塩屋天体観測所神戸の街のこんな星index
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神戸の街のこんな星・中央区

金星台・「金星過日測檢之處」石碑(神戸市中央区)

金星台
近年の金星日面通過
右は日本での時間帯
1761年6月6日日中
1769年6月4日日出帯
1874年12月9日日中
1882年12月7日夜間
2004年6月8日日没帯
2012年6月12日日中
2117年12月11日日中
2125年12月9日夜間

 北野の異人館街から西に15分ほどの所に「諏訪山公園」があります。山手、と言うより六甲山系の山麓にあるこの公園、山の中腹に「金星台」と呼ばれる広場があります。神戸市街を見下ろす景色のよい場所です。

 「金星台」にはれっきとした天文学にまつわる由来があります。

 1874(明治7)年12月9日、金星の太陽面通過が起こりました。太陽面通過は地球の内側をまわっている惑星が太陽の前を横切る現象です。金星の場合、一度起こると8年後にまた見ることが出来るのですが、その次は100年以上待たないといけません。上の表にあるように121.5年・8年・105.5年・8年という間隔でしか起こらないため、運悪く谷間に生まれてしまった人は一生見ることが出来ません。

 1874年の金星太陽面通過で、日本は全ての過程を日中に見ることが出来る観測適地となりました。神戸にはフランスからJ.ジャンセンが来訪。ジャンセンは長崎で観測を行う一方、神戸には別働隊として観測員のドラクルクと日本人・清水誠を派遣しました。彼らは諏訪山に拠点を設けて観測を実施し、見事に成果を上げました。これを記念して名付けられたのが諏訪山公園の「金星台」です。

「金星過日測檢之處」碑文
表面 裏面




ICI
OBEERVON + PASSCE PLANTE
VENUS
9 + DECEME + 1874

COMMON + AST + FRANCE
J・JANSEN
ACAD・SC・PARIS
CHEF
DELACROIX CHIMIZOU ORSS

KANDA ETT GR DE HIOGO

















































 










 金星台の一角に、円柱状の石碑があります。表面にフランス語、裏面に日本語で「金星過日測檢之處」と刻まれています。前述の金星太陽面通過観測の記念碑で、天体観測を記念した石碑というのは日本でも珍しいのではないでしょうか。

 左に碑文を掲げておきます。表面の最上部には太陽面を通過する金星とその経路を示した図が描かれています。清水誠はフランスに留学経験があったらしく、観測助手として活躍したそうです。

 石碑が建てられたのはしばらく後とのことですが、みごとな円柱は生田神社の折れた鳥居の一部を使ったとも言われているそうです。

 なおこの金星太陽面通過の観測のため、日本国内では長崎にアメリカ隊とフランス隊(ジャンセンのいた本隊)、横浜にメキシコ隊が来訪して観測を行いました。こちらも現在、長崎市西山町、横浜市西区宮崎町に観測記念碑が残されています。特に長崎の観測地点は、後に日本経緯度原点(東京都港区麻布台・旧東京天文台)を定める基準点となり、測地学上重要な意味を持っています。

 明治維新から間もない時期にも関わらず、よくぞ万里の波濤を越えて東洋の島国まで天体観測のためにやってきたものです。神戸・横浜・長崎はいずれも幕末の開港地であり、日本を代表する港町が観測地となったのは時代背景を伺わせ、興味深いものがあります。

2004年の金星台←2004年5月27日に追加取材しました。
神戸市役所金星観測記念碑
ぼくでんのホームページ神戸における金星日面通過観測←観測の経緯が詳しく紹介されています。

・住所:神戸市中央区諏訪山町
・写真はいずれも2001年11月25日撮影、本文は2004年4月12日改訂(ジャンサンの記述を修正しました)

・交通:神戸市営バス7系統(神戸駅前-磯上公園前)「諏訪山公園下」下車徒歩10分

金星台記念碑背面 ←背面から見た記念碑と金星台 記念碑拡大 ←石碑に刻まれた日輪と金星通過経路

ビーナスブリッジ(神戸市中央区)

ビーナスブリッジ

 諏訪山公園内、金星台よりさらに上に山上展望台があります。

 金星台と展望台を結ぶ遊歩道の途上、再度山ドライブウェイをまたぐ歩道橋があります。ループを描く優雅なこの歩道橋、「ビーナスブリッジ」と名付けられています。もちろん金星台にちなんだ命名です。1971年の建設です。

 神戸市街を見下ろす展望スポットとして知られており、たいていのガイドブックに紹介されています。特に夜景は見事なのだとか……星好きにとっては複雑な気分ですが。

※下で紹介している南京錠ですが、その後に3,600個にも数が増え、景観上の問題などから今後撤去される方針です(2004年2月23日の神戸新聞記事参照/2004.4.12追記)。

・住所:神戸市中央区諏訪山町
・写真はいずれも2001年11月25日撮影、本文は2004年4月12日改訂、2005.7.3写真追加

・交通:神戸市営バス7系統(神戸駅前-磯上公園前)「諏訪山公園下」下車徒歩20分

ビーナスブリッジの二人 ←デートコースとしても有名だそうで…… ビーナスブリッジ南京錠 ←橋にかけられた南京錠。誰が始めたのやら。
新モニュメント ←新しく設置されたモニュメント(2005.2.13撮影) 今までの鍵は撤去されます ←今までの鍵は撤去されます(2005.2.13撮影)

