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口径10cmの屈折望遠鏡は、扱いやすい大きさの望遠鏡です。組み合わせにもよりますが、重すぎることもなく、そこそこの口径があり、メンテナンスも楽できちんとした像を結んでくれます。私は正立ファインダーと松本式正立ミラーシステムを装備しています。
下は2002年の夏の天文雑誌から拾った各社の10cmクラスの屈折鏡筒の本体のみの実売価格をグラフにしてみました。もともと店によって多少の幅もありますし、現在は違うものもあるでしょうが、ご参考ということでご了承ください。
意外に価格差が大きくてびっくりするのですが、私の使っているのは上から4番目、BORG100アクロマート鏡筒のB品(アウトレット品相当)です。私にとっては安い買い物ではないのですが、趣味の世界のこと、よい見え味、よい写り方を求めると、それ相応の出費になります(^^;)。10万円を超える鏡筒は、全てEDかフローライトのアポクロマートになります。
天文雑誌のフォトコンテストに出てくるのは高価な望遠鏡ばかりですが、観望目的、特に星雲・星団ならアクロマートも十分実用になります。写真を撮り出すと、架台も大きく重たい高性能のものになるのですが、観望なら小さな赤道儀や経緯台でこと足ります。特に質の良い経緯台は、天文歴の長い人でも意外に愛好者が多いと聞きます。でも私の周りではあまりいないのですけれど……
ペンタックスのXLシリーズの3本を使用しています。焦点距離は21mm・10.5mm・5.2mmです。 アイリリーフが20mmに統一され、見かけ視界も65度ある使いやすいアイピースです。もっと広角のアイピースも多々ありますが、覗きやすさとコストパフォーマンスを考えると、優秀なアイピースです。BORG100鏡筒との組み合わせでは、以下のようなスペックになります。 |
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口径100mmの有効最低倍率は14.3倍で、これを出すのには焦点距離45mmのアイピースが必要です。有効最低倍率はひとみ径7mmを基準に算出するのですが、市街地では周囲が明るいため4〜5mm程度までしかひとみが開かないと言われています。この場合の最低倍率は22倍、アイピースは29mmのものが必要です。 ところが自宅の近所で実際に覗いてみると、ひとみ径3.3mmのXL21使用時も、視野がずいぶん明るいのです。淡い天体はバックの空に埋もれてしまって、あまりよく見えません。むしろひとみ径が1.6mmしかないXL10.5を使用したときの方が、淡い天体が見やすくなります。アンドロメダ大星雲やオリオン大星雲などの明るい天体も、このくらいのひとみ径がいちばん見栄えがします。XL5.2mmになると、たいていの天体では、暗くなりすぎてしまいます。明るい球状星団や密集した散開星団の拡大などに使う程度といったところでしょうか。 ※ひとみ径で見ると中途半端なラインアップですが、これは最初に買ったのがタカハシOr9の代用に買ったXL10.5で、あとはその倍数系で揃えたためです。BORG100をメインで使うと決めていれば、7・14・28mmで揃えた方が良かったかもしれません。XL28だと見かけ視界が55度になってしまいますけどね。 |
(2002年9月21日記)