塩屋天体観測所観測記録室
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街中でメシエにチャレンジ! 2002-2003

最終更新日 2003.3.14(since 2002.5.11)

 自宅のある神戸市垂水区は、神戸市の西郊にあり、海沿いに昔からの街が伸び、内陸には大規模なニュータウンが広がっています。市街の真ん中よりはましですが、住宅地で光害は少なくありません。4等星まで見えれば「今日は空がきれいだな」といった感じで、普段は3等星がやっとの空。そんな街中の光害の中で、どれだけのメシエ天体が見えるか挑戦中です。

 中央の街灯の左がいつもの観測場所。2〜3本の街灯がありますが、電柱や駐車してある車の陰になって、直照は免れています。画面右を鉄道が通っていて、終電まで5〜10分に1本は煌々と輝く電車が走っていきます。道路は深夜でも車通りが少なくありません。使用鏡筒はBORG10cm屈折(アクロマート)です(使用機材星図・ガイドブック

確認天体リスト黄色=確認済、青色=挑戦したけど見えない、灰色=未挑戦)

M1M2M3M4M5 M6M7M8M9M10 M11M12M13M14M15 M16M17M18M19M20
M21M22M23M24M25 M26M27M28M29M30 M31M32M33M34M35 M36M37M38M39M40
M41M42M43M44M45 M46M47M48M49M50 M51M52M53M54M55 M56M57M58M59M60
M61M62M63M64M65 M66M67M68M69M70 M71M72M73M74M75 M76M77M78M79M80
M81M82M83M84M85 M86M87M88M89M90 M91M92M93M94M95 M96M97M98M99M100
M101M102M103M104M105 M106M107M108M109M110

 確認したメシエ天体86(2003.3.14現在)

2003年 3月13日(木)-14日(金)

 上弦過ぎの月が出ていたが、大阪湾の向こうの灯りが見えるくらい透明度がよかったので、外に出た。

 が、透明度がよいのは地上だけ。月はしっかりおぼろ月。上空には薄雲が出ていて、なんとも言いようのない天気。

M68(うみへび座/球状星団)
 昨日見えなかったが、場所はしっかり確認してある。再挑戦だが、やっぱり見えなかった。
M51(りょうけん座/銀河)
 天頂付近に来た時間帯を狙ったのだが、やっぱり見えない。視野内では9等星まで見えているので、データ通りなら8等台のM51が見えてもおかしくないのだが、やはり淡く広がった天体は難しい。

 明日以降は月没が午前4時近くなってしまうので、当分の間は夜更かししての星雲・星団観望は、事実上不可能。

 撤収間際に南東の空を見たら、さそり座のアンタレスが顔を出していた。

この日新たに見たメシエ天体0個・残りのメシエ天体24

2003年 3月12日(水)-13日(木)

 3月初めの新月の時期は、仕事が忙しくてまるで星を見る暇がなかった。

 10日の夕方は、ほとんど真冬のような透明度だったのだけど、風邪を引いてダウン。

 やっとこさ星を見る時間ができたと思ったら、今度は空がすっかり霞みがかるようになってしまった。最微等級なんと3等星。北斗七星がやっとこさ見えるくらいの星空である。よく見ると、薄雲までかかっている。なんてこったい。

M68(うみへび座/球状星団)
 メシエ天体中の球状星団では最後に残した一つ。30倍で視野にとらえても、全く分からない。61倍であやしい天体を見つけたが、星図と見比べると位置が少し違う。家に帰ってステラナビゲーターで確認したら、その場所には12等星があった。って、今日の空で、そんな星まで見えるのか?
M40(おおぐま座/二重星)
 メシエ天体中、唯一の重星で、もとはベベリウスが星雲と誤認したものを、カタログが切りのよい数字になるようにメシエが加えたものだとも言われている。未確認天体とされることもあるが、メシエの記述では「9等級の明るさがほとんど等しい星」とのことなので、まずはこれに間違いないだろう。30倍で暗い星が並んだ姿が細長い棒状に見える。その気になれば二重星に見える。61倍では二重星なのがなんとか分かる。角距離は50"と、木星の視直径分以上離れているのだが、なにせ暗い星なので、確かに低倍率では星雲状にも見えなくもない。
M109(おおぐま座/銀河)
 視野には入れているのだが、全然確認できない。
M51(りょうけん座/銀河)
 やはり視野には入れたが、確認できない。

 3等星が見えるかどうかという空なのだから、まぁ致し方のないところ。こんな時期に、春の銀河群が出てくるのだから、なんとも季節の巡り合わせの悪いものだ。

 なお、M40を見たことで、メシエが1771年最初に発表したメシエカタログ第1巻収録のM1〜M45までは、全て確認したことになる。

この日新たに見たメシエ天体1個・残りのメシエ天体24

2003年 2月24日(月)-25日(火)

 明日は仕事で早起きしなければならないのだけど、久々にきれいな空だったので、ちょっとだけ星見に出た。

 ところが、空はすっかり春めいてきた。冬の澄み切った透明度はすでになく、柔らかく霞んだような、そんな雰囲気の空。けっこう星も出ているように見えたのだが、あとで確かめたら3等星くらいしか出ていなかった。季節の移り変わりを実感する、今日この頃。

M105(しし座/銀河)
 30倍ではバックの空に埋もれて、最初は分からなかった。61倍でやっと淡くボーっと見える。けっこうはっきり芯のある見え方をする。
M96(しし座/銀河)
 30倍でなんとかボーっとした姿がつかまる。61倍では淡くて分からなくなる。
M95(しし座/銀河)
 30倍ではM96と同視野に見えるはずなのだが、わからない。

 次はM51でも見ようかと思ったのだが、ここで雲がやってきて、撤収となった。明日は6時起き。無理せずに済んで、よかったのかも。

 ところで、いつも使っている観測場所の駐車場、車が一台もなくなったと思っていたら、こんどマンションが建つらしい……ガクッ。

この日新たに見たメシエ天体2個・残りのメシエ天体25

2003年 2月10日(月)-11日(火)

 黄砂の前に、春の銀河を見ておきたいなぁと思って、2日連続で外に出る。

 天気予報によると、11日は気圧の谷の接近で曇り。ということで、朝起きるより夜更かしして、天気が崩れる前、上弦過ぎの月が西空低くなってからの時間帯を狙うことにした。