スペースシアター(神戸市中央区)

スペースシアター

 ハーバーランドセンタービル内、ハーバーサーカスに隣接する多目的スペース。地下1階から地上6階までの吹き抜けで、230インチの大型モニターを装備している多目的スペース。

 自分が神戸に移って間もない頃、「スペースシアター」の名称につられて、新しいプラネタリウムが出来たのかと思って周囲を探し回ったことがあります。なんといっても直訳したら「宇宙劇場」ですから……

神戸ハーバーランド

・住所:神戸市中央区東川崎町1
・写真は2001年12月3日撮影

・交通:JR「神戸駅」・市営地下鉄海岸線「神戸ハーバーランド駅」下車徒歩5分、または神戸高速鉄道「高速神戸駅」下車徒歩10分

 

星の灯台(神戸市中央区)

星の灯台

 神戸ハーバーランドのキャナルガーデンの入口にあるモニュメントです。

 ステンレス製と思われる円錐の上に、赤い羽根のようなものが載っかっています。どこが「星の灯台」なのかよく分からないのですが……パルサーのように回転しながら電波を放っているようすはありませんでした。

神戸ハーバーランドキャナルガーデン

・住所:神戸市中央区東川崎町
・写真は2004年2月12日撮影

・交通:JR「神戸駅」・市営地下鉄海岸線「神戸ハーバーランド駅」下車徒歩5分、または神戸高速鉄道「高速神戸駅」下車徒歩10分

 

太陽光自動集光伝送装置「ひまわり」(神戸市中央区)

ひまわり

 1985年に茨城県つくば市(当時は谷田部街)で開催された科学万博で、三菱未来館にあったものです。球体の中に太陽光を集めるレンズがあり、光ファイバーで館内に導かれる仕組みでした。

 科学万博の同年に神戸で「ユニバーシアード神戸大会」が行われたのですが、その時の聖火「科学の火」はこの装置で点火され、神戸に運ばれました(もう一つの聖火は広島で平和の火から採火されました)。

 そんな縁で、神戸にやってきたのだと思われます。

 神戸市中央区メリケンパークの「神戸海洋博物館」の屋上デッキにおいてあります。

 経歴が異色なのと、「太陽」にちなんだものなので、取り上げてみました。

神戸海洋博物館

・住所:神戸市中央区波止場町
・写真は1998年撮影

・交通:JR・阪神「元町駅」下車徒歩15分、または市営地下鉄海岸線「みなと元町」下車徒歩5分

 

アンドロメダへのメッセージ(神戸市中央区)

アンドロメダへのメッセージ

 ポートアイランドの団地の北側に隣接しているのが「中公園」です。その中にある岩石ゴロゴロのモニュメントが「アンドロメダへのメッセージ」です。

 アンドロメダといったら、まずはアンドロメダ座か、M31アンドロメダ銀河。いきなりギリシア神話のエチオピアのお姫様を想像する人は少ないと思うので、星にまつわるものとして取り上げてみました。

 どこがアンドロメダへのメッセージなのかは、芸術には素人の私には分かりません(笑)。直感的にはアステロイドベルト、少し想像力を働かせて宇宙空間にちりばめられた星々……ううむ。

小林陸一郎
コンクールと都市美づくり

・神戸市中央区港島中町1
・写真は2005年1月30日撮影

・交通:ポートライナー「中公園駅」下車徒歩3分

 

星の広場(神戸市中央区)

星の広場

 ポートアイランドの南側、神戸市立青少年科学館とUCC本社がある一角の広場が「星の広場」です。

 名称はおそらく隣接する青少年科学館にちなんだものと思われますが、広場に名前を示す看板などはなく、単なるタイル張りの空間にしか見えません。広場のあちこちに白い鉄パイプのモニュメントが立てられています。

神戸市中央区港島中町7
・写真はいずれも2001年12月9日撮影

・交通:ポートライナー「南公園駅」下車徒歩3分

星の広場モニュメント ←広場のあちこちに立っているモニュメント。何の意味があるかは分かりません

神戸市立青少年科学館(神戸市中央区)

神戸市立青少年科学館

 1981年に開催された「ポートピア'81」に民間企業により出展された「神戸プラネタリウムシアター」が前身。

 会期後、館は神戸市に寄付され、1982年に「神戸市立プラネタリウム館」として再オープン。その後展示館を加え、1984年に「神戸市立青少年科学館」となりました。

 プラネタリウムのドーム経は20mで、2003年末までミノルタMS-20型投影機が使われていました。2004年4月末からは五藤光学のGSS-KOBE投影機が稼働しています。

 本館の5階には天体観測室があり、公開されているものでは国内最大級の屈折望遠鏡となる口径25cm屈折赤道儀「たいよう」があります。1923年にイギリスのクック社から輸入され、神戸海洋気象台で使われていたもので、こうして見るとなにやらこの館の天文関連施設は渡世を続けたものが多いようです。休日の日中、晴れていれば太陽観望ができます。

神戸市立青少年科学館

・神戸市中央区港島中町7
・写真は2001年12月9日撮影、本文は2004年4月12日改訂(投影機について書き換えました)

・交通:ポートライナー「南公園駅」下車徒歩3分

 

(2005年7月3日更新)

塩屋天体観測所神戸の街のこんな星index
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