塩屋天体観測所|プラネタリウム・天文台訪問記
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[天文台まで 第一赤道儀室 アインシュタイン塔 展示室 大赤道儀室 そのほか]
第一赤道儀室から、東西に延びる道路を挟んで正対する位置にあるのが「大赤道儀室」です。
1926(大正15)年の建設で、ドームの直径は15m。地面からの高さは19.5mあるそうです。
近くで見ると、その大きさに圧倒されます。直径15mというと、プラネタリウムのドームに使っても不思議でないくらいの大きさです。
内部に納められているのは、カールツアイス社製の65cm屈折望遠鏡。日本最大の屈折望遠鏡です。長年、星の位置測定の観測を中心に使われ、1998年3月に引退。といっても、どこも壊れていないので、今すぐでも現役復帰できる状態だそうです。これで火星を見てみたいですね。
65cm屈折望遠鏡の全景です。あまりに大きいので、デジカメの写真を5枚つなげました。
写真で見ると分かるのですが、ドームも木造です。当時これだけの半球面をつくる技術がなく、造船技師の力を借りてつくられたのだとか。たしかに船の底は、曲面ですものね。
左は望遠鏡の接眼部の写真。中央の金色の部分が65cm屈折の接眼部。右側の白い部分が同架されている38cm屈折の接眼部。65cmは写真撮影に、38cmが眼視観測に使われていたそうです。
右は赤道儀のピラーに取り付けられた、カールツアイスの銘板。イエナの工場でつくられたことを示しています。明石のプラネタリウムの親戚です。
室内には当時使われていた様々な器具も展示されています。左はクロノメーターで、水晶発振時計がない時代の精密時計です。天体の位置測定には欠かせないものでした。右は手回し計算機。電子計算機のない時代、これをぐるぐる回してかけ算やわり算を行います。大赤道儀室の一階に、これを実演できるコーナーがあります。
大赤道儀室の床は、実は昇降するようになっていました。屈折望遠鏡は観測対象の高度によって、接眼部の位置が大きく上下します。ここでは床ごと上下して、観測しやすい態勢を取るようにしていました。床は2000年に固定され、現在は動くことはありません。床下の一階は、天体写真のパネルや情報検索などが出来るスペースになっています。
そういえばこの大赤道儀室、一度切手になったことがあったのでした。東京天文台創設75年記念切手です。1953年10月29日に発行されました。