塩屋天体観測所|プラネタリウム・天文台訪問記
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プラネタリウムに関するものいろいろ |
その中にお菓子発見 |
それは大阪市立科学館に大西式プラネタリウムを展示したミニ企画展を見に行ったときのことでした。
大西式プラネの隣の陳列ケースには、プラネタリウムに関するものがぎっしり詰め込まれています。昨今はやりの家庭用プラネタリウムから、先代インフィニウムアルファ投影機の恒星原盤やレンズ、先々代のツァイスII型投影機の解体写真。ここまではプラネタリウムそのものでしょう。冊子も展示されていて、伊東昌市さんの『地上に星空を』や大平貴之さんの『プラネタリウムをつくりました』は定番として、瀬名英明の『虹の天象儀』といった通好みの本もあります。挙げ句の果てにはBump of Chikenや大塚愛の「プラネタリウム」のシングルCDまで並んでいます。
そんな中で目を引いたのがお菓子です。その名も「プラネタリューム」。まじめに付けた名前であることは、包み紙のイラストで分かります。素朴なタッチで描かれたツァイス投影機。いかにも由緒正しい雰囲気を醸し出しています。
一緒に雑誌「大阪人」に紹介された記事も展示されていて、なんと今でも発売されているというではありませんか。
これは、食べずにいられません。
……我ながら、思考回路が単純に出来ていると思います。
漫画家の手塚治虫さんも好まれていたとかで、その筋では知られたお菓子らしいです。ちょこっと検索すると紹介記事がたくさんありましたので、詳細はそちらに譲りましょう。
どことなく頭の片隅に名前が残っていたのは、家に帰ってから思い出したのですが、さいとうみわさんのブログの記事でした。
さて、展示ケースの記事に発売元の「千成一茶」の住所が載っていましたので、それをメモしてさっそく出発です。
大阪市都島区は「みやこじまく」って読むのですね。「としまく」か「つしまく」なのだと思っていました。関西在住9年目というのに、いい加減なものです。
大阪市立科学館のJRの最寄り駅は東西線の「新福島」と大阪環状線の「福島」です。都島区は環状線の「桜ノ宮」が最寄りで、「福島」からならたったの3駅。こんな近い場所だったのか。自分の行動範囲の狭さを思い知らされます。
※ちなみに「千成一茶」の最寄り駅は、市営地下鉄谷町線の「都島駅」で、徒歩1分です。JR「桜ノ宮」だと10分くらい歩きます。
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千成一茶 |
手塚さんのお手紙が展示されていました 切手を貼らずに「料金不足」なのがご愛敬 |
大きな看板が出ているわけではないので、うっかりすると通り越してしまいそうな店構え。ショーケースに手塚さんのお手紙が展示されているのですが、予め知っていなければそれとは気付かない控えめな感じです。
お店に入ると和装の店主さんが出てきて、いろいろお話させて頂きました。「何か本を見られていらしたんですか?」と訊ねられたので、「実は市立科学館でプラネタリウムの展示がありまして……」と経緯をお話しすると、「プラネタリウムは、いま土星のお話をやっているんですよね」と、よく存じていらっしゃいました。
単品でも売っているのですが、投影機の描かれた掛け紙も素敵なので、ここは箱入りを購入。「おつかいものですか?」と訊ねられて、ちょっとどぎまぎ。日常生活でなかなか「おつかいもの」なんて単語、出てこないじゃないですか。
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500円から3,000円くらいまで各種あります |
銀紙に土星のステッカーというのが、少しレトロ |
掛け紙のイラスト、よく見ると大阪のツァイスII型より、むしろ後のIV型に似ている気もします。参考にした資料の写真に紛れ込んでいたのかもしれません。
銀紙の包装に土星のステッカーというのも、昭和30年代半ばに発売されたという当時の宇宙へのイメージが伺いしれて、趣があります。
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プラネタリューム |
で中身は、こんな感じ。卵とバターをベースにした餡を薄皮で包んだ、洋風饅頭というかんじです。表面にうっすら土星の絵が描かれています。そして無数の点々は満天の星。和菓子屋さんで売っているのですが、紅茶やコーヒーでも合いそうなお味です。
一緒に入っていたしおりには「スターウェハース」「スターボーロ」というお菓子も紹介されていました。「プラネタリューム」に夢中で見逃しましたが、これもまた食べてみたいですね。
ちなみに「千成一茶」の看板商品は「千成もなか」です。千成はもちろん太閤秀吉の馬印「千成ひょうたん」から。私が購入した箱のセットでは、プラネタリュームと千成もなかが3個ずつ入っています。もなかももちろんおいしいです。
明石の「子午せん」(このネーミングを知ったときにセンスの良さに大笑いしました)、神戸の「人工衛星饅頭」、そして大阪の「プラネタリューム」。
関西人って、どうしてこういうのをつくるのが好きなんでしょう。いずれも単発でなく、ロングセラーになっているのがすごいところ。それだけお客さんをつかむだけの味と品質を保ち続けているということですから。関西へ足を運んだ際は、ぜひこうしたお菓子のチェックも怠りなく。
(2006.4.1訪問/2006.4.2記 福田和昭)