 日付が変わって、いざ外に出ると、それまで晴れていたのに、なんと空の半分が雲に覆われているではないか。

 こりゃ大変。雲が空全部を埋め尽くす前に、一つでも二つでも春の銀河を探すのだ……と意気込んではみたものの、自分が観測場所へ歩くより、雲がやってくるスピードが速かった。

 薄雲越しに、30分近く木星だけ眺めて、引き上げた。こんな日もあるさ。

この日新たに見たメシエ天体0個・残りのメシエ天体27

2003年 2月9日(日)-10日(月)

 月の影響を避けるため、3時過ぎに起きて、観測場所へ向かう。月曜の朝にこんなことしなくてもいいのだが、しばらく仕事が忙しくて、一ヶ月も望遠鏡にホコリをかぶせていたので、早起きしてでも無性に見たくなってしまったのだ。

 いつもの駐車場についてビックリ。車が止まっていない!! 車が止まってなくて何が悪いかというと、実はいつも、車を街灯の盾にして、直射街灯(?)を浴びないように空を見上げているのだ。一体こんな朝早くどこに出かけたんだ? と思ったけど、こんな朝早く星を見ているだけの俺に、そんなこと言える義理はない。

M65(しし座/銀河)
 30倍ではM66と同一視野に見える。バックの空が明るくて、やっと存在が分かる程度だが、近くの恒星に引きずられてか、M65の方が少し見やすい。同じ視野に見えているはずのNGC3628は分からない。61倍でもM66と同一視野で見えている。こちらの方が若干大きく、なんとなく楕円形の姿が分かる。
M66(しし座/銀河)
 30倍でM65と同一視野。こちらの方が淡い。うっかりじっと見つめてしまうと、すぐに分かりにくくなる。30倍ではシミのように見えるだけで形は分からない。61倍では、M65より一回り小振りで、細長い姿をしているように感じる。
M97(おおぐま座/惑星状星雲)
M108(おおぐま座/銀河)
 北斗七星のおおぐま座β星の近くで、場所は分かりやすいのだが、両方ともまるで見えない。

 せっかく早起きしたのに、南西方向から北東方向へ向けて次々に雲が流れてきて、あっという間に雲だらけになってしまった。ちゃんと寝て、仕事しろと言うことなのだろう。そうそう、アンタレスと並んだ火星を見た。今シーズンの初火星。高度はアンタレスのが明るいくらいで、望遠鏡で見ても天王星を見ているような大きさだった。

この日新たに見たメシエ天体2個・残りのメシエ天体27

2003年 1月5日(日)-6日(月)

 しし群と皆既日食にうつつを抜かしていたら、いつの間にか年を越してしまった。

 前日から「今冬最強の寒波」が来ているだけあって、むちゃくちゃに寒い。風も強い。冬型の気圧配置が強いときは、たいてい透明度が良いのだが、あんまり強すぎるとちぎれ雲がたくさん飛んできて、快晴とはいかなくなる。今宵の空はそんな空。でも透明度は最高級で、5等星まで見えた。びっくり。

M48(いっかくじゅう座/散開星団)
 30倍では視野の1/3くらいに暗い星が散らばって見える。中央部に一列に濃い部分が見える。61倍では視野2/3くらいに広がるが、星がばらけて星団らしさは薄れる。真ん中の星の並び、少し星の欠けたコートハンガーのミニチュアのよう。
M67(かに座/散開星団)
 散開星団では小ぶりなほう。30倍では星雲状のモヤモヤとした中に、星がいくつか見えるような感じ。61倍では星雲状のモヤモヤが暗い星の集まりだと分かるようになる。暗い星ばかりなので、目が慣れてこないと分かりにくい。123倍では暗い星星がゆがんだボールのような形で視野1/3くらいに広がって見える。やはり慣れないと見にくい。
M81(おおぐま座/銀河)
 30倍でM82と同じ視野に仲良く並んで見える。ちょっと感動。「ハ」の字を少し広げた感じ。明るさは同じくらいだが、M81の形はちょっととらえ所がなく。何となく楕円形のような気がするといったところ。61倍でもまだM82と同一視野に見える。中央集光のあるボウっとした楕円形。123倍でも意外に中央集光部が分かりやすく見えている。
M82(おおぐま座/銀河)
 30倍でM81同じ視野。850万光年も離れた天体が並んで見えているなんて、ほんと不思議。M82の細長い形は、M81よりもすぐ分かる。61倍では均一な明るさの細長い棒状。123倍にすると、大きくなるものの、淡くてとても見えにくい。
M97(おおぐま座/惑星状星雲)
M108(おおぐま座/銀河)
 高度がそれほど高くなかったせいか、よく分からなかった。

 気が付いたら日付が変わっていて、寒い中2時間以上も星を見ていたことになる。6日から仕事始め。新年早々、本業をおろそかには出来ないので、きりよく撤収。

この日新たに見たメシエ天体4個・残りのメシエ天体29

2002年 10月16日(水)-17日(木)

 宵の口、大阪湾対岸の明かりが見えていたので、これは透明度が良さそうだと思って、早く寝た。月齢11なので夜半過ぎでないと星雲・星団の観望ができないのだ。明け方起き出して、星見に出る。期待していた透明度は、今ひとつ……というほどでもないが、並程度。

M44(かに座/散開星団)
 有名な「プレセペ星団」。垂水の空では肉眼では厳しい。ワイドビノならぼんやりとした存在がわかる。30倍ですでに視野いっぱいに星が散らばって見える。61倍で視野をはみ出るくらいに広がる。星もばらけてくるが、明るい星が多いのでそれなりにきれい。
M79(うさぎ座/球状星団)
 30倍では恒星状の中心部の周りをぼうっともやが取り囲んでいるように見える。存在はすぐにわかる。61倍・123倍では、いかにも球状星団のような見え方。といっても星のツブツブが見えるわけでなく、中央部が明るく、周りが淡いボールのよう。中心部がざらついて見えるような気はする。
M1(おうし座/超新星残骸)
 「かに星雲」。前回も見たのだが天頂近くでの見え具合を確認。星図なしで導入できてしまった。30倍で淡く菱形状に見える。61倍ではよく言われる佐渡島の形に見えてくる。ただし淡いのには変わりがない。
M93(とも座/散開星団)
 30倍では狭い範囲に星がつぶれた三角形にギュッと集まって見える。61倍では星団中の明るめの星がほぼ一列に並んで見える。123倍でやっと視野いっぱいに広がる。比較的星が密集しているので、この倍率でも見栄えがする。
M50(いっかくじゅう座/散開星団)
 30倍で暗めの星が淡く広がりを持って集まって見える。61倍でほぼ視野いっぱいに広がる。見える星数が増え、より星団らしく見える。123倍では星が広がりすぎてしまう。
M46(とも座/散開星団)
 30倍では暗い星が大きなボールのように集まって見える。淡いのでバックの空に埋もれてうっかりすると見逃しそう。61倍では、目が慣れてくると視野の半分くらいの直径に淡い星の粒が広がる。123倍では視野いっぱいに広がる。星団らしさは失われないが、星が暗いので見栄えは61倍の方がよい。
M47(とも座/散開星団)
 30倍ではM46と同じ視野に見えるが、明るい星が多いのでこちらの方が先に目に付く。比較的明るい星がまばらにパラパラと二列に並んで見える。散開星団とはいえ、M46とはかなり対照的な見え方。61倍で視野いっぱいに広がる。星はばらけてくるが、明るい星が多いので見栄えはよい。123倍では視野からはみ出るが、やはり明るい星が多い分だけにぎやかに見える。

