塩屋天体観測所プラネタリウム・天文台訪問記
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南極観測船「しらせ」(初代)(3)

(2005.10.2訪問/2006.6.18記)

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船橋上のマストの上の操舵室

 砕氷を行いながら進むときは、遠方まで見通しが効いた方がよいので、「しらせ」にはマストの上にも上部指揮所と呼ばれる操舵室が設けられています。見晴らしは良さそうですが、揺れそう……

外回り

タラップ

浮き輪

 アルミの柵のように見えますが、タラップです。干満や喫水の差に対応できるよう、一段一段のステップは丸みを帯びています。ちょっと歩きにくそうです。そして浮き輪もやっぱりオレンジ色。

ファンネルとレーダー

救命艇

 ファンネルもオレンジ一色。初代南極観測船「宗谷」は海上保安庁のコンパスマークが描かれていましたが、そういえば自衛隊はファンネルにマーク入れないですね。

 救命ボートもオレンジ一色。目に鮮やかです。

ヘリ甲板

ヘリ甲板

ヘリ格納庫

 「しらせ」にはヘリコプターが3機搭載されています。主に輸送用に使われる大型のS-61Aが2機と、観測用のOH-6Dです。この日はS-61Aが一機だけ展示されていました。格納庫内では南極に関する展示が行われていました。

ヘリコプターS-61A

ヘリ内部

 ヘリコプターのS-61Aは、名門シコルスキー社の製品で、三菱重工がライセンス生産したものです。格納庫に入れるためにローターを折り畳んだ状態です。なんというか赤鼻のトナカイ状態の塗装です。

 ヘリの内部は武骨そのもの。旅客用じゃないから、しょうがないですね。南極では昭和基地への輸送業務で大活躍します。

甲板展示

ペンギン像

南極の石

 ヘリ甲板にはペンギン像と南極の石が展示されていました。ペンギン像はロープで囲われていますが、南極の石はさわり放題。やはり生き物の扱いには慎重になっているのでしょう(違う)。

ヘリ格納庫内展示

しらせ2号

しらせ3号

 2号は四輪バギー、3号は雪上バイクです。ていうか、3ケツはまずいんじゃないでしょうか。

しらせ用防寒着

南極隕石

 左の写真は「しらせ」用の防寒着。日陰にこのマネキンがあると、ちょっとコワイ雰囲気です。

 右の写真は南極隕石。日本の観測隊は南極のやまと山脈で膨大な数の隕石を拾い集めていて、日本は世界最大の隕石保有国となっています。中には火星からやってきたという珍品もあって、それらは極地研の南極隕石センターで管理されています。

 

格納庫内の自販機

グッズ販売

 格納庫内の自販機は一般公開用に設置されているものだそうです。当日は暑かったので大繁盛。

 もう一つ大繁盛していたのが、グッズ販売のコーナー。オレンジ色の帽子、ついつい心を惹かれたのですが、常用するにはあまりに目立ちすぎる色なので、思いとどまりました。

南極の氷

南極の氷

気泡がいっぱい

 南極の氷もやってきました。

 南極の氷は、降り積もった雪が積み重なって圧縮されて出来るので、中に気泡がたくさん含まれています。遠目に見ると白く見えるのはそのためです。成長するのに時間がかかるので、数万年から数十万年前の大気が冷凍保存されていることになります。

下船

 

下船はヘリ甲板後部の階段から

狭くて急傾斜

 ということで、艦内見学終了です。

 艦内の階段は狭くて急なものばかり。客船ではないということを、いやでも思い知らされます。

タラップと垂れ幕いろいろ

 

基本は日本語

砕氷艦しらせを英訳して"ICE BREAKER SHIRASE"
 

"AGB"は"Auxiliary Ice Breaker"の略
でも"G"はどこから来たのでしょう?

こちらは海自マークと艦名
 

これは垂れ幕じゃないですけど

高松を愛しています

 最初に書いたように、「しらせ」は文部省の予算で建設され、海上自衛隊が運用している船です。文科省では「南極観測船」ですが、所属している自衛隊では「砕氷艦」。AGB5002という艦番号が与えられています。

 "AGB"は"Auxiliary Ice Breaker"の略で、auxiliaryは補助艦艇を意味します。補給艦や救難艦がこの分類です。

 

船尾から

ヘリ甲板も広い

 船尾から見ても、幅の広さは際だっています。

 降りてから見ると、改めて船の大きさを実感できます。

 
多くのお客さんがやってきたのでした

 当日は大勢のお客さんがやってきて、私が高松に着いた時点で乗艦まで1時間待ち、帰りには1時間半待ちになっていました。それだけ南極観測に対する関心が高いのでしょうね。

 建造当時は世界屈指の砕氷船といわれた「しらせ」ですが、まもなく耐用年数の25年を迎え、2007年度末の退役が決まっています。

 後継船の建造は、いったん財務省に蹴られてしまい、遅れて2009年度の就役が予定されています。それでも2008年が空白になってしまうのですが、代替輸送手段を用いて、観測を継続します。

 参考:南極観測事業の概要(文部科学省)2005.5.19(PDF)

※2008年度の観測隊はオーストラリアの砕氷船「オーロラ・オーストリクス」を傭船することが決まりました。(2007.7.8追記)

※2007年現在、後継船はユニバーサル造船舞鶴事業所で建造中。2007年11月13日に後継船の名称を「しらせ」とすることが発表されました。自衛艦で同一艦名を続けて襲名するのは異例のことだそうです。(2007.11.13追記)

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