塩屋天体観測所|プラネタリウム・天文台訪問記
前のページへ戻る
右側のドームが乗っている建物が別館です。手前のかまぼこ型のものはたぶん倉庫か何かだと思います。本館のテラスから撮影したもの。
ザートリウス18cm屈折望遠鏡 |
ドームは木製 |
別館のドームに収まっているのは、ザートリウス18cm屈折望遠鏡。ザートリウスという名前もどこかで聞いたことがあると思ったら、明石市立天文科学館にある子午儀が「ザルトリウス子午儀」なのでした。カナの振りが違うだけで、もちろん同じ会社です。
この望遠鏡にはHαフィルターを装備して、太陽観測専門に利用されています。一般公開のこの日も、来訪者対象の太陽観望会を行っていました。
別館1階に置いてあった望遠鏡のフードには、ハレー彗星がやってきた時の、チロ望遠鏡キャラバンのステッカーが貼ってありました。懐かしいなぁ。
この四角い建物が花山天文台の歴史館。かつては「子午線館」として、名前の通り子午儀などが置かれていました。1929年の建設。
最近は使われなくなったので、解体という話もあったそうなのですが、昭和初期の洋式木造建築として貴重な建築物ということで、修理保存して「歴史館」として活用されることになりました。
建物の中央と、東側(写真では左側)の屋根がスライディングルーフになっていて、往時はそこから天体観測を行っていたのでしょう。
フォース社製子午儀 |
アスカニア製子午儀のパネル (本体は明石市立天文科学館所蔵) |
建物の中は3つの部屋に別れています。西側の部屋が「天文台歴史室」ということで、花山天文台の歴史をたどるパネル中心の展示。
真ん中の部屋は「天体・時計室」。細長いスライディングルーフ(というか、スリット)があるところで、真ん中にフォース社製の大きな子午儀が置いてあります。南北にしか動かさないので、ドームにする必要がないのです。
こちらにもパネルの説明があるのですが、面白かったのは以前使っていたという「アスカニア製子午儀」の解説。じつはこれ、明石市立天文科学館に引き取られているのです。思わぬところで見かけてびっくり。
屋根の低い子午線館 |
クック社製30cm鏡のレンズ |
精密時計 |
本館に45cm屈折が入る前に使われていた、30cm屈折望遠鏡のレンズも置いてありました。
その他、クロノメーターや精密時計などが並べてあります。
時刻との縁が深い、子午線館の歴史を物語っています。
東側の部屋が「太陽スペクトル室」。以前使われていたヘリオグラフやシーロスタットが置いてありました。丁寧に見ていると、ここだけでずいぶん時間が過ぎてしまいそうです。
天文台の中で、いちばん南側の、少し低めの位置に建っている太陽館。1961年に建設され、名前の通り、太陽観測のための70cmシーロスタットがあります。
屋外にある第1鏡(下)と第2鏡 |
第2鏡の反射光を取り入れる開口部と 第4鏡・第5鏡 |
屋外の第1鏡で太陽を追尾し、第2鏡で屋内に太陽光を導きます。
第3鏡(写真にはありませんが、右の写真の左外側にあります)が50cm凹面鏡になっていて、第4鏡・第5鏡を経由して、直焦点で太陽像を結びます。
花山天文台のサイト内に光路図があります。
こちらが焦点面 |
焦点面を背後から見た様子 |
平面鏡を4枚使うので、精度を出すのが大変だろうと思います。分光観測を行うので、レンズを通って色収差が出てしまうと、元も子もないということだと推測しています。
焦点面にはスリットが開いていて、ここを通った光は背後の巨大な暗室に導かれて分光されます。建物そのものが、観測装置みたいなものです。
「彗星の素」と出来上がった彗星たち |
私がつくった彗星 |
太陽館にあった工作(?)コーナー。ドライアイスと水と泥をビニール袋に入れてジャカジャカ振ると、「汚れた雪だるま」の彗星が出来上がります。太陽風ならぬ扇風機風を当てると、ちゃんと尾もたなびく秀作です。持って帰れないのが残念(!?)。
新館前の受付テント。来訪時にクイズラリーの用紙を頂き、全ての設問を回ると、天文台を一巡りできる仕掛けになっています。記念品はポストカード。全問正解者は2枚頂けるおまけ付きでした。
(2006.9.30訪問/2007.6.7記 福田和昭)