 透明度は並だったが、シンチレーションが落ち着いていて、シーイングは良かった。薄明が始まってから木星と土星を見ていたが、両方ともよく見えた。

この日新たに見たメシエ天体6個・残りのメシエ天体33

2002年 10月10日(木)-11日(金)

 昼間からとても深い青色の空。夜になったら8月上旬以来最高の透明度。

M110(アンドロメダ座/銀河)
 30倍ではバックの空に埋もれて見えない(でも61倍・123倍で見た後なら見えた)。61倍では、なんとなく見ていると、淡い姿がとらえられる。凝視してしまうと見えない。シミのようだが形までは分からない。123倍ではバックの空が締まるものの、見え方はあまり変わらない。
M74(うお座/銀河)
 ついに観測成功。ほぼ南中時で、30倍では全く見えず。61倍で目を慣らして、かろうじて見えるか、見えないかといった淡さ。うっかりするとすぐ見えなくなってしまうが、何度か同じ位置に淡い存在を見ることができた。念のためスケッチを取り、帰宅後ステラナビゲーターで位置を照合、合致していたので確認とした。123倍ではかえって分からなくなる。
M1(おうし座/超新星残骸)
 有名な「かに星雲」。メシエ天体のトップナンバーにして、唯一の超新星残骸。30倍でも淡いが面積を持った存在は分かる。61倍で少し大きく見えるが、形は分からない。123倍では見失ってしまった。東天の神戸市街の郊外が残る状態で見たので、見え方については高度の上がったときに試してみたい。
M37(ぎょしゃ座/散開星団)
 30倍では淡い星がびっしり集まって星雲状。中心部は分離できない。61倍で星が分解して星団らしくなる。それでもまだ分離しきれないくらい密集している。123倍では視野いっぱいに広がって見えるが、星はそれほどばらけない。もう一段明るい星ばかりなら見事な眺めだろう。
M36(ぎょしゃ座/散開星団)
 M37より明るめの星がまばらに集まっている(30倍)。61倍では視野の1/3くらいに広がる。星が列をなして連なっていて面白い。123倍では大きく広がるだけで見え方は変わらない。
M38(ぎょしゃ座/散開星団)
 三兄弟の末っ子。周りに明るい星が多いため、暗い星ばかりの星団に感じてしまう。星数はM36より多いくらい(30倍)。61倍で少し星がバラけて見えてくる。123倍では視野の2/3くらいに広がり、星が広がりすぎて星団らしくなくなる。
M78(オリオン座/散光星雲)
 ウルトラマンの故郷(←本当はM87銀河のつもりが誤植でそうなったらしい)。30倍では淡いが周囲に星がないのでぽっかり浮かんで見える。中心星のせいか、芯のあるような見え方。61倍では淡いながらも、薄くならずに見えている。123倍では中心星2つ見える。星雲は薄く見えにくくなる。

 透明度は申し分ない空だったが、冷え込みが厳しく、ジャンパーを羽織っただけでは寒かった。翌日も仕事なので、木星が昇ってきたのを潮に切り上げたが、結局2時間以上、空を見ていたことになる。このまま行ったら、今期初カノープスも見えたくらいの空だった。

この日新たに見たメシエ天体7個・残りのメシエ天体39

2002年 10月9日(水)-10日(木)

 10月に入って秋雨のような日が続いていたので、久しぶりの晴れ間。しかも透明度も良好。自宅で仕事をしていたのだが、気分転換がてらに……というか空がきれいでもったいなくて、望遠鏡かついで外に出た。前回はガイドブックを忘れたが、今回はLEDランプを忘れた。アイピースなど用具一式を入れているバッグが、お買い物手提げ袋なのがそもそも間違っているような……

M35(ふたご座/散開星団)
 30倍では明るさのそろった微恒星がそこそこの密集度で集まっている感じ。視直径も大きい。61倍では視野の半分くらいまで広がってしまうが、バックの空が締まる分、星が浮かび上がってきれいに見える。
M74(うお座/銀河)
 西に傾いてしまったので、少しいつもと導入の勝手が違う。透明度が良かったので粘って探せばもしかしたら……と思ったが、今日はそんなに気合いが乗っていなかったので、一通り探して流してしまった。
M110(アンドロメダ座/銀河)
 今日も望遠鏡を向けたら曇がやってきた。見える・見えない以前に、最近雲とお友達のようだ。西空に傾くと垂水・明石の光害があるので、M31も小さくなってしまう。天頂付近にあるうちが好機か。
M41(おおいぬ座/散開星団)
 少し高度が低めだったが、透明度が良かったのでチャレンジ。元が双眼鏡でも見えるようなものなので、30倍で視野の半分くらいの大きさ。M35より星の明るさがばらついた印象。散開星団らしい散開星団だと思う。61倍では視野いっぱいに星がばらけて、少しまばらになりすぎるくらいの印象。

 Tシャツにウィンドブレーカーを羽織っただけで外に出たら、むちゃくちゃ寒かった。10月といっても、なめてはいけない。

この日新たに見たメシエ天体2個・残りのメシエ天体46

2002年 10月1日(火)-2日(水)

