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ツァイス&メガスター(1)
2007年3月17日〜25日

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 2007年3月17日から25日まで、明石市立天文科学館に、大平技研の投影機「メガスターII」がやってきています。

 天文科学館の「Zeiss Jena Universal Planetarium Projector 23/3」は、2007年現在、日本国内現役最古のプラネタリウム投影機。プラネタリウムの生みの親、ドイツのカールツァイス(イエナ)の製品です。1960年の開館以来、一貫して明石で星空を映し続けてきました。

 メガスターIIは大平貴之さんが個人で開発した投影機。明石にやってきた2号機ミネルヴァは410万個の星を映し出すことが出来ます。現代のプラネタリウム界の一翼を担う新鋭の投影機です。

 この2台が肩を並べて競演する一大イベント。これを見逃さない手はありません。

Day 0:大平貴之講演会「メガスター奮闘記〜ツァイスに憧れて」

 3月16日(金)。プレイベントとして行われたのが大平貴之講演会。プレイベントでメガスター制作者の講演会を設定するのが心にくい。

 2月15日(木)に発表されて、2月24日(土)には満席予約終了という、天文科学館主催の講演会としては例のない人気ぶり。

 平日の夕方にも関わらず、玄関前には100人を超える長蛇の列。西空には宵の明星がポツリ。

 ドームの中にはいると、おおっ、ツァイス投影機の東側の肩に、ちょこんとメガスターが設置されています。テントウムシと巨大アリという、昆虫のような組み合わせ。極めてメカメカしくて素敵です。

 2階フロアの掲示板には、大きく引き延ばされた写真が2枚。左はメガスターの銀河を背にしたツァイス投影機。右は両投影機のツーショット。か、かっこいい。

大平貴之さん

 最初にツァイスの星空を投影しておいて、重ね合わせるようにメガスターの星空を映し出します。なんという演出!

 はじめは大平さん自身がポインターを持ちながら、自らメガスターの星空投影。毎日ポインターを握る明石の解説陣にはさすがに及びませんが、堂々の解説っぷりです。制作者自らが星空を語る贅沢な投影です。

 それからが大平さんの一代記に入るのですが、妥協をしないで何事もトコトンやってしまう姿勢はすごいのです。が、なんとなくヒョウヒョウとして、すごさが笑いになってしまうのが、大平さんらしいところ。

 自転車を楽に漕ぐためにジェットエンジンをつくろうとしたとか(試運転までしたらしい)、すごいんですけど、バイクの免許を取らずにそっちに走ってしまうあたり、ある種の天然ボケなんではなかろうかと。

メガスターの星空の感想は、観測所雑記帳に書きました。

メガスターコントローラー
←これがメガスターのマニュアルコントローラー。日周運動と緯度変化だけに絞り込んでいるので、とってもコンパクト。

質問コーナー

 最初に質問に立ったのは、友の会の宇野くん。

「メガスターでは惑星は映せないんですか?」
「メガスターの星はあまり色が付いていないようなんですけど、どうしてなんですか?」

 って、なんという鋭い質問。大平さんも「いやぁ、いきなりメガスターの弱点を突かれましたねぇ」と苦笑い。

 それでも、目の前のツァイスの投影機と比較しながら、プラネタリウムの惑星投影機の仕組みや、メガスターが機能を極限まで絞って小型化した投影機であることなど、きっちり説明されていたのはさすがです。いい人だ。

 他の質問者もふるっていて、次の質問が「大平さんのプロフィールを教えてください」。

 大平さんまたまた困惑。「今の講演がプロフィールみたいなものですが……」。天文科学館の井上さんも助け船「簡単にいうとプラネタリウムをつくっている人です」。お客さん面白すぎます。

 とにかく90分があっという間に過ぎ去った講演会でした。

Day 1:天文春分祭1日目(3月17日)

 9時30分の開館少し前に着くと、すでに気合いの入った人たちが。

 イベント時には毎回、クイズラリーが開催される天文科学館。今回は10分弱で全ポイントを回りました(早すぎ)。見事ポストカードをゲット。って末等ですけど。

軌道星隊シゴセンジャー「守れメガスター」

 メガスターの最初の投影がこれですか。やってくれます、天文科学館。

 ブラック星博士から「メガスターを奪いに行くのじゃ」という予告状が届いた天文科学館。

 メガスターの星空のもと、元気いっぱいの子ども向け投影をやっていると、来たのです。ブラック星博士。

 「メガスターを部屋に持ち帰ってな、インスタントコーヒーを飲みながら、『違いの分かる男』になるんじゃ」って、よくわからない野望に会場中が大笑い。

 コンソールを乗っ取ったブラック星博士はやりたい放題。「ツァイスの攻撃を受けて見ろ〜」と、土星を一つ映し出します。「恐怖のどん底に落とし込んでやるんじゃ〜」とツァイスの日周運動軸を動かすと、土星だけふらふら動き出して、会場爆笑。「まだまだこれからじゃ〜」と、こんどはツァイスの恒星投影機にも灯をともすと、全天の星空がツァイスとメガスターの二重写し。オリオン座の星座絵を二枚並べて「ふたご座じゃ〜」とか、想定外の攻撃に会場大爆笑。お、お腹痛いっ!

