塩屋天体観測所神戸の街のこんな星index
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2004年の金星台

まえがき

 2004年6月8日、日本で見ることが出来るものとしては130年ぶりの金星太陽面通過が起こりますした(曇って見えなかったです)。

 その130年前の1874年12月、日本には欧米各国から観測隊が派遣され、神戸にもフランス隊の分遣隊がやってきて、みごと観測に成功しました。

 その経緯はぼくでんさんの「神戸における金星日面通過観測」に詳しいです。

1874年12月9日の金星太陽面通過・拡大図 1874年12月9日の金星太陽面通過・全経過図
1874年12月9日の金星太陽面通過の様子。ステラナビゲーターVer.5で作成。場所は金星台を設定。

 現在は神戸市中央区諏訪山公園となっている観測跡地。記念碑が建てられて「金星台」という名前で呼ばれています。

金星台のいま

2004年5月27日の金星台 実は2001年の11月に金星台を訪問したことがありました。当時は解説版などはなく、記念碑を訪ねる人もほとんどいない様子でした。

 それから3年半。近くのビーナスブリッジが話題になったり、金星台自体も神戸新聞でも取り上げられたり、なかなかにぎやかな今日この頃。6月8日当日は中央区内の小中学生を対象にした観測会も開かれます。

 金星太陽面通過まで2週間を切った5月27日、久々に注目を浴びつつある金星台の今の様子を訪ねてみました。

※このページの写真は特に断りのない限り2004年5月27日に撮影したものです。

諏訪山公園

諏訪山公園の新しい案内板

 金星台のある諏訪山公園は、神戸市中央区の山際にあります。鉄道の駅でいうと市営地下鉄山手線の「県庁前駅」が最寄りですが、坂道を15分くらい登ることになります。JR・阪神電車の「元町駅」からだと30分弱でしょうか。

 公園は斜面に広がっていて、バス通りに面している場所は標高50mほどなのですが、金星台の標高は90m。40m分の比高を登らなければなりません。

 普段より1時間早く家を出て、出勤前に立ち寄ったのですが、ちょっと汗をかきます。上の写真には自転車が写っていますが、階段だらけなのでちょっと自転車でたどり着くのは難しいです。


 諏訪山公園はすっかり案内板が整備され、金星観測の記念碑にもしっかり解説版がつけられていました。

 せっかくの天文史跡ですから、大切にしてもらえるのはうれしいことです。

意外に広い金星台 記念碑の解説版
意外に広い金星台 記念碑の解説版

 それにしてもこの金星台、上から見たら星形だというのですが……う〜ん、それはちょっと強引ではないかしらん。
 確かに広場の角が出っ張った形のようには思うのだけれど……う〜ん。少なくとも五稜郭みたいなきれいな星形からはほど遠いです。

紅葉の金星台
この写真だけ2001年11月撮影
「金星過日測檢之處」碑文
表面 裏面




ICI
OBEERVON + PASSCE PLANTE
VENUS
9 + DECEME + 1874

COMMON + AST + FRANCE
J・JANSEN
ACAD・SC・PARIS
CHEF
DELACROIX CHIMIZOU ORSS

KANDA ETT GR DE HIOGO

















































 










 碑文の表側はフランス語なので、ちょっと読むのに苦労します。でも裏側に日本語が彫ってあるので、照らし合わせるとおよその書いてあることは想像が付きます。面白いのは観測地の経緯度。書きかけようとして、結局どこにも記されていないのですが、緯度が「赤道以北」なのに対し、経度が「巴里偏東」なのです。

 万国子午線会議でイギリス・グリニッジ天文台を通る子午線が本初子午線とされたのは1884年。実はこの地で観測が行われたときは、各国ごとに違った本初子午線を使っていたんですね。フランス隊だから当然、パリ天文台を基準にしていたわけです。

観測碑の拡大図 観測碑の拡大図・解説付
石碑の拡大。金星が分かりますか? こんな感じになっているのです

 フランス語の碑文の上には、日輪と、そこを通過する金星が彫られています。なかなか面白いですよ。

2004年6月8日

2004年6月8日の金星太陽面通過・拡大図 2004年6月8日の金星太陽面通過・全経過図
2004年6月8日の金星太陽面通過の様子。ステラナビゲーターVer.5で作成。場所は金星台を設定。

 金星台での金星太陽面通過、晴れたら上の図のように見えるはずです。

 130年ぶりに港町に姿を現す「黒いビーナス」。ぜひとも多くの人に、見てほしいものですと思いましたが、冒頭の通り曇ってしまいました。

(2004年5月28日記/2005年2月19日更新)

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