 東日本を台風が駆け抜ける最中、一足先に晴天域に覆われた。透明度も良好。久しぶりに星雲・星団を見ようと思ったのだが、観望場所へ行った後でガイドブックを忘れたことに気が付いた。こないだ観望セットを入れ替えたときに本棚に並べてしまったんだっけ。やってしまった……

M74(うお座/銀河)
 この一ヶ月ではいちばん透明度が良かったくらいなのだが、やっぱり分からない。
M110(アンドロメダ座/銀河)
 天頂付近まで昇ったところを狙う。何となく見えているような気がするんだけど、星図がないので同定できない。スケッチでもしようかと思ったら、雲が湧いてきて隠れてしまった。

 久々にワイドビノを持ち出して、星座を眺めた。みなみのうお座の形がたどれて、面白かった。

この日新たに見たメシエ天体0個・残りのメシエ天体48

2002年 9月17日(月)-18日(火)

 寒冷前線通過後の秋風の空。日付が変わるまでは雲が多かったのだが、寝ようと思ったら晴れていたので、ちょっと星を見るつもりになった。

 いつもは南から北に雲が流れることが多いのだが、今日は北から南へ雲が流れていた。透明度はまずまず……といっても、これからさき秋から冬にかけては並と言ったところだろう。

M74(うお座/銀河)
 ほぼ南中時刻を狙ったのだが、やはり見えない。並の透明度ではダメで、そうとう空の良い状態の時に狙わないと難しいだろう。
M110(アンドロメダ座/銀河)
 天頂付近まで昇ったところを狙うも、望遠鏡をM31に向けたところで雲が襲来。M31とM32は簡単に確認できたのだが、きちんとM110を探す間もなく視界は雲の中に……
M42・M43(オリオン座/散光星雲)
 有名なオリオン大星雲。ファインダーどころか肉眼でも存在が分かる。30倍でも鳥が羽を広げたような立派な姿。トラペジウムもなんとか分離して見える。61倍では視野の端の方まで羽が届きそうな雰囲気。星雲内の細かい様子も分かる。見事の一言。123倍でも見応え充分だが、見栄えは星雲が濃く見える分61倍の方が上回る。さすが大星雲といったところ。
M1(おうし座/超新星残骸)
 こちらも有名なかに星雲。メシエ天体のトップナンバーだが、こちらは視野に入っているはずだが見つからなかった。もう少し高度が上がってから探した方がよさそうだ。

 今シーズンの「初シリウス」観望。だけでなく、木星まで見てしまった。高度が10度足らずだったので、ガリレオ衛星は見えてもさすがに縞模様までは無理だったが。

この日新たに見たメシエ天体2個・残りのメシエ天体48

2002年 9月9日(月)-10日(火)

 週末が新月。ただ雲が多かったので、いつも寝てしまっていた。この日は久々に透明度のまずまずの空。

M74(うお座/銀河)
 あいかわらずダメ。
M31(アンドロメダ座/銀河)
 有名なアンドロメダ大星雲。ファインダーでも余裕で分かる。30倍では楕円形の形が分かり、M32と同視野(M110は見えない)。61倍・123倍ではより楕円形が大きく見えるが、細部が見えてくるわけではない。銀河の中ではさすがに別格の見え方をする。
M32(アンドロメダ座/銀河)
 M31の伴銀河。30倍でM31の同視野。一見恒星状だが、気を付けてみると周囲がボーっとしているのが分かる。61倍・123倍だと円形の形が分かるが、見え方の印象はあまり変わらない。球状星団に似た見え方をするが、芯が強いような印象。
M110(アンドロメダ座/銀河)
 M31の伴銀河。30倍でM31と同視野のはずだが、分からない。61倍・123倍で該当場所を探すが、やはり分からない。最初のカタログに載らなかったのも分かるような気がする。
M103(カシオペア座/散開星団)
 星数が少ない上に、大きさも小さい。場所が分かっていないと散開星団という感じがしない。30倍で三角形に星が集まっているのが分かる。61倍・123倍では微光星も見え、星団らしくなってくるが、あまり拡大しすぎても面白くない。クリスマスツリーと言われれば、そんな気も。
M77(くじら座/銀河)
 周りに明るい星が少ないので、ファインダーを近くに向けるまでが苦労する。銀河の存在自体は比較的分かりやすく、30倍でも小さくボーっとした姿が捉えられる。じっと見てしまうと恒星と区別しにくくなる。61倍では割に芯のはっきりした見え方。123倍では暗くてよく分かりにくい。

 二重星団やすばる・土星を見て気をよくし、オリオン座が昇り来る姿を見ていたのだが、これ以上夜更かしすると明日の仕事に差し支えるので、今日はここまで。

この日新たに見たメシエ天体4個・残りのメシエ天体50

2002年 8月14日(水)-15日(木)

 数日曇りがちの日々が続いていたが、久々に星が出た。透明度もまずまず。ただし、先週に引き続いての強い南風。強い、というのは風で電線がヒューヒュー唸っているくらい。小型軽量の望遠鏡なので、まともに強風を食らうと30倍でも視野がグラグラする。

M74(うお座/銀河)
 ファインディングチャートなど要らないくらい場所は覚えた。けど、見えない。もう少しで見えそうな気がするのだけれど。
M33(さんかく座/銀河)
 有名な割に、むちゃくちゃ淡い。30倍で見えたり見えなかったりの淡さ。見えるときはボーっと広がっているのが分かるが、大きいのか小さいのか、とらえどころがない。61倍では淡くうっすら広がって見える。心なしか楕円形のようにも感じる。
M34(ペルセウス座/散開星団)
 30倍で星の数もそろった星団の様子が分かる。倍率はこれくらいでちょうどよい感じ。散開星団らしい星団。

 ここまで見て、急に雲が流れてきて、空を覆われてしまった。すぐに回復する見込みがないので、今日はここまで。

この日新たに見たメシエ天体2個・残りのメシエ天体54

2002年 8月7日(火)-8日(水)

 連日の透明度の良い空。ただし、やはり強風。家に帰って夕飯を食べるなり寝てしまい、明け方3時頃に起きたらとてもきれいな空だったので、外に出た。M31が肉眼で見えようかという透明度(見えなかったけど)で、この夏どころか、春先以来いちばんの空。

