入し、そのことごとくが貴重な成果をあげるという、ISASiの黄金時代ともいうべき時代を築いた立て役者でした。
ブースターのスパイクコーン |
ブースター接続部 |
ブースターのスパークコーンは、これで衝撃波を軽減し、結果的に打ち上げ能力の増強を図るためのものだそうです。第一段の能力不足を補う工夫なのだとか。
ノズル側を見る |
下方からの全景 |
1995年に打ち上げられた日独共同の「EXPRESS」は、軌道投入に失敗。有終の美というわけにはいきませんでしたが、燃え尽きたと思われていた衛星本体は後に回収されたそうです。運が付いているロケットだったのでしょう。
M-3SIIの後継機が、まるっきり新規設計となったM-V。そしてそれも、2006年の「ひので(SOLAR-B)」打ち上げで一区切りとなり、ISASロケットの歴史も転機を迎えることになります。
あたりまえですけど、学食の雰囲気 |
Bランチ(日替わり)450円 |
平日は見学者も食堂で昼食を取ることが出来ます。
ISASに到着したのがちょうどお昼時だったので、腹が減っては戦が出来ぬとばかりに、さっそく寄ってみました。予想はしていましたが、メニューも雰囲気も、学食そのものです。元が大学の共同研究機関ですからね。
そのまんま学食 |
オープンカフェ風のテーブルセットがあるのが |
日替わりランチがA・Bの2種類あり、Bの肉じゃが定食をチョイス。450円也。味はそこそこ、量は多め。男子学生向けにはちょうどよいというところでしょうか。
貼紙的看板 |
だいだいドリンクと宇宙食が隣り合う不思議 |
平日は生協の売店が開いているので、買い物もできます。「宇宙科学研究本部生活協同組合」って、漢字を並べるとなんかスペースコロニーの売店みたいです。
基本的には大学生協なので、文具やら食品やら、それほど広くない店舗ながら、一通りのものが置いてあります。PC関連の品物やOAサプライが多いのが、理系のキャンパスっぽい感じ。
それにしても、貼り紙がいかにも人間くさくて大好きです。
ISASグッズコーナー |
「すざく」「のぞみ」のキーホルダーなど |
店舗の真ん中にISASグッズのコーナー。JAXAグッズは東京のJAXAiやあちこちの科学館で売っていますが、ISASのグッズはなかなか見かけないので貴重です。
甲斐恵美子さんの「Lullaby of Muses」がしっかり置いてあったり、JAXAの「ソラノオト」もキープしてあります。
見学可能エリアの大部分は、敷地内の保存林になっています。蝉の声のシャワーを浴びながら、一回りして帰ってきました。
展示室に置いてある各種衛星や施設などのスタンプ。全46種(2007.8現在)コンプリートするとA3用紙がいっぱいになります。上手く押せば重複なしてA3サイズに収まりますので、お時間のある方はチャレンジくださいませ。
(2007.8.22訪問/2007.9.2記)