塩屋天体観測所観測記録室
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水星の太陽面通過(2006年11月9日)

撮影日時:2006年11月9日 7時46分、露出 1/1000秒
撮影地:明石市立天文科学館
撮影機材等:
  キヤノン Powershot A70 5.4-16.2mm(5.4mmで撮影) F5 ISO50設定
  タカハシFS-102屈折望遠鏡 Or18mm接眼レンズ(投影法)

水星が太陽の前を横切ります

 水星は地球の内側を回る惑星なので、たまに太陽の前を横切ることがあります。「たまに」なのは、水星の公転面と地球の公転面が7度ほど傾いているためです。前回、見ることが出来たのは2003年5月7日。昼間から夕方にかけての現象でした。3年半ぶりの今回は、日の出時には現象が始まっていて、9時10分には終了です。

 明石市立天文科学館で、早朝から観望会をやっていたので、参加してきました。

日の出

 夜明け前から駆けつけた人たち。日の出の位置がプラネタリウムドームの影になってしまうので、みんな日時計広場の隅っこに固まっています。

 そして、6:31日の出(デジカメの時計なので+1分弱の誤差があります)。なんかきれいです。感動。

 みんなの頭の上には、蒼天の月。澄み渡った空気が心地よい朝です。

 みんな太陽と水星に夢中なのです。投影版を付けた望遠鏡が、さっそく太陽に向けられます。

太陽面通過

撮影日時:2006年11月9日 6時44分、露出 1/640秒
撮影地:明石市立天文科学館
撮影機材等:
  キヤノン Powershot A70 5.4-16.2mm(9.4mmで撮影) F3.5 ISO100設定
  タカハシFS-102屈折望遠鏡 Or18mm接眼レンズ(投影法)

 朝一番のショットです。投影版を斜めから撮影しているので太陽が楕円形に見えています。白い矢印の先に水星が見えています。集まったみなさん、小ささに驚きます。太陽の右下に見えている黒点の方がはるかに大きいのです。

撮影日時:2006年11月9日 7時05分、露出 1/1000秒
撮影地:明石市立天文科学館
撮影機材等:
  キヤノン Powershot A70 5.4-16.2mm(5.4mmで撮影) F4.0 ISO50設定
  タカハシFS-102屈折望遠鏡 Or18mm接眼レンズ(投影法)

 日の出から30分ほどが過ぎ、地表面が熱せられて、地面近くの空気が暖められます。すると暖められた空気が上昇してかげろうとなります。太陽の縁がキザギザなのは、この地球の大気のおかげ。

子午線上の太陽

 天文科学館の3階には、大きなスクリーンに太陽を投影する装置があります。こちらでも、みんなが太陽面をかこんで観察です。なにせ大きな像なので、ときおり通る雲や鳥にも歓声が上がります。

 実はこの太陽、東経135度の子午線上に投影されています。写真右下の緑のライン(光ファイバー仕掛けで7色に変色します)が子午線です。

 水星の大きさは、地球の大きさの1/3ほどです。表示してある地球の大きさは、太陽表面に置いたと仮定した場合のものなので、手前を駆け抜ける今回の水星とは直接の比較にはならないのですが、それでも大きさの違いが明らかです。もし冥王星の大きさだったら、どんなふうに見えたのでしょう。

動いてます

撮影日時:2006年11月9日 7時46分、露出 1/1000秒
撮影地:明石市立天文科学館
撮影機材等:
  キヤノン Powershot A70 5.4-16.2mm(9.4mmで撮影) F6.3 ISO50設定
  タカハシFS-102屈折望遠鏡 Or18mm接眼レンズ(投影法)

 日の出すぐの頃には太陽のほぼ中ほどに見えていた水星が、ずいぶん上の方に移動しました。惑星の公転を実感できるって、こんなときならではです。

 お名残惜しいのですが、このあと出勤を控えてましたので、今回はここまで。

次回は

 2016年5月9日から10日、2019年11月11日から12日に起こるのですが、どちらも日本で は夜間のため、見ることができません。日本で見ることが出来る水星の太陽面通過となると、2032年11月13日。

 ……すごくおじさんになってしまってます。

(2006.11.10記 福田和昭)

塩屋天体観測所観測記録室
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