M74(うお座/銀河)
 30倍ではバックの空の明るさに埋もれて、見えない。61倍では微かに、ごくごく微かに淡いものが見えるような気がする。でも確証は持てない。位置確認のスケッチはするが、「見えたとしたらこの辺り」という弱気のもの。家に帰ってステラナビゲーターで確認したら、該当位置だった。
M76(ペルセウス座/惑星状星雲)
 30倍で恒星でないものが見えているのが微かに分かる。61倍で淡くモヤモヤしたものが広がって見える。細長く伸びているのが分かるようで、見つめてしまうと分からない。123倍では淡すぎて、見えたり見えなかったり。
M33(さんかく座/銀河)
 探しているうちに薄明が始まってタイムアップ。

 M74を見たことにするかどうか迷ったが、あわてるものでもなし、とりあえず保留にした。でも、今日みたいな空は、なかなかないだろうなぁ。

この日新たに見たメシエ天体1個・残りのメシエ天体56

2002年 8月6日(火)-7日(水)

 昨日に引き続いて昼間は澄んだ空。今日は夜になっても透明度が良く、大阪湾対岸の明かりもよく見えた。梅雨明け後最高の透明度。ただし強風。

M72(みずがめ座/球状星団)
 今月3度目の挑戦で、やっと姿をとらえた。30倍では分からないが、61倍にあげると、9等星の隣にボーっとした姿がうっすら見えてくる。球状星団だが中央集光も分からない。あまりに不安だったので位置確認のスケッチを取り、部屋に戻ってステラナビゲーターで確かめた。
M2(みずがめ座/球状星団)
 M72にあんなに苦労したのがウソのような見やすさ。30倍でもボーっとした姿がすぐ分かる。61倍では大きな中央集光が分かる。123倍まで拡大してもよく見えている。強風でシーイングが悪かったが、空気の落ち着いたときに高倍率で再挑戦したい。
M15(ペガスス座/球状星団)
 ペガスス座の球状星団。M2より一回り小さい印象。30倍では星団の周りに微光星が多く、きれい。61倍・123倍では中央集光の周りをモヤッとした光芒が取り囲んでいるのが分かる。これもシーイングがよいときに高倍率で見てみたい。
M74(うお座/銀河)
 9等星くらいの星までは比較的容易に確認できたが、肝心のM74はよく分からない。この日の透明度で夜半の時間帯に見えないようでは、難物かも。
M39(はくちょう座/散開星団)
 ファインダーでも星の集まった様子が分かる。30倍では粒のそろった明るい星がまばらに散らばって見える。60倍でほとんど視野いっぱいに広がってしまう。
M52(カシオペア座/散開星団)
 こちらは対照的に暗い星が密集した星団。30倍ではかすかに星雲状に見えるだけ。60倍でやっと暗い星々が分離して見え始める。123倍では星は分離して見えるが、暗くて分かりにくくなる。よく見ていると星々の背景にうっすら星雲状のものが広がっているように見える。
M45(おうし座/散開星団)
 いわずとしれた「すばる」ことプレアデス星団。神戸市街の光害の残る東の低空に、肉眼でボーっとしたものが見えたので、ファインダーを向けたらすばるだった。30倍で視野いっぱいの明るい星たち。光害なんてものともしない見事さ。

この日新たに見たメシエ天体6個・残りのメシエ天体57

2002年 8月5日(月)

 昼間は珍しく澄んだ青空。空気も心なしか乾燥気味で、これは今晩の空はきれいだろうと期待したのだが、夕方から雲が出始めて、海から湿った風が吹き始めた。須磨の鉢伏山は風が吹き上げては雲がわき出る状態。雲は夜になって消えたが、透明度は結局よくならなかった。

 強い南風が吹きつけ、時には30倍の低倍率でも視野が揺れるありさま。なんだかなぁ。

M20(いて座/散光星雲)
 30倍でM8とギリギリ同じ視野に入るのだが、視野の端に入れてなんとなく見ているときだけ、ボーっと見える。視野の中心に入れるとほとんど分からない。となりの散開星団M21の方がよほど分かりやすい。61倍でも視野の端に置いたときに、たまにボーっと見えるくらい。123倍では見えない。これまで見たM天体の中でいちばん淡い。高度が低く、モヤなどの影響を受けやすいことが大きいと思う。
M72(みずがめ座/球状星団)
 視野には入っていて、周囲の8〜9等星は見えているのだが、9.4等のM72はきちんと確認できない。モヤが濃くなってきたので、観望をうち切った。

この日新たに見たメシエ天体1個・残りのメシエ天体63

2002年 8月1日(木)-2日(金)

 梅雨明け後、やっとのことそこそこの星空。22時30頃に外に出て、最初は3等星までしか見えなかったが、夜半にはなんとか4等星が見えるようになった。久しぶりに長時間観望したが、終電までは数分に一本、こうこうと明かりを点けた電車が目の前を走り抜けていき、こんな場所で星見をしていたのかと、我ながら呆れた。

M20(いて座/散光星雲)
 なかなか雲が取れず、晴れたときには西空に傾いてしまった。M8は見えても、M20はなかなか見えてくれない。
M57(こと座/惑星状星雲)
 「環状星雲」の名で有名。30倍ではほとんど恒星状、場所を確認していないと見逃しそう。61倍では小さな円盤状で、恒星とも容易に区別がつく。123倍では中心部が少し暗くなっていて、ドーナツ状の姿が分かる。
M71(や座/球状星団)
 30倍では淡く丸い星雲状。61倍では少し広がって見えるが、星は分離しない。123倍では淡くてかえって存在が分かりにくくなる。
M56(こと座/球状星団)
 30倍では小さなしみのよう。61倍では見かけだけ大きくなるが、見栄えはあまり変わらない。弱い中央集光が分かる。123倍ではさらに大きく淡く広がって見えるだけ。
M73(みずがめ座/散開星団)
 実体はメシエ曰く「3〜4個の星の集まり」。30倍ではごく小さな星雲状。61倍で数個の星が固まっているのが分かる。123倍では3つほどの星が分かる。
M72(みずがめ座/球状星団)
 メシエ天体の中でもっとも暗い球状星団らしい。すぐ脇の9等星は分かるのだが、M72の姿は分からない。そのうち下弦過ぎの月が昇ってきたため、観望をあきらめる。
M29(はくちょう座/散開星団)
 天の川の中にあり、星数も多くないので、微光星がたまたま集まっただけの場所のように見える(30倍)。61倍・123倍ではペガススの四辺形のような星の並びと、その脇に散らばるいくつかの星が分かる。星が少なくまばらなので、あまり星団らしくない。

