塩屋天体観測所観測記録室
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2009年7月20日〜25日 皆既日食クルーズ(7)

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2009年7月24日 孀婦岩沖

 朝5時、グリーンフラッシュ目当てにデッキへ繰り出す人々。この日の日の出は雲の向こう。結局、今回の航海中にグリーンフラッシュを見ることが出来たのは、日食当日22日の朝だけでした。

 「こんなに毎日、朝早くから大勢の人が空ばかり眺めている船は初めてです」と「ふじ丸」の船長さんが語っていた(呆れていた!?)というのは、西はりまの黒田さんから聞いた話。

5:18 水平線上に孀婦岩

 朝日を見た直後、水平線上の岩影に気付きます。孀婦岩(そうふいわ/そうふがん)です。東京の南約660km、伊豆鳥島の南方約76kmに位置する孤立突岩。海面上の高さは99m。

 指の先のような岩塊がニョキッと海面から突き出ている様子は、なんとも不思議です。

 この辺りの海底は深さが2,000〜2,500mあるのですが、そこからいきなりこれが生えているのではありません。海面下には海底火山が隠れていて、その頂上に突き立つ岩が孀婦岩というわけです。

5:58 孀婦岩周回


 双眼鏡を向けると、全山……というか全岩鳥の巣だらけ。縮小した写真では分からないのですが、蚊柱のように海鳥が舞っています。玄武岩で黒いはずの岩肌が白っぽいのも、鳥の排泄物の堆積によるもの。

 「ふじ丸」は孀婦岩をぐるりと一周して、舳先を北へ向けます。

8:24 伊豆鳥島

 鳥島はアホウドリで有名な島です。鳥島には、南鳥島、沖ノ鳥島とたくさんシリーズがあるので、この鳥島を区別するときは伊豆鳥島と呼ぶそうです。左が8:24、右が8:44。20分間でこれだけ近づきます。

 島の南側は切り立った断崖になっていて、火山噴出物が見事に積み重なった地層が見えています。

 左写真の廃墟は鳥島気象観測所跡。1965年に閉鎖され、現在、鳥島は無人島になっています。山頂付近の稜線には、気象観測所のレーダードーム跡が見えています。

 鳥島は火山活動の活発な島で、特に1902年の噴火では当時の島民が全滅する惨事となりました。

 西側から見た鳥島。断崖絶壁の南斜面と比べて、北斜面は緩やかな草原が広がっています。大きな木が見あたらないのは、この島の自然条件の厳しさゆえなのでしょう。

 アホウドリがいないかと双眼鏡で眼を凝らしたのですが、実はアホウドリがやってくるのは繁殖期の時だけで、私たちの鳥島訪問時はシーズンオフなのだそうです。あまりに有名なので、てっきり一年中いるのかと思っていました。

 鳥島最高峰の硫黄山山頂。標高394m。山頂部が白く見えるのは、硫黄が岩肌に付いているのか、噴煙が上がっているためか。この写真では分かりにくいのですが、カルデラの中にある中央火口丘です。

9:25 パペット劇場 シゴセンジャー vs ブラック星博士 on ふじ丸

 船内では乗船者持ちより企画の「フリートーク」という時間があります。24日の午前中に登場したのは、天文科学館ほしとも☆キッズ135の精鋭たちによるパペット劇場。

 子どもたちが何やらこそこそ企んでいたのは気付いていたのですが、いきなり一席打とうとは思っていませんでした。頼もしい限りです。

10:43 操舵室見学

 操舵室はふだんは船客が入る場所ではないのですが、長期間のクルーズだと、イベント的に公開されることがあります。今回は船出してから5日目の24日に、操舵室公開がありました。これは見に行くしかありません。

 「ふじ丸」のブリッジは、割と広々しています。右写真が操舵輪。船の舵輪は木製の輪のイメージですが、こうなってしまうとゲームのコントローラーみたいです。

 船の現在地はプロッターでモニターに表示されています。でも隣では紙の海図に、きちんと現在地を記入しています。なんてったって紙は故障しませんから。

 ブリッジ内には鐘がぶら下がっています。実際に使う機会はほとんど無いと思うのですが、たしか法令で設置を義務づけられているものだったと記憶しています。

 本棚には「天測歴」や「天測計算表」が置いてありました。GPS全盛の現在でも、基本的な航海法はきちんと押さえているのでしょう。

 神棚や照る照る坊主があったりするのは、ご愛敬というのか何というのか。

 毎度おなじみ双眼鏡チェック。お客さんに貸し出すのはビクセンの普及機「アスコット」シリーズの7×50。クルーが使っているのはフジノンの7×50でした。7×50は海の男の定番です。

 こちら、操舵室の後ろにある無線室。「JBTQ」はコールサインでしょうか。

14:30 アクアマリンコンサート

 あ、写真が一枚もない。

 今回のクルーズで、3回目にして最後のコンサートです。船が黒潮にかかったせいか、揺れに揺れまくって、ヴォーカルのSachikoさんがステージ上で揺れまくっていました。

16:00 サイエンストーク

 再び海部さん登場です。終わった後で、著書にサインをしていただきました。

船酔い

 「ふじ丸」は大きめの船なので、揺れはさほど気にならないのですが(もちろん個人差はあります)、黒潮を横切るときだけは大きく揺れます。行きは2日目の21日、帰りは24日が黒潮に当たる日でした。

 船酔いした人の多くは、行きの21日にやられていたのですが、この時は私、平気でした。念のため、寝る前によい止め薬をもらって寝ましたが、おかげさまでぐっすり寝ることが出来ましたという程度。

 ところが。

 帰りの24日に、やられてしまいました、私。

 多くの人が「今日は揺れるね〜」と言いながらケロッとしているそばで、私一人、げっそりしていました。

 前の晩に、おじさんに捕まって飲んでだのがいけませんでした。あとは、日食と小笠原上陸が終わって、すっかり気が抜けてしまっていたのも原因でしょう。

 昼食まではしっかり食べていたのですが、夕飯はパスして部屋で寝てました。乗り物酔いでご飯を抜いたのは、生まれて初めてでした。

 夜中には復活してお腹も空いたのですが、既に夜食の時間も終わっていたのが残念でした。

 

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(2009.8.28記 福田和昭)

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