 初日の投影ではブラック星博士の強い味方、謎の人物"Dr.Big-Flat氏"が登場。会場が沸きに沸きました。黒い仮面を被って登場した彼、身長が188cmもあって、なんとなくエンジニアっぽい、「違いの分かる」ような存在感抜群の方だったのですが、いったい誰だったのでしょう(笑)。退場間際には会場に何度もお礼をする腰の低さ(笑)。仮面を取ろうとして、ブラック星博士に「よすのじゃ〜」と引き留められておりました。

 ドタバタの展開ながら、最後はきっちりメガスターの星空が守られます。迫力の南天の銀河をサービスして投影終了。この日は、何度も思い出し笑いして腹筋が痛かったです。

一般投影「星の王子さまの見た星空」

 2、3、5回目の投影は一般投影「星の王子さまの見た星空」。3月1日から4月15日までの投影ですが、メガスターの設置期間中は、投影内容も少し変更して、ツァイスとメガスターの両方を堪能できる番組構成になっています。

 この日見たのは、2回目の井上さんの投影と、5回目の藤田さんの投影。

 2階のプラネタリウム前のロビー、傍目にはものすごい混雑ぶりですが、実はロビーよりドーム内の方がずっと広いので、これでも中にはいると席には余裕があります。整理券が配られていますので、券さえ持っていれば座れないということはありません。

 右側の写真は、投影終了後のドーム内。ちょっと露出不足気味で分かりにくいのですが、投影機を囲んで記念撮影の人々の群れが出来ています。天文科学館は、投影終了後はドーム内でも撮影OKなんです。それにしても、ふだんは見ることの出来ない人気ぶり。

 2回目の井上さんの投影時には、震災前に副館長をされていた菅野松男さんが来場していらっしゃいました。菅野さんは1983年に現れた菅野・三枝・藤川彗星(1983e)の第一発見者で、シャープで明るいメガスターの星空を絶賛していらっしゃいました。解説台で立ち会っていた大平さんもびっくり。

科学教室「ブーブー風船をつくろう」

ブーブー風船をつくる風景 2階の天文ホールでは科学教室。初日は「ブーブー風船をつくろう」ということで、風船にストローか何かを付けて、ブーブー音が鳴るものを工作していました。館内で聞こえていた音の源はこれだったのか(笑)。

わなげ&じゃんけんぽんサイコロゲーム

わなげ&ジャンケンゲーム イベントの際は恒例の玄関脇のゲームコーナー。けっこう賑わっていました。

 ひっそり灯されるハロゲンヒーターが、3月とは思えぬ寒波襲来を物語っています。寒い中ご苦労様です。

クラリネットコンサート・田淵恵実さん

 4回目の投影はプラネタリウムコンサート。クラリネットの生演奏でツァイスとメガスターの星空を味わうなんて、なんて贅沢なんでしょう。あまりの心地よさについ半分くらい眠りに落ちてしまいました(不覚)。演出の見事さに大平さんが感じ入っていたので、ちょっともったいなかったかも。

 でも、明石のリクライニングシートは、背もたれがけっこう深く倒れ込むので、こういう心地よい企画は、かなり睡魔を呼び込む危険性が高いんですよね。

天体観望会「土星」

 3月17日の晩は、月に一度の天体観望会。観望対象は「土星」で、ただでさえ人気の天体なのに、観望前の解説をメガスターの星空で行うという豪華版。事前申込だけで250人という大盛況の観望会となりました。

 プラネタリウムでは、井上さんが、I.I.(暗視装置)を持ち込んで、メガスターの天の川を望遠ビデオカメラで撮影してプロジェクターで映し出すという芸の細かい投影をします。星のツブツブまでは分かりにくかったのですが、モクモクの雲状ではない、ザラザラとした質感は伝わりました。M6とかM7とか、さそり座のしっぽのあたりにある散開星団の解説もしていましたが、このままメシエマラソンが出来そうな勢いです。

 この日は寒の戻りで真冬のような気圧配置。4階日時計広場では、早い時間ならカノープスも見ることが出来ました。土星はもちろん、金星も見ることが出来、なかなか充実した観望会でした。

 それにしても、寒かった。ひ〜。3月の気温じゃないよ〜。

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