この日新たに見たメシエ天体5個・残りのメシエ天体64

2002年 7月21日(日)

 梅雨明け宣言が出て2日目。昼間は比較的よく晴れていたのだが、ずっと南から湿気の多い風が吹き付けていた。月齢11.1で月明かりもあり、条件はよくない。頭の真上で雲が湧きだし、風に乗って北天は雲だらけ。南から湿った風が入ると、こんな天気になりやすいのだろうか。

M57(こと座/惑星状星雲)
 月明かりだし透明度も悪いのだが、天頂付近で条件の良さそうなものを考えて、とりあえず見てみた。やっぱり見えなかった。

この日新たに見たメシエ天体0個・残りのメシエ天体69

2002年 7月7日(日)

 ものすごく久しぶりの晴れ。透明度は悪くないが、南からの湿った風が強い。南天は晴れているのだが、南西方向の天頂手前で雲が発生し、北東方向に流れていく。北方向はどんぐもり。一つ雲が抜けても、次々と雲が湧いてくるので、たちが悪い。海と陸の境目辺りで上昇気流でも発生しているのだろうか……

M20(いて座/散光星雲)
 M8は見えても、M21は見えても、M20はなかなか見えてくれない。61倍で見たときだけ、なんとなく見えるような気がするし、見えないような気もするのだが、確信できないので、今回も却下。
M27(こぎつね座/惑星状星雲)
 「あれい状星雲」の名で知られるが、鉄亜鈴よりも地形図の銀行マークのように見える。30倍では淡いながらも、意外に大きく、銀行マークの形が分かる……ここまで見たところで雲に覆われてしまった。

この日新たに見たメシエ天体1個・残りのメシエ天体69

2002年 6月5日(水)-6日(木)

 晴れていても透明度の悪い日が続いていたのだが、この日は夕方の金星・木星がとてもきれいに見え、久しぶりにいけそうな気がした。家に帰ったのは遅かったのだが、望遠鏡を担ぎ出した。ただ地平近くの空はモヤがかかっていて、低空の透明度も今ひとつ。天頂方向はまずまずだったのだが。

M26(たて座/散開星団)
 30倍では中心部に2,3の星と周りを星雲が取り囲んでいるよう。61倍だと星の数は少し増えるが、それほど印象は変わらない。123倍ではそれまで星雲状に見えていた部分が見えにくくなる。どの倍率でも総じてあまり散開星団らしくない見え具合。
M11(たて座/散開星団)
 少し離れた2つずつの星のまわりを細長い形で星雲が取り囲んでいるよう。61倍では星雲状の中に星のツブツブが見えてくる。南北2つに分かれているようだが、北側が大きいように見える。123倍では目が慣れてくると星雲状の中にびっしり小さな星が詰まっているのが見えてくる。
M22(いて座/球状星団)
 ボウッとした丸い毛玉のよう。中央集光大きいがぼんやりした雰囲気に見える(30倍)。61倍では中心部がザラザラした感じに見えてくる。123倍では、淡いが星のツブツブが見えてくる。見事。
M28(いて座/球状星団)
 30倍では小さくボウッと見え、恒星とは違うのがすぐ分かる。61倍では見かけ大きく見えるが雰囲気は変わらない。123倍だと、30倍で見たM22を一回り大きくした感じに見え、中心部のごく狭い範囲がザラついているように見える。
M8(いて座/散光星雲)
 有名な干潟星雲。7×50のファインダーでも存在が分かる。30倍では青白い星の集まりに淡い星雲が重なっている。61倍では視野直径の半分くらいに星団と淡い星雲が見える。123倍では視野いっぱいに星団が広がるが、星雲は薄くなって見えにくくなる。どの倍率で見ても見事。
M20(いて座/散光星雲)
 これも有名な三裂星雲。視野に入れても星雲は見えない。どの倍率でもダメ。低空の透明度が悪いせいかもしれない。
M21(いて座/散開星団)
 30倍・61倍ともM20と同視野に見える。微光星の多い辺りで、辺りに散らばっている星の一部が濃く集まっている感じ。123倍では完全に星がバラバラになる。星団の星数はそれほど多くない。
M24(いて座/散開星団)
 いて座のスモール・スター・クラウド。直訳すると「小さな星の雲」で天の川の濃くなった部分だが、散開星団に分類されることもある。30倍では視野いっぱいに微光星が散らばる。61倍では視野からはみ出るが、これくらいの倍率で流しながら見ても面白い。
M23(いて座/散開星団)
 30倍では微光星がベターッと広い範囲にまとまっている。暗い星ばかりだが明るさがそろっているのが印象的。61倍・123倍では視野いっぱいに暗い星の集まりが広がって見える。
M25(いて座/散開星団)
 M23から一転、いろんな明るさの星がまばらに散らばっている(30倍)。61倍で視野いっぱい、だいぶ星がばらけてしまう。
M18(いて座/散開星団)
 30倍では一見小さな星雲状だが、よく見ると星がいくつか見えてくる。61倍で暗い星の集まりなのが分かる。星はばらけて見える。123倍では完全にばらけて、あまり面白くない。
M17(いて座/散光星雲)
 Ω(オメガ)星雲や白鳥星雲の名前で知られる。30倍であっさりと、ひっくり返った白鳥の姿の星雲が分かる。意外に濃く見える。61倍・123倍と倍率を上げると、淡くなる分、形はつかみにくくなる。
M16(いて座/散開星団)
 散光星雲と重なっていて天体写真でもよく知られるが、都会の空では星雲の方はちょっとしんどい。30倍では散開星団ごと星雲状に見える。61倍・123倍では散開星団は分かるが、星雲は見えているかどうか分からない。

 いて座のメシエ天体は、面白いものが多いのだが、全体的に高度が低い上に、真夜中に南中する時期が梅雨に重なり、見えそうなときに見ておかないとなかなか難しい。特に自宅近辺は西空に光害が広がっているので、よけいに早い季節が好ましくなる。それでも透明度が悪いと、星雲は難しいようだ。

この日新たに見たメシエ天体12個・残りのメシエ天体70

2002年 5月19日(日)-20日(月)

 朝は土砂降りだったのに、午後から晴れ。上弦の月のある日だったので、家に帰ってすぐ寝て、夜半に起きて星見に備える。なにもそこまで……と思わないでもないが、次の日が月曜なので、ちょっとでも寝ておかないと大変。

