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カノープスを探そう


■カノープスとは?

 カノープスは「りゅうこつ座」という星座にある星です。
 太陽・月・惑星を除いた恒星の中では、全天で2番目に明るい星です。こんなに明るい星なのに、「見たことある!」という人はあまり多くありません。実は南の空の低〜いところにしか顔を出さず、ちょこっと出てきてはすぐに沈んでしまう星なのです。
 なかなか見ることが出来ないので、中国ではこの星を「南極老人星」と呼んで、見ることが出来たら長生きできるおめでたい星としてきました。「南極老人」は別の名を「寿老人」。おなじみ七福神の船に乗っかっているひげの長いおじいさんです。なるほど、これはめでたそうです。


画像は「おんなのこ そざい」より

■どこで見ることが出来るのか?

 南の地平線すれすれにしか出ない星なので、南の開けた土地しか見ることが出来ません。
 また北の方に行けば行くほど、昇る高さが低くなり、東北地方北部や北海道では、全く見ることが出来ません。それでも高い山に登ってがんばって写真を撮った人がいて、今までの北限記録は山形県の月山とされています。
 明石では、瀬戸内海や淡路島の上に、ちょこんとカノープスが出ている姿を見ることが出来ます。ただし、雲がかかっていてはダメですし、霞がかったような空の日も、ずいぶん見えにくくなってしまいます。

■どんな見え方?

 カノープスの明るさは-0.6等。最初に書いたようにおおいぬ座のシリウスに次いで、全天で2番目に明るい恒星です。これは相当に明るいはず……なのですが、これがそうではないのです。
 太陽が西に沈むとき、光が弱くなって赤く見えています。これは空気が光の邪魔をするからなのですが、低いところの星も同じような影響を受けてしまいます。-0.6等のカノープスも、せいぜい4等星くらいにしか見えません。ホントはクリーム色の星なのに、色も赤くなって見えています。

■チャレンジ! カノープス

 論より証拠、とりあえず探してみましょう!
 右の図は、この季節の南の星空です。日によって少しずつ、星の見える時刻が違いますから注意して下さい(図の左上に時期と時間を記してあります)。
 さて、まずはオリオン座を見つけてください。真ん中に3つ仲良く並んだ星があります。

(1) 3つの星をつないだ線を、ずーっと左下に延ばしていくと、青白い明るい星があります。全天で一番明るい「シリウス」という恒星です。シリウスのあるあたりは「おおいぬ座」と呼ばれる星座です。

 ここから先は2つのルートがあります。
(2)-1 おおいぬ座の前あしの星と後ろあしの星をつないで、そのままずぅーっと下に延ばしていきます。地平線近くにポツンと星が見えたらカノープスです。
(2)-2 おおいぬ座のお尻としっぽは3つの星が三角形を作っています。この三角形のてっぺんを三等分して、右側の線をずーっと右斜め下に延ばしていきます。こちらも地平線の上にひょこんと星が見えたらカノープスです。

 さーて、カノープス、見つかりましたか? 天文ファンでもなかなかお目にかかる機会の少ない星。見えたらみんなに自慢してしまいましょう。
※2004年2月21日の「カノープスOFF会」用の資料から作成。
なお、時刻は明石付近を基準にしています。
※惑星の位置が変わったので、恒星だけの図に差し替えました。

(2004.2.28 福田和昭 記)


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