塩屋天体観測所|東経135度子午線を訪ねて|子午線道中膝栗毛
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(2003年6月8日訪問/2003年6月14日記)
6月10日は「時の記念日」。
日本標準時子午線を抱える明石にとっては、ちょっとだけ特別な日です。
この前後は天文科学館でスペシャルイベントが行われました。8日に行われたのは、GPS装備のウォークラリー「子午線を見つけよう」。さてさて。
毎年6月のプラネタリウム番組は、時にちなんだテーマの番組が投影されます。
右の写真は6月投影のパンフレット。今年(2003年)は久々に子午線の話題が登場しました。
ウォークラリーは11時過ぎのスタート。
早く来たので、第1回目の投影を見て、予習です。
夏至間近ということもあり、太陽は真西から、ずいぶん北に沈みます……と、そのまま番組の話になってしまいそうなので、これはここまで。
ちなみに途中に挟まれた星のお話も「子の星(ネノホシ)」でした。登場する徳蔵さんの奥さん、ものすごい観察眼を持った人です。
今回は天文科学館4階の日時計広場に集合です。 |
北側にある柿本神社方面への出口から出発。ふだんはなかなか使う機会がないのでは。 |
最初はちょっと少なめかな〜と思っていた参加者も、アナウンスを聞きつけたのか、出発の頃には10数名にふくれ上がりました。
今回のウォークラリーは、天文科学館の建っている「天文測量」の子午線と、GPSで使われる「世界測地系」の子午線、そして2001年3月末まで使われていた「日本測地系」の子午線と、3本の子午線を訪ねます。
天文測量の子午線は天体観測をしないと分からないのですが、実は天文科学館自体が、1951年に行われた天文測量で定められた子午線の上に立っています。
ここをスタートに、GPS端末を持って、世界測地系と日本測地系の子午線を訪ねるわけです。
天文科学館のすぐ裏手に「トンボの標識」があります。まずはここが最初のチェックポイント。
ここの遊歩道には子午線そのものが、石畳に刻まれているんです。ふだんは地図の上でしかお目にかかれない子午線ですが、足下に引いてあると、なんだか不思議な気分になるものです。
こちら、今回も活躍した古野電気のGPS端末。もともと船舶用のもので、陸上で使われる「_度_分_秒」ではなく、「_度_.__分」と、分以下を小数点の数字で表示しています。海上ではこちらの方がポピュラーなのだとか。 横の写真、左側1/3くらいの場所に天文測量の子午線が通っているのですが、GPSの画面では135度00.246分になっています。これ、日本測地系での経度表示です。 |
人丸山月照寺前の遊歩道を西へ進みます。 |
緑の鮮やかな石段を下りていきます。 |
3本の子午線があるといっても、実はそんなに離れた場所にあるわけではありません。
天文測量の子午線を基準にすると、世界測地系の子午線が西に約120m、日本測地系の子午線は西に約370mの場所になります。
このあたり、10年ほど前に「時の道」として遊歩道の整備がされていて、ちょっとしたお散歩コースだったりします。
世界測地系の子午線通過地点。下水のマンホールがありまして、そこがちょうど子午線通過地点です。 |
上の丸教会。屋根の頂点が壁面日時計になっています。 |
前日の夕方に大雨が降って、天気が心配だったのですが、うってかわっての好天の下でのウォークラリーとなりました。とっても暑い日で、おまけに途中のチェックポイントでは毛虫が大繁殖中というハプニングも。
参加者の中には、日本測地系の子午線通過地で「ちょうどこの上が私の家なのよね〜」なんて人も。我が家の魅力、再発見、といったところでしょうか。
ちょうど12時の時報が鳴り響くころ(明石は街中に正午の時報が流れる)、天文科学館に戻ってきたのでした。
ちなみに上の写真、ちょうど正午に撮影したものです。斜めに引かれた白いタイルのライン、天文科学館の玄関脇に表示された子午線なのですが、ここに落ちている影、正午だったら子午線の上ピッタリにあるはずですよね。ところが実際は、ほんの少しだけ、東側にずれていました。
さ〜て、なんででしょう。かなりマニアックな問題です。ヒントはアストロアーツのサイトの中。
この日、館で配っていた紙製日時計キット。これは完成品。実はちょっと変わっていて、影でなく、スリットを通った光で時刻を示す仕掛けになっています。
(2003年6月8日訪問/2003年6月14日記)