 日付が変わって月が沈むと、4等星が見えるくらいの、この辺りにしては上々の空となった。午前1時頃、望遠鏡を担いで外に出る。最初に池谷・張彗星を確認して、そのあとメシエ天体観望へ。

M107(へびつかい座/球状星団)
 前回は視野に入れながら見えなかったもの。確かに淡いので、少しでも透明度が悪いと厳しいものがある。30倍ではかなり淡く、位置を星図で確認してやぶにらみしてかろうじて見えてくる。61倍・123倍とも何とか存在が分かる程度で、注視すると見えなくなる。
M12(へびつかい座/球状星団)
 中心部がもやもやした感じに見える(30倍)。61倍では淡く広がってしまう。長く見ていると中心部がもやっと明るくなっているのが分かる。123倍では淡く広がりとらえどころのない感じ。
M10(へびつかい座/球状星団)
 M12より少し明るい。中央部の集光がしっかりしている(30倍)。61倍・123倍では中央部がモヤモヤして見えるが、星のツブツブが見えるには至らない。
M14(へびつかい座/球状星団)
 こちらはM12より若干暗め。30倍ではボーっとした姿しか分からない。61倍では淡いが中心部がやんわり濃く見える。123倍では広がって見えるが、淡くてとらえどころなくなる。
M9(へびつかい座/球状星団)
 中央部淡く、恒星のまわりをモヤが取り囲んでいるよう(30倍)。61倍でも特に特徴のないボーっとした姿。123倍では中央部モヤモヤしてくるが、とても淡くなる。
M55(いて座/球状星団)
 淡いが他の球状星団よりずっと大きく広がって見える(30倍)。さらに大きく広がって見えるが淡くてとらえどころがない(61倍)。淡すぎて判らなくなる(123倍)。
M75(いて座/球状星団)
 暗い恒星のよう。少しだけモヤが取り巻いている感じ(30倍)。61倍では芯のあるような見え方で、倍率を上げた割にはあまり雰囲気が変わらない。モヤッとした部分が少しだけ広がる。123倍まで倍率を上げて、やっと他の球状星団のようなボーっとした感じになる。
M30(やぎ座/球状星団)
 淡く小さい。ボーっとした存在を確認するだけ(30倍)。西側に同じくらいの明るさの恒星があり、対比が面白い。わりあい中央部が濃い(61倍)。モヤッとしたかたまりのよう(123倍)。

 球状星団はボーっとしているだけで、そんなに面白いとも思わなかったのだが、これだけ見ていると、さすがに少しずつ、星団ごとの表情があるのが分かってくる。でも写真で見るような星のツブツブの密集というのは、なかなかお目にかかれない。尾が出ていない彗星とよく似た見え方をするのが多く、メシエがカタログに取り上げたのも分かるような気がする。

 ここまで見て午前3時。そろそろ切り上げようと思っていたら、ちょうど西から雲が湧いてきて、空を覆ってしまった。実はM30を見るのは雲との競争で、ちょうど感想をメモした頃に雲がかかり、視界からスーッと星が消えていった。

この日新たに見たメシエ天体8個・残りのメシエ天体82

2002年 5月18日(土)-19日(日)

 ほぼ一週間曇りと雨の日が続き、土曜日になってになって久々に昼間、晴れ間がのぞいた。この分なら夜も期待できる……と思ったが、結局すっきりは晴れない。それでも雲がだいぶ少なくなったので、日付が変わった頃、池谷・張彗星を見ようと、7×50双眼鏡とBORG10cm屈折を持って外に出る。

 3等星がやっと見える程度の空で、彗星も双眼鏡では確認できたが、望遠鏡ではファインダーでの導入に手間取っている間に曇ってしまった。雲が途切れるのも待つ間、ちょっくらメシエ天体を見てみようと思ったのだが……

M107(へびつかい座/球状星団)
 視野には入っているのだが、確認できず(30倍・61倍)。星図と照らし合わせて、周囲の星との位置関係は確認したのだが、まるでダメ。透明度が悪すぎたか。

 池谷・張彗星も、そのうち雲が増えて、断念。なんだかなぁ。

この日新たに見たメシエ天体0個・残りのメシエ天体90

2002年 5月12日(日)-13日(月)

 午後は雲が広がっていたが、日没直前に急に晴れ上がった。夕方、塩屋漁港で水星・土星・火星・金星・木星の5惑星の集合を観望。いったん家に戻って、23時半過ぎに望遠鏡を担いで、メシエ天体観望に出かける。

M65・M66(しし座/銀河)
 確認できず。西に傾いていたので再確認の必要あり。
M68(うみへび座/球状星団)
 これも確認できず。背景の空が暗くなるよう123倍まで上げてみたのだが、やはりだめ。3つ続けて未確認天体が続き、しょっぱなから意気消沈気味……
M104(おとめ座/銀河)
 有名なソンブレロ星雲。30倍では淡いものの存在は分かる。61倍・123倍では細長く伸びた形が分かるようになる。でも写真で見るような暗黒帯までは無理。とはいうものの、銀河は見えにくいことが多いので、形まで分かるのはうれしい。元気になる。
M64(かみのけ座/銀河)
 こちらも写真で有名な黒目星雲。30倍では淡いが銀河の存在は分かる。61倍では淡く広がって見えるが、暗黒部の「黒目」までは分からない。
M53(かみのけ座/球状星団)
 おとめ座からかみのけ座は銀河団の印象が強く、球状星団があるのは意外な感じがする。30倍ではボッとした姿。61倍では同じくボッとした姿ながらも中央部が明るく見える。123倍では淡いがボウッと丸い感じに見える。
M61(おとめ座/銀河)
 確認できず。西に傾きはじめていたので、これも後日再挑戦。

 ここまで見たところで、時計が0時を回っていた。「明日からまた仕事やしなぁ……でもこんなに晴れてるの久しぶりやし、もう少し見てまうか」……このあとちょっとが往々にして、致命的な結果を招くもの。このあと踏み込んでしまったのは、おとめ座銀河団の大迷宮だった。

M49(おとめ座/銀河)
 30倍では淡く、ギリギリ存在を確認できる程度。61倍でもやはり淡い姿。
M59(おとめ座/銀河)
 バックの空の明るさに負けて30倍では確認できない。61倍にすると、確認できるかどうかギリギリの淡さで見えてくる。123倍でもやはり淡く、注視してしまうと見えなくなる。やぶにらみにして、やっと存在を確認できる程度。
M60(おとめ座/銀河)
 30倍ではM59と同一視野だが、こちらも確認不能。61倍にすると淡いながらも、M59より少し楽に確認できる。123倍ではボウッと小さく広がっているのが分かる。
M58(おとめ座/銀河)
 確認できず。
M89(おとめ座/銀河)
 61倍でなんとかボーっと存在が分かる。123倍では淡くなりすぎ見えなくなる。
M90(おとめ座/銀河)
M91・M88(かみのけ座/銀河)
 確認できず。この辺りの銀河群、西に傾いてきたので、見えなかったものは後日再挑戦。

 この辺りの銀河団は、およそ10等級が見えるか見えないかのボーダーラインのようだ。もう少し銀河探しを続けたかったが、西空に傾いて光害に埋もれてきたので、この辺りで断念。

 明石・垂水の市街を控えた西空は、高度40度くらいまで光害が広がっているのだ。う〜む。 口径10cm・焦点距離640mmのアクロマート屈折に、21mm(30倍)・10.5mm(61倍)・5.2mm(123倍)のアイピースを用いている。21mm(30倍)が視野も明るく見やすいはずなのだが、光害地のためバックの空が明るくなりすぎ、かえって淡い天体は見にくくなる。10.5mm(61倍)が対象確認のためにはいちばんバランスの取れた見え方になる。

M5(へび座/球状星団)
 気分を変えて銀河団から対象変更。明るいため30倍で楽に確認できる。61倍ではすぐ近くにある恒星との対比がきれいで、星団は青白く見える。123倍になるとザラザラした感じが分かるような気がする。大きく見事。
M3(りょうけん座/球状星団)
 近くに星が少ないため、たどるのに苦労する。M天体でも一桁ナンバーだけあって、天体自体は比較的明るく分かりやすい(30倍)。61倍になると、M5より一回り小さいような感じで大体同じような印象。123倍でボウッと丸っこく見える。
M69(いて座/球状星団)
 昨日(5月11日)途中で見るのをうち切った、いて座のティーポットの中にある球状星団の一つ。30倍で淡いが存在が分かる。61倍ではぼんやりした姿。123倍では中央部がぼんやり明るいのが分かる。
M70(いて座/球状星団)
 いて座のティーポットの球状星団2つめ。30倍で淡いが存在が分かる。このあたりは微光星が多いので、星図と見比べながらの導入がやりやすい。61倍・123倍では淡く、消え入りそうになる。
M54(いて座/球状星団)
 いて座のティーポットの球状星団3つめ。昨日も見たが、もう一度確認。あまり明るくないが、中央部が明るく恒星のよう(30倍)。ボウッとしてくるが中央部の明るさが目立つ(61倍)。
M92(ヘルクレス座/散開星団)
 引き続き球状星団ツアー。今度は天頂近くのヘルクレス座。明るく分かりやすい。ボーっとしているが芯がある感じの見え方(30倍)。倍率を上げても割合はっきり見え、中央部から周辺部までの階調が豊か(61倍・123倍)。
M13(ヘルクレス座/散開星団)
 北天一大きいものとして有名。30倍ですぐ存在が分かる。61倍でも他の球状星団より一回り大きいのが実感。123倍になると、大きく、星のツブツブが見えてくる感じ。すごい。感動。

 ここまで来て時計を見たら2時半を回っていた。明日……というか、もう朝から仕事というのに、やばいぞ。あわてて撤収。あわてて寝る。

この日新たに見たメシエ天体13個・残りのメシエ天体90

2002年 5月11日(土)-12日(日)

 ゴールデンウィーク後半から、悪天候が続き、この日の晩になって10日ぶりに星空が見えた。

 双眼鏡で池谷・張彗星を見る。光度は5〜6等級だが、夜半の暗い空のせいか、3月末に西空に見えていた頃より明るく見えた。この日は久々に透明度が良かったので、望遠鏡を持ち出して星見をすることにした。どうせ明日は日曜日、気が済むまで星を見ることにしよう。

M4(さそり座/球状星団)
 アンタレスのすぐ近くなのだが、じつは今まで見たことがなかった。大きいが、30倍では背景の空に埋もれて淡くしか見えない。61倍では淡い固まりのようなモヤッとした感じ。中心部にいくつか明るいモヤモヤが見えてくる。
M80(さそり座/球状星団)
 M4を見たついでにもう一つ、さそり座の球状星団。小さいが案外明るく、分かりやすい(30倍)。61倍では真ん中が明るい小さな星雲状に見える。123倍では中心部が明るくボウッとした様子。
M19(へびつかい座/球状星団)
 へびつかい座の足元にある球状星団。小さくボウッとまとまった感じ(30倍)。60倍では何となく中心部がモヤモヤして見える。123倍ではボウッと広がって浮かんで見える。
M62(へびつかい座/球状星団)
 さそり座との境界付近にある。全体的にボウッとしている感じ(30倍)。背景に微光星が多くきれい。中心部がそんなに明るくない(60倍)。

 似たような場所にあるので調子に乗って見ていたが、球状星団ばかり4つも続くと、ちょっと飽きてくる。ここらで気分転換して、さそりのしっぽ近くの明るい散開星団を観望する。

M7(さそり座/散開星団)
 30倍では青白い星がバラバラたくさん広がっていてきれい。60倍では中心部分の拡大となり、視野いっぱいに明るい星がたくさん散らばって見える。
M6(さそり座/散開星団)
 小さい星が狭い範囲にたくさん集まっている。M7と対照的な雰囲気の星団(30倍)。60倍では視野の2/3ほどの範囲に粒のそろった星がバラバラ集まっていてきれい。

 南の空が晴れているので、そのまま南天低いメシエ天体を観望。いて座のティーポットに転がっている球状星団に望遠鏡を向ける。

M54(いて座/球状星団)
 30倍ではほとんど恒星状。60倍でも中心だけが明るく、恒星のまわりをボウッとガスが取り囲んでいる感じ。
M70(いて座/球状星団)
 視野に入っているはずなのに姿が見えない。なんとなく視野が白んでいるなぁ、と思って空を見ると、いつの間にか空一面に薄雲がかかっていた。

 う〜ん、残念。このまま帰るのはちょっとくやしいので、はくちょう座β星アルビレオ(二重星)を見て、撤収する。

この日新たに見たメシエ天体7個・残りのメシエ天体103

塩屋天体観測所